八幡side
皆様おはようございます、比企谷八幡です。さて、俺は………というより俺たちは今、界龍に向かっている所だ。昨日の夕方あたりに界龍に行って運動でもしようという提案を2人が受けてくれたから、久々に帰る。
久々と言っても2週間ちょいだが。
旅行4日目にして学院に行くことになるとは思わなかったが、2人にとっては一種の観光みたいなものだろう。この前の講習会以来だから退屈はしないだろう。八天門場が空いていれば良いんだが、そうなっていないだろうな。道場の中で一番広いの俺の道場だし。
シルヴィア「ねぇ八幡くん。運動するって言ってたけど、どんな運動するの?」
八幡「そこまでは考えてなかったな。ただ単に体を動かせればいいって感じで言っただけだから、特にこれっていうものはないんだ。」
オーフェリア「………八幡もあまり考えていない時ってあるのね。」
八幡「俺だってそういう時くらいある。むしろ考え過ぎていたらパンクしちまうからな。それに、この1週間は出来るだけ他のことは考えないようにしている。楽しめなくなっちまうからな。」
オーフェリア「………それもそうね。それなら次はシルヴィアの学園かしら?クインヴェール女学園がどんな所なのか、少し興味あるわ。」
シルヴィア「おっ、良いねぇ〜。じゃあ明日はクインヴェールに行こっか!」
八幡「……そしたら俺お留守番か?」
シルヴィア「え?なんで?」
オーフェリア「………何を言っているの?」
2人「一緒に決まってるよ。(じゃない。)」
八幡「いや、クインヴェールって男子禁制だろ。俺が入っていいわけないだろ。」
シルヴィア「それなんだけどね八幡くん、ペトラさんに聞いたら……『八幡くんなら別に入れても問題ないわよ。女の子のプライベートを侵害するような変態ではなさそうだから。』って言ってたから、事前にというよりも興味本位で聞いてみたら、結果入れても大丈夫みたいな返事を貰ってるから。」
おい、クインヴェール理事長!そんなんでいいのかよ!そんな理由で男子禁制破っちゃっていいのかよ!?もうちっと考えようよ!
オーフェリア「………私の学院には見せ所なんてないから無しかしらね。」
八幡「まぁ、この前行った時はカジノがあったが、あれは出し物ってだけでいつもあるわけじゃないんだろ?」
オーフェリア「………えぇ。」
………ならあまり見るもんはねぇか。けどそれはそれでなぁ……ちょっと除け者にしてるようで気が引けるんだよなぁ。
あっ、そうだ。
八幡「ならよ、前生徒会長に会うってのはどうだ?実は俺、《鳳凰星武祭》以来会ってなくてな、奴の顔を少し拝んでおきたい。」
オーフェリア「………彼に?それだけの為にレヴォルフに来るって言うの?」
八幡「勿論それだけじゃねぇよ。レヴォルフの生徒会とも連携を取っておきたい。まぁ今のメンバーの殆どは面識あるけどな、ちょっとだけ。」
うん、本当にちょっとだけ。
シルヴィア「なら私もレヴォルフに行きたいなぁ。最近は大人しいから、オーフェリアさんがどんな教育をしているのかも気になるし。」
オーフェリア「………人聞きの悪い事を言わないで頂戴。教育じゃなくて躾よ。」
そっちの方が悪いわ!躾って何!?レヴォルフの全生徒犬かよ!?言うこと聞かない犬は毒に侵されるって奴か?マジで怖すぎるんだけど……
シルヴィア「……それって本気で言ってる?」
オーフェリア「………冗談に決まってるわ。私自身、他所の人たちに迷惑をかけるのは本意じゃないから。教訓……と言ったところかしら。」
八幡「……まぁそれくらいなら納得出来るな。流石に俺も躾って聞いた時はビビったぞ。特にオーフェリアが言うと冗談に聞こえねぇからな。」
オーフェリア「………どうしてかしら?」
八幡「声のトーンもそのままだし、顔だって変えないからだよ。それがオーフェリアらしさでもあるんだけどよ。」
変化がないってある意味恐ろしいんだな。
シルヴィア「と、取り敢えず界龍に向かおうよ。このお話はこれでおしまいっていうことでさ!」
オーフェリア「………そうね、じゃあ行きましょう。時は有限だものね。」
ーーー界龍第七学院・校門前ーーー
門番1「………ん?あれは……尊師っ!!」
門番2「尊師っ!?確か1週間学院を離れると師父から伺っていましたが………」
門番1「見た所、奥方様ともう1人客人をお連れになっているようだな……普段通りでいくぞ。」
門番2「はっ!」
八幡「よぉお前ら、少し早いが一旦帰ってきたぞ〜。」
門番「お帰りなさいませ!尊師、奥方様!!」
シルヴィア「……いつも思うんだけど、わざとじゃないんだよね?」
門番1「はい!」
シルヴィア「………叱るに叱れないってこういう事なんだね。ちょっと大人の苦労が分かったかも。」
門番2「尊師、お隣にいるのはレヴォルフの序列1位
《孤毒の魔女》で相違ありませんか?」
八幡「あぁ。なんか問題あったか?」
門番2「いえ、特に何も。ただの再確認です。」
八幡「そうか……取り敢えず中に入るか。2人共パスポートは作ってあるから問題無いな?」
シルヴィア「うん!大丈夫だよ〜♪」
オーフェリア「………問題ないわ。」
八幡「んじゃあー行くか。あっ、それと1つ聞いていいか?」
門番1「はい、如何されましたか?」
八幡「今って八天門場ってどうなってる?やっぱり皆使ってる感じか?」
門番1「とんでもありません!!尊師が不在の中であの道場を勝手に使うなど以ての外です!!尊師が扉を開けない限りは使用を禁じています!」
そんな裏ルールがあったのね………八幡知らなかった。
八幡「分かったわ、ありがとな。」
門番1「いえいえ!では尊師、奥方様、お客人。行ってらっしゃいませ。」
シルヴィア「やっぱりあの門番さん狙って言ってるよね?そうにしか思えないよ。」
八幡「もうスルーしちまえよ……」