オーフェリアside
………八幡がラーメンを食べに行こうと言ってから少し歩いたわ。今私たちがいるのは、六花の商業エリアの北に来ているわ。やっぱりレヴォルフ付近の商業エリアに比べると凄く賑やかね。
………私はあまり外食を好んでするタイプではないから分からないけど、ラーメンって美味しいのかしら?レヴォルフでも食べてる生徒は見るけれど、特に美味しそうな表情をする人は見かけなかった気がするわ。
………それとも無愛想なだけかしら?
シルヴィア「それで八幡くん、どこのラーメン屋さんに行くの?私あまりそういうのに詳しくないから。」
八幡「心配するな、味は俺が保証する。何せ俺が六花に来て間もない時に最初に食べたラーメン屋だからな。調べたら1番に出てくる店だ。」
オーフェリア「………なら混むと思うのだけど。」
シルヴィア「うん、私もそう思う。」
八幡「ところがその店、見つけにくいことで有名な店なんだよ。店舗画像で見ても場所が分かりにくくて諦める人も多いんだよ。ある意味違う意味でも人気ではある。」
シルヴィア「でも商業エリアの、しかも一番賑やかな場所で分からないなんてあるのかな?分かりそうな感じするけどなぁ。」
オーフェリア「………そもそも、そのお店は隠れているのかしら?普通のお店ではないの?」
八幡「普通の店だぞ。なんの偏見もない普通のラーメン屋だぞ。」
………八幡がこんなにも勿体ぶるところは初めて見た気がするわ。一体どんなお店なのかしら?
ーーー5分後ーーー
シルヴィア「八幡くんまだぁ〜?」
オーフェリア「………ずっと歩いているのだけど、本当にこっちなの?」
八幡「もうすぐだ、あと少し頑張ってくれ。」
………もうすぐという言葉を使ってすぐに着いた人はあまりいないわ。それに、こんな入り組んだ所にラーメン屋があるとは思えないわ。
八幡「ほれ、着いた。」
□□□糸麺曽華□□□
………なんて読むのかしら?
オーフェリア「………八幡、あれはなんて読むの?」
八幡「《しめんそか》だ。日本の四字熟語に《四面楚歌》っていうのがあるんだ………この漢字の事な。この漢字を変換したものだ。」
シルヴィア「あれでそう読むんだ。でも何でかな、後の漢字の適当さがここまで伝わってくることってあんまり無いよね。」
………一生懸命考えた末、こうなってしまったのでしょうね。
シルヴィア「思ったこと聞いてもいいかな?」
八幡「大体予想はつくが、あえて聞く。何だ?」
シルヴィア「糸麺ってあるけどさ、本当?」
………私も気になったわ。
八幡「………さ、入るか。」
シルヴィア「あっ!逃げるな!質問に答えなさい!オーフェリアさんの真似しない!」
私の真似?私の真似をしたのかしら?
八幡「これ以上この店のメンタル削るなよ!抉ってやるなよ!俺なんかだんだん可哀想になってたぞ!糸麺って書いてあるからって糸の麺じゃなきゃいけないって理由にはならないだろ!もうちっと気を遣えよ!後、オーフェリアの真似って何ぞ?」
………違ったのね。特に気にしていたってわけではないけど。
シルヴィア「ちょっと気になったから質問しただけなのにこの言われ様………私何か気に障るようなこと言ったかな?」
オーフェリア「………このお店に関する事くらいかしら?」
………それ以外に思いつかないわ。
八幡「………いや、まぁその通りなんだけどよ、あんまりそういうのは触れるなよ?」
シルヴィア「う、うん。」
オーフェリア「………分かったわ。」
八幡「よし、じゃあ入るぞ。」
シルヴィア「はぁーい♪」
オーフェリア「………」
八幡「ところでオーフェリアのマネってあんな感じで良かったのか?それとも顔を背けた方が良かったか?」
オーフェリア「っ!えぇ、顔を背けた方が私に似ていたと思うわ。」
八幡「そうか……なら次はそうしてみるか。」
オーフェリア「えぇ、オススメするわ。」
シルヴィア「変なこと勧めないの!八幡くんも変な事はしないようにね!」
ガララッ
店長「らっしゃい!おっ、坊主か!ん?何だよ今日は女連れか?いつから誑し込んでたんだ?」
八幡「1人はそうだが、1人はそうじゃねぇよ。昼飯に困ってたからここに連れてきたんだよ。」
店長「真面目そうに見えて盛ってんじゃねぇか!で、どっちが坊主の女だよ?」
八幡「こっちだ。ていうか分かってんだろ?」
店長「まぁな!」
………気さくな人なのね。嫌いではないけど、少し苦手ね。
シルヴィア「初めまして、クインヴェール女学園のシルヴィア・リューネハイムです。八幡くんの彼女です。よろしくお願いします。」
店長「おう!俺はここの店主だ!まぁ坊主のおかげで此処はもう分かっただろう。今後ともご贔屓にな!そんで、そっちの白髪の姉ちゃんは?」
………少し冗談でも言ってみようかしら。
オーフェリア「………レヴォルフ黒学院のオーフェリア・ランドルーフェンよ。八幡の………愛人よ。」
八幡「………は?」
シルヴィア「なぁっ!!?」
店長「………坊主よぉ、オメェいつから2人も枠に入れてたんだよ。まさか冷やかしか?女っ気のない俺への当てつけか?」
八幡「チゲェに決まってんだろ。大体あんたに冷やかしたって自慢にもならねぇよ。それよりもオーフェリア、お前は俺の愛人じゃないだろ。」
オーフェリア「………違うの?」
八幡「俺がいつ愛人にした?言った覚えもねぇよ。」
………からかっただけなのに、本気にし過ぎよ。
シルヴィア「………オーフェリアさん?少〜し外に出てお話でもしない?」
オーフェリア「………少しやってみたかったのよ、こんな冗談。」
シルヴィア「度が過ぎてると思うけど?」
オーフェリア「………ドッキリ大成功?」
シルヴィア「ふぅ〜ん………外に行こっか。」
っ!捕まっちゃうわ。だって顔は笑っているのに、目が笑ってなかったわ。
オーフェリア「………八幡、助けてちょうだい。シルヴィアの目が笑ってないわ。ラーメンの前に私を食べる気だわ。」
八幡「………シルヴィ、差し上げます。」
シルヴィア「ありがと、八幡くん♪」
オーフェリア「………八幡の薄情者。」
………そして私はシルヴィアと一緒にお店の外へと向かうのであった。
オーフェリアsideout
八幡side
店長「………坊主よぉ。」
八幡「………なんだ?」
店長「………女ってのは怖ぇな。」
八幡「………あぁ、そうだな。」
冗談だってのは分かってたが、まさかシルヴィが真に受けちまうとはな………
八幡「………何もないことを祈るか。」
店長「………あぁ、そうだな。」
5分後に戻って来たが、そこまで変化はなかった。強いて言えば、シルヴィが少しだけ疲れたような感じになっていた。オーフェリアは行った時と変わってなかった。シルヴィ、なんでお前が疲れてんだ?
その後はラーメンを注文してお店を後にした。
因みに頼んだラーメンは、俺が赤味噌、シルヴィが塩、オーフェリアが白味噌を頼み、全員大絶賛の満足いく結果になった。