学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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再来店と花の名前

 

 

八幡side

 

 

はぁ………視線が痛い。これは昨日、一昨日もそうだったが、周りからの視線が痛いのだ。理由?そんなもの決まってるだろ……2人のせいですよ。

 

何度も言って聞き飽きているとは思うが、必要以上に腕に抱き着いてるもんだから、周りからはマイナスな視線が向けられている。2人はそんなことも知らずに歩いている。もう少し俺にも気を遣ってくれませんかね?

 

 

シルヴィア「それで八幡くん、そのフラワーハウスっていうのはどの辺りにあるの?」

 

八幡「商業エリアの北西の方だ。だからクインヴェールが近い所にあるんだが、知らないか?」

 

シルヴィア「ううん、聞いたことないなぁ。クインヴェールの子たちがお花に興味がないっていう理由なら頷けるけど、アクセサリーも作れるならそこそこ評判になると思うんだけどな〜。」

 

八幡「しかもこの前の記者会見の時に、俺が指輪出しただろ?アレもあの店で作った物だから、少しは人気になってると思ったんだがな。」

 

 

もしかしたら会見の方に意識が行き過ぎて、こういうどうでもいい事は聞き流していたのかもな。

 

 

オーフェリア「………行ってみれば分かるわ。あのお店がいかに凄いっていうのが。」

 

シルヴィア「………なんか説得力あるね。」

 

八幡「花好きのオーフェリアが言うんだ、この説得力は当然だろ。」

 

 

俺はオーフェリアと前に来たことがあるから分かるが、店の前に到着しただけでも、身体から輝きという瘴気が溢れていたからな。中に入ったらそれがさらに増す。

 

 

ーーーフラワーハウスーーー

 

 

オーフェリア「………」(キラキラ)

 

シルヴィア「………こんなオーフェリアさん初めて見たよ。目どころか、身体まで輝いてない?」

 

八幡「この感動を身体で表現しているって事だろ。マジで凄い輝きだな。」

 

 

でもこの上があるんだよなぁ……入れば分かるけどよ。

 

 

店員「いらっしゃいま……っ!」

 

 

おい、そこの店員。そのいかにも『また来てくれたんですね!』みたいな顔をするのはやめろ。

 

 

オーフェリア「………」(ギラギラ)

 

 

俺の右隣、スゲェ眩しいんだけど。

 

 

シルヴィア「なんか今のこの状況ってさ、お花よりもオーフェリアさんの方が目立ってるよね。明らかにオーフェリアさんから放たれてる輝きの方が凄いもん。」

 

八幡「あぁ……ていうかこの前来た時よりも輝き増してるような………オーフェリア、なんかあったのか?」

 

オーフェリア「………新しいお花が増えてるわ。」

 

 

この距離で分かるの!?君の花に対する視力ってどうなってるの!?

 

 

オーフェリア「………見た限りでは10種類は増えているわ。それも最近開発されている新種の配合で生まれた花たちだわ。凄いわ。」

 

シルヴィア「………こう言ってますけど、実際はどうなんですか?増えてますか?私はここに来たの初めてなので分からないんですが。」

 

店員「はい、増えています。約14種の新種の開発に成功しました。季節別での配合はまだ実験していませんが、同季節での花同士の配合の開発は約3割成功致しました。」

 

店員「例えばこちらの薄紫色のお花なんですが、紫のカーネーションとジンチョウゲを配合したもので、私たちはこの子の名前を《エルシエーロ》と名付けました。花言葉はまだありません。」

 

 

八幡「シルヴィの髪の色と似てるというか、そのまんまだな。なんなら《リューネハイム》でも良かったんじゃないか?」

 

シルヴィア「や、やめてよ〜!それだと私だってすぐにバレちゃうじゃん!」

 

店員「……良いですね、その案。確かに彼女さんの髪の色と同じですし、どことなく雰囲気も落ち着いていて気品のあるような感じ……少し店長とお話ししてきますね!!このお花の名前は決まったわけではないので、もしかしたら通るかもしれません!!」

 

シルヴィア「だ、大丈夫ですよ!結構ですから〜!!」

 

 

店員さんはシルヴィの言う事も無視して行ってしまった。ていうか速いな。星脈世代顔負けのスピードだ。

 

 

シルヴィア「もぉ〜八幡くんがあんなこと言うからだよ〜!あの人絶対本気だよ!!」

 

八幡「い、いや、俺も冗談だったんだが………まさか本気にするとはな……ていうかオーフェリアは?」

 

シルヴィア「え?あれ?そういえば……あっ、あんな所にいる!」

 

 

シルヴィの指差した場所は夏の花が咲いているエリアだった。もしかしなくても新種の観察だろうな。

 

 

店長「お待たせ致しました。当店の店長をしている者です。」

 

 

………マジで連れて来やがった。

 

 

店長「《エルシエーロ》の名前の事なのですが、まだ決定ではないので………」

 

シルヴィア「い、いえ!こちらも悪ふざけで言っただけなので、気にしないでください!」

 

店長「来月に新種の花の名前を決める会がありまして、その会議の方で正式に決まりますので、是非リューネハイムさんの家名を使わせては頂けないでしょうか?」

 

 

本気だった!?まさかの使う気満々!?さっきまでの雰囲気だったらダメ丸出しだったのに、思いっきり使う気でいるよこの人!!

 

 

シルヴィア「え、えぇっと……本当に私のでいいんですか?」

 

店長「はい、是非使わせてください。」

 

シルヴィア「………分かりました。そこまで言われたら断れませんから。」

 

店員「っ!!ありがとうございます!次の会議では必ずこの子に《リューネハイム》という名前をつけてみせます!」

 

シルヴィア「は、はぁ………」

 

 

その後、4月のニュースを見てみたら、『新種の花の開発成功!!名前はあの《リューネハイム》!?』と記事になる程で、フラワーハウスにあった《リューネハイム》は瞬く間に完売した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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