学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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あの時から今まで

 

 

八幡side

 

 

………良い感じに出来上がったな。後はこれを乾かしておけば完成だ。シルヴィは……おぉ、完成度高いな。シルヴィも細かい作業は得意みたいだな。しかし考えたな、シルヴィがつけている指輪が金のリングに赤い結晶なら、俺に作っているのは銀のリングに青い結晶か。センスが良いな。

 

 

店員「………違ったら失礼ですけど、もしかしてお二人さんって夫婦ですか?」

 

 

………この集中しているときに何を聞いちゃってくれてるんですかね。シルヴィは集中しているみたいだから聞こえてないみたいだから良かったが、聞いていたらヤバイことになってた。

 

 

八幡「いえ、違います。ただの恋人ですよ。」

 

店員「知ってますって〜!今話題の界龍序列2位の【夢幻月影】さんとクインヴェール序列1位の

【戦律の魔女】さんですよね?世界中誰もが知ってる有名人ですからね〜!」

 

 

知ってて聞くとはこの人も性格悪いな。

 

 

店員「いやぁ〜やっぱり仲がよろしいんですねぇ〜。こうやって見てても分かります。何もしていないのに2人の雰囲気とか、【夢幻月影】さんの【戦律の魔女】に対して送る目が優しいんですよね〜。」

 

八幡「………そんな目してました?」

 

店員「してましたよ〜。そりゃもう!!」

 

 

そんなに分かりやすかったのか………今度からは自重することにしよう。もしかしたら無意識で他の場所でもやっていたかもしれないからな。

 

 

店員「細かい作業っていうのは、何も器用なだけじゃ出来るものではないんですよ。簡単に言うと料理と同じです。相手の事を思いながら作ると、自然と満足いく形になるものなんです。まぁ初めてやった方はそうならないでしょうけど、手作りほど人の気持ちが込められたものはありませんからね。」

 

八幡「それは分かります。俺も料理はするので。最初は作る相手はいなかったので特に気にせず作っていましたが、徐々に食べてくれる人が出来て、今ではシルヴィが食べてくれますから。最近では新しい料理も試してみようと思い始めてきましたからね。」

 

店員「そうなんですか………彼女さんは幸せ者ですね。彼氏さんにここまでされているんですから。」

 

八幡「その分俺も、シルヴィアから色々ともらっているのでおあいこですよ。」

 

 

シルヴィからもらっているもの、色んなのがある。中でも1番嬉しかったものは………『信じたい』って言葉だったな。多分……いや、あの言葉が無かったら、きっと今も俺は人を信用してはいないだろう。シルヴィが………あの言葉を言ってくれたからこそ、今の俺がいるんだよな。

 

 

シルヴィア「………はぁ、こんな感じかなぁ。出来ました!」

 

店員「おぉ!彼女さんも素晴らしい出来ですね!」

 

シルヴィア「いえそんな///八幡くんに比べたら大したことありませんよ。」

 

店員「では、微調整の方は私がしますので、お2人は店内を回っていても大丈夫ですので、デートを楽しんで下さい。」

 

シルヴィア「は、はい///」

 

 

八幡sideout

 

ーーーーーー

 

 

ーーー創作教室・出入口ーーー

 

 

シルヴィア「出来上がり楽しみだね〜!やっぱり最初から指輪って難易度高かったかな?もっと簡単なのにすればよかったかな?」

 

八幡「………」

 

 

ギュッ

 

 

シルヴィア「えっ!?ちょ、八幡くん!?///」

 

八幡「………」

 

 

八幡はなんの前触れもなく、急にシルヴィアを後ろから抱き締めた。これにはシルヴィアも動揺しているようだ。

 

 

シルヴィア「ど、どうしたの?きゅ、急にこんな………抱き締めたりして/////」

 

八幡「………さっき、俺たちが最初にデートした時の自己紹介のことを少し思い出してな。その後のシルヴィの言葉も思い出してた。」

 

シルヴィア「最初のデート、私の言葉………あぁ、あの時の言葉だね。」

 

 

シルヴィアも懐かしむように少しだけ微笑んだ。

 

 

シルヴィア「あれからもう1年半、もうすぐ2年経つんだね。なんかあんまり遠い昔の話って感じがしない。一緒にいることが多いからかな?」

 

八幡「それもあるかもな。けど、やっぱり1番は俺たちがこういう関係になったからじゃないか?そうじゃなかったら、こんな風に出来ないからな。」

 

シルヴィア「………そうだね。」

 

八幡「あの言葉がなかったら、俺は今も人を信じられてないと思っている。だから改めて言いたい。あの時、俺を信じたいって言ってくれて、ありがとう。」

 

シルヴィア「………」

 

 

八幡がシルヴィアに感謝の言葉を告げると、シルヴィアは八幡の前に組んである両手を優しく掴んだ。

 

 

シルヴィア「あの時の言葉は今でも忘れてないよ。それに、その気持ちは今でも同じ。ずっと君を信じていたい。ううん、信じているからね。」

 

八幡「………あぁ。俺もシルヴィを信じているし、愛している。」

 

シルヴィア「っ!!………私も、八幡くんを信じているし、愛してます。」

 

 

2人は目を瞑りながらその場で立っていた。偶々それを見ていた店員と常連客は後にこう述べていた。

 

 

『2人の立っているあの場所だけ、花がいつも以上に咲き誇っていた。』と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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