学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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処罰と挨拶

 

 

八幡side

 

 

フェアクロフさんと小苑さんは分かるが、後の2人は誰だ?フェアクロフさんの後ろにいる人は、グレーのスーツに白いYシャツと青ネクタイをしていて、伸ばした黒髪を後ろで縛っていた。

 

もう片方、小苑さんと並んでいる巫女装束の女性は、背丈が小苑さんとあまり変わらない白髪のセミロングで、目は閉じていた。糸目なのか?

 

 

アーネスト「比企谷くん、君がトドメを刺す必要はもうないよ。この試合はチーム・ジャスティスのチームリーダー、葉山隼人による反則負けがもう決定しているからね。君が剣を振る必要はないよ。」

 

八幡「………もう勝負は決まったと?」

 

アーネスト「勝手だとは思っているだろうけど、我々ガラードワースからしてみれば、これ以上の失態を世間に晒すわけにはいかない考えでね。どうか、剣を収めてはくれないだろうか。」

 

八幡「っ!ちょっ……」

 

 

そう言ってフェアクロフさんは剣を床に置き、頭を下げてきた。まさか頭まで下げるとは思ってなかった。

 

 

???「比企谷八幡くんだね?私はガラードワースの運営母体【EP】の幹部兼諜報工作機関【至聖公会議(シノドミアス)】の統括をしているコール・メスメルという者だ。」

 

 

工作機関の統括者!?そんな大物がなんで!?

 

 

コール「今回の葉山隼人の一件、誠に申し訳ない。ついては、その後の処罰は我々に任せてはもらえないだろうか?君の気持ちも理解しているつもりだ。愛する人を奪おうとした者を許すつもりなどない事を。我々【EP】もそれに見合った処罰をする事を約束する。伏してお願い申し上げる。」

 

 

八幡「っ!!」

 

 

【至聖公会議】のトップまでもが頭を下げてきた。いや待って、俺別にこいつをどうこうしようって気はないから!やりたいならそっちに任せるから!

 

 

八幡「あ、頭をあげて下さい!俺は別にこいつをどうこうしようとは考えてないので……そりゃ、シルヴィを俺の物にするって言った辺りから、ボコボコにしてやろうって気にはなりましたけど……ガラードワースの方で処分を決めてくれるのなら、俺はそれに同意しますよ。」

 

コール「………ありがとう。彼の件については【EP】幹部全員を集めてしっかりと会議する事を約束する。思っていたような処罰にならなくても、そこは理解して欲しい。」

 

アーネスト「比企谷くん、改めてありがとう。葉山隼人の強さの秘密、そしてガラードワースの汚点を見つけてくれたことにお礼を言うよ。」

 

八幡「い、いえ……」

 

 

……まぁガラードワースだから、処罰が甘いなんて事はまずないだろう。

 

 

コール「さて……君には聞きたい事が山ほどある。言っておくが逃げようだなんて考えない事だ。アーネストくん、彼を拘束して連行してくれ。そして彼を24時間体制で監視するよう手筈を整えておいてくれ。これから会議の準備も進めなければならない。出来る限り早めに済ませたい。」

 

アーネスト「分かりました。葉山くん、今から手錠をかけるけど大人しくしていように。抵抗すればそれだけ罰が重くなるだけだからね。」

 

葉山「ま、待ってください!!俺はそれが身体強化の道具だったなんて知らなかったんです!!」

 

アーネスト「ほう?比企谷くん、彼はこう言ってるけど、君はどう思う?」

 

八幡「あり得ませんね。俺がこいつに服装や機械の事を言ったら、明らかに狼狽えてましたから。」

 

葉山「そ、それを言うなら比企谷、お前のあの姿はどうなんだ!!力も明らかに倍増していた!!あれも不正なんじゃないのか!?」

 

 

道連れにする気か?往生際悪過ぎるだろ。お前と違ってこちとら自分の実力で勝負してんだよ。

 

 

八幡「別に力が倍増=不正ってわけでもないだろ。なんで俺がそんなことしなくちゃならねんだよ。それなら去年の時点で俺は不正しまくりだぞ。」

 

葉山「黙れ!!そこまで言うのなら検査もやってくれるんだろうな?」

 

八幡「あぁ、いいぞ。」

 

 

その後、大会委員会とアルルカントの生徒で俺の憑霊した時のデータを取った。だが数値は正常、言うならば霊的な反応が異常に強いくらいの数値で、俺の能力自身は上がってなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「で?他に何かあるか?」

 

葉山「ぐっ……ゔゔぅぅ……」

 

コール「無いようだね。時間を取らせてしまって悪かったね。比企谷くん、今回は本当に済まなかった。そしてありがとう。最後に、優勝おめでとう。」

 

 

そう言ってメスメルさんは両手を後ろに組んで歩き出し、フェアクロフさんも葉山を押さえながらそれに続いた。その時、フェアクロフさんは俺の方を見て目礼をした。多分、優勝おめでとうという意味だろう。

 

 

小苑「見事じゃったぞ八幡よ。流石は我が弟子じゃ。これで母子二代三冠制覇も夢ではなくなってきたのう。」

 

八幡「ありがとうございます、小苑さん。それで……その方は?小苑さんの友達……ですか?」

 

麗蘭「おや、まさか小苑の友人扱いとは。私はそこまで若く見えますかね?」

 

 

………え?違うの?

 

 

小苑「騙されるでないぞ八幡よ、この者は儂よりも年上じゃ。それも25ものう。」

 

麗蘭「そこまで細かく言う必要はあったのでしょうか?別に構いませんが。」

 

 

25も年上!?嘘だろ!?見た目小苑さんと同じ30代どころか20代だぞ!?ホントに!?この見た目で50歳超えてるの!?

 

 

麗蘭「改めて名乗りましょう。初めまして、比企谷八幡さん。私は春 麗蘭と申します。こう見えても50の後半で、界龍の諜報工作機関【龍生九子】のトップでもあります。以後、お見知り置きを。」

 

 

またトップかよ……

 

 

小苑「お主、1つ忘れておるぞ。八幡、こやつは儂と同じ二つ名を持っておる。そして儂よりも年上じゃ。頭の良いお前なら分かるじゃろう?」

 

 

同じ二つ名?小苑さんは2代目の……!!?……嘘だろ………

 

 

八幡「初代の……【万有天羅】?」

 

麗蘭「正解です。でもそれはもう昔の話です。今はただの一工作機関のトップなだけです。今回は貴方の実力を拝見しに来ました。思った通り逸材ですね……こんな才能の塊をよく見つけましたね、小苑。」

 

小苑「まぁのう。偶然に近かったが、まだ光るであろう?」

 

麗蘭「えぇ、これからの成長が楽しみですね。私も彼を鍛えてみたいと思う程に。」

 

 

…………

 

 

麗蘭「それではそろそろお暇しましょうか。では八幡さん、またいつか会いましょう。優勝おめでとうございます。」

 

小苑「八幡よ、また一つ成長した事、儂は嬉しく思うぞ。優勝、おめでとうなのじゃ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とんでもねぇ人と会ったな……まさか初代の【万有天羅】が来るなんてな。

 

 

梁瀬『……え、えーよく分からない空気になってしましましたが、試合終了です!!勝者、チーム・ジャスティスの不正により、チーム帝龍です!!』

 

 

実況がこうは言ったものの、会場はそんなに盛り上がっていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





まぉ、こうなった後に盛り上がることなんてできませんよね。

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