八幡side
思えばこの2週間、学ぶことや身についたことが多い。それだけ力を持て余しているということか。まだ未熟という事だな。俺は序列戦前日の今日、最後の稽古をつけてもらっていた。内容は、どんな手を使ってもいいから一撃をいれること。
だが一撃どころか攻撃が掠りもしない。終いに俺は、受けるか遊ばれてるばかり。
アレマ【どうしたんだい、八幡ちゃん?あんたの実力はこんなもんかい?あたいはもっと強かったと思ってたんだけどねー?】
八幡「………」
アレマ【あたいの動きには付いてこれてるようだけど、それじゃ暁彗と同じレベルだよ?君はあいつを超えるんだろ?】
アレマ【2週間の稽古は無意味かい?これだけ時間が経っても、あたいに一撃すら入れられないなんて、冗談にも程があるよ。】
八幡「……はぁ、いろんな意味で凄過ぎですよ、アレマさんは。今の俺では、貴方に一撃を入れるのは難しそうだ。」
アレマ【じゃあ諦めるかい?言っておくけどね、今の君じゃあ暁彗には勝てないよ。精々接戦ってとこだよ。】
八幡「……今の俺ってそんなに弱いですか?結構傷つきますね。」
アレマ【あぁ、今までで一番。そんなんであたいに攻撃が入ると思ってるのかい?だったら、剣術の時に使った影と剣の合体技を出してみなよ。】
………まぁ、そりゃそうか。稽古中の俺だったら、必ず一回は攻撃が入っていた。
だが、今日は一度も入れてない。
八幡「じゃあ、今から本番っていうのはどうですか?少しこの場でも試したい事があるんですよ。」
アレマ【良い度胸じゃないか。まるで手加減していたかのような言い草だね?それとも本当に手加減をしていたのかな?もしそうだって言うんなら、あたいも手加減なんてモンはしねぇぜ?】
八幡「そっちの方がやり甲斐があるってもんですよ。さっきまでの貴方は、まるで遊んでる感じしかしなかった。だから俺も手を抜いていたわけですよ。」
アレマ【言うじゃないか。だったらあたいも本気でいこうか。精々頑張って一撃当ててみることだねっ!】
………望むところだ。
八幡sideout
暁彗side
ーーー青竜の間ーーー
暁彗「………………師父、ご教授感謝致します。」
星露「うむ、またいつでも来るがいいぞ。暁彗よ、いよいよ明日じゃな。お主も存外、楽しみなのではないか?」
暁彗「………………違うと言えば嘘になります。興味も少し。」
星露「ほほう?お主が興味を持つ程か。」
暁彗「………………」
星露「にしても、明日が待ちきれんわい!早く明日になってはくれんかのう?」
陽乃「……2人とも、凄かったね。私じゃあんな組手出来ないよ……」
星露「来ておったのか、陽乃。お主もいい加減それを直したらどうじゃ?明日になれば姿を現わすというものを。」
陽乃「だってぇ〜比企谷くんに会えないんだもん〜!」
陽乃「2人に分かる?私のこの気持ち?会いたいのに会えないこの気持ち、何処にぶつければいいっていうのよ?」
星露「そんなものは知らんのじゃ。」
暁彗「………………」
陽乃「もぉ〜!2人共冷たいよー。」
陽乃「いいもーん!序列戦が終わったら、比企谷くんをいっぱい構っちゃうんだから!2人がなんて言おうと絶対に譲ってあげないんだからねっ!」
星露「いらんわい。」
暁彗「………………」
此方はいつでもいいぞ、比企谷八幡。
卿の実力は明日、試させてもらうぞ。
ーーーーーー
八幡side
八幡「……どうです?これなら文句ないでしょう?」
アレマ【……君って奴は星辰力もさる事ながら、強さもとことん化け物じみてるね。あたいに膝をつかせるなんて。】
八幡「ああ言った以上、本気出さないわけにはいかないんで。」
アレマ【一応聞くけど、あれが切り札かい?にしては余裕そうに見えるけど?】
八幡「二番目の……ですかね。奥の手はまだ見せてません。」
アレマ【食えない奴だな、君は。あたいを騙していたなんて、罪な男だな。】
八幡「それで……どうです?これで認めてもらえますかね?アレマさん?」
アレマ【認めない訳ないだろ?あんだけ見せつけられたら、認めざるを得ないよ。明日はあたいも見に行くからね。精々暴れてくるといいよ、八幡ちゃん。】
八幡「ありがとうございます。」
アレマ【さて、最終稽古も終わった事だし、ご飯でも食べようか〜。勿論、八幡ちゃんの手作りでね!】
八幡「あの……俺が最初に飯作って以来、貴方一回も作ってませんよね?そこんとこどうなんですか?」
アレマ【いいじゃないか。稽古代と家賃代さ。そう思えば安いものだろう?」
八幡「抜け目ないッスね……」
まぁいいか。
いよいよ明日だな。
絶対あんたを倒すぜ。武暁彗。
次回もう1話入れてその次にバトルの予定です。