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暁彗「………………」
八幡「………………」
両者互いに距離を取りながら、星辰力を纏いつつも睨み合っている。武術は五分五分、何方も見事と言える程の打ち合い。『攻め過ぎず守り過ぎず』でありながらも、『攻めながら守り、守りながら攻める。』の攻防だった。
八幡(武先輩がどんくらい星辰力持ってるか分かんねぇから乱用は避けたいな。せめて鏡花水月か明鏡止水で抑えたいな。あの技はここではまだやりたくない。)
暁彗(………………比企谷八幡の星辰力は未知数。おそらく私では半分にも及ばないだろう。ここは早々に決着をつけたいところだが、それは容易ではないだろう。慎重にいかねばな。)
暁彗「急急如律令。」
暁彗がそう唱えると、フィールドのあちこちに雷の柱が現れた。
その瞬間、6つの方向から雷鳴が走り、八幡に襲いかかる。が、八幡はその場に固まったかのように動かない。
八幡「
八幡がそう素早く唱えた瞬間、雷は八幡を避けるように通り過ぎ、柱にぶつかり柱共々に消え失せた。
暁彗「…………………(まさか、雷除けの詠唱を身に付けていたとは。)なかなかやる。この速度の呪法を瞬時に見切るとは。」
八幡「まだまだ未熟ですよ……光を閉ざせ、夜よ、闇よ。暗黒の
お返しとばかりに八幡が唱えると、辺りが黒くなり、視界がゼロになった。
暁彗(………………この呪法は?闇?)
暁彗「………………っ!」
暁彗の第六感が働いたのか、身体が右に逸れた。そこには、人影らしきものがあった。おそらく八幡であろう。
が、またも消えた。
暁彗「……………幻術の類か……發っ!」
すると暗黒は消え、前には八幡が祢々切丸を持って構えていた。
八幡「……あれが当たらないなんて、やっぱり凄いですね。どうやったんですか?見えないはずなのに。」
暁彗「………………いや、あれは勘が働いたに過ぎない。私は反応出来なかった。私も修行が足りないな。」
すると次は呪符を取り出して………
暁彗「輝剣よ、天より降りて、霊樹に宿れ 喼急如律令。」
その瞬間、辺りから木が生え始めた。だが、暁彗はまた呪符を取り出し、再び詠唱を始めた。
暁彗「宝具よ。鬼の木気を破魔の火気に変えたまえ――五行相生、木生火。」
生えていた木は急に燃え始め、巨大な炎の球に変わった。
小苑「ほう、木と火の合わせ術か。まぁ、暁彗なら当然じゃの。」
アレマ【んー、八幡ちゃんはどう動くかなー?楽しみだねー。】
暁彗は詠唱を言い終えると、八幡に向かって炎の球を投げつけていた。
八幡(あれを止めるのは骨が折れるな……仕方ねえ、やるか。)
八幡は、祢々切丸を中段に構え、詠唱を始める。
八幡「ノウマク・サラバタタギャテイビャク・サラバボッケイビャク・サラバタタラタ・センダマカロシャダ・ケンギャキギャキ・サラバビギナン・ウンタラタ・カンマン!」
すると炎の球は、祢々切丸に吸い込まれていくように刀に纏わりついた。
暁彗「………………っ!」
暁彗(………………火の制御!?こんな高等詠唱をどこで?)
沈雲「火気の制御!?一体どこでこんな詠唱を!?」
沈華「私たちでも出来ない高等詠唱なのに!?一体どんな鍛錬してたっていうのよ……」
虎峰「彼は……本当に八幡なのでしょうか?とてもそうは思えません。」
すると、八幡の祢々切丸に纏っている炎が紫色に変わり、暁彗に向かっていった。
八幡「焔撃……不知火っ!」
暁彗「………………っ!」
アレマ【おっ、あたいにやった技だね。しかもあの炎を制御したからか、あの時よりも数段威力が増してるね。】
八幡「陽燐っ!布天火っ!火糸っ!照雷っ!罪炎っ!朱紅刃っ!翔煉刃っ!」
暁彗「………ムゥ。」
八幡の技は、僅かにだが当たっていた。そして八幡は、後ろに下がり地面に手をついた。
八幡「飲み込めっ!影龍!」
突然、八幡の影から10mくらいある黒い龍が現れた。
そして八幡はその龍の頭に乗り、再び暁彗に突進していった。
暁彗「…………………奔流よ、破れっ 急急如律令。」
両者共に、正面から突っ込んでいった。
暁彗「水双拳っ!」
八幡「龍天火っ!」
拳と刀がぶつかり合い、大きな爆発と共に、両壁際に衝突音が聞こえた。