シルヴィアside
昼食を食べ終わって、私たちは六花の街を歩いています。なぜ今更街を歩いているのかというと、オーフェリアさんが、『………あまり街を歩いた事がないから、街を歩いてみたいのだけど、いいかしら?』って言ってたから今は商業エリアの真ん中辺りを歩いてます。
でもオーフェリアさんが街を歩いてみたいっていうなんて意外だなぁ。インドア派だと思ってたけど、こんな事も言うんだね。
オーフェリア「………何度かは街に歩いた事はあるけれど、やっぱり飽きないわね。」
八幡「町歩きしている方だと思っていたんだが、そうでもないのか?」
オーフェリア「………確かに歩くのだけど、あまり学院から遠くには行かないの。私はこの六花からはあまり良い風には見られていないから。」
シルヴィア「それは………確かにそうだけど、オーフェリアさんが自分を見せれば皆納得すると思うんだけどな。」
実際にオーフェリアさんは、お花を大切にする優しい人だから。それに、八幡くんに対する思いにも嘘なんて感じない。度が過ぎてるって感じる時もあるけど、それだけ八幡くんを気にかけてるってことだからね。
え?よく見てるんだなって?そりゃ八幡くんにあれだけの事をする程だもの。嘘をついてるなんて思えないよ。
オーフェリア「………自分を見せる……でも私は、私の認めた人にしか自分の素顔を見せたくないわ。八幡やシルヴィアのように、私が本音を出してもいつも通りに接してくれる人じゃないと嫌。」
八幡「……まぁこればっかりは俺たちがどうこう言っていいような問題じゃないな。オーフェリア、お前自身で決めることだ。いいと思った奴には自分を曝け出せばいい。それでもしダメだったら、そいつはそれまでの奴だってことだ。」
オーフェリア「………えぇ、ありがとう八幡。」
やっぱり八幡くんは優しいなぁ。だから好きになったんだよね。ほとんど一目惚れだったけどね。
オーフェリア「………八幡はどうなのかしら?自分をさらけ出している相手はいるの?」
八幡「そんなのシルヴィに決まってるだろ。俺の本性を見せられるのはシルヴィだけだ。」
シルヴィア「でも普通の目線から見たら、あんまり変わらないけどなぁ。何処か変わってる?」
八幡「シルヴィはわかってないと思うが、俺はいつもシルヴィアの斜め前にいるようにしてるんだ。今もそうだろ?」
シルヴィア「あっ!確かに斜め前くらいにいる………でもこれになんの意味があるの?」
八幡「それは「比企谷八幡っ!!」……ん?」
シルヴィア「え?」
オーフェリア「………?」
声のした方向に向くと、グッズで売られていたクインヴェールの制服を半被にしたようなのを着た男の人3人組がいた。
八幡「えーっと……何か?」
男1「『何か?』だと!?貴様我々の憧れであるシルヴィア・リューネハイムに気安く近づくな!!」
男2「シルヴィアさんはお前のような何処の馬の骨とも知らぬ下賎な奴が近づいて良いようなお方ではないのだ!!分かったらさっさと離れろ!!」
男3「それから、半年前に交際しているという発表があったが、あれも撤回してもらう!!今すぐシルヴィアさんと交際している事を嘘だと言え!!」
………最近いなくなったと思ったのに、やっぱりまだいたんだなぁ、反対派の人たち。それにしてとさも言いたい放題言ってくれてるなぁ。
八幡「……つまり、シルヴィから離れて交際している事も嘘だと言えばいいのか?」
男1「物分かりが良いじゃないか!!その通りだ!!」
八幡「誰がそんなことするかよ。」
男2「な、何ィィィ!!?」
八幡「お前らがなんて言おうと、シルヴィは俺の女だ。これは俺だけでなくシルヴィも選んだ道だ。お前らの意見なんて聞く義理はない。」
男1「貴様!!我々の言うことが聞けないというのか!?」
八幡「そう言ってんだろうが。それとも何か?今ここで決闘でもするか?」
男3「ふんっ!その手は想定済みだ!我々は非星脈世代なのだよ!もしお前が我々を攻撃したら、お前はこの六花からはいられなくなる!」
この手口は珍しくない。気に食わない人がいれば、自分が星脈世代じゃない事を利用して攻撃をさせる手口。基本的には星脈世代は非星脈世代の人を傷つけてはいけないことになっている。もしそんな事をしたら、本当に六花から追放されてしまうから。
八幡「……成る程、要は自分たちじゃこんなチンケな手でしか俺を脅す事が出来ないから、徒党を組んでこんな事をしたって訳か。なんとも下らねぇな。いかにも陰険そうな奴よしそうなことだ。」
男1「な、何だと!?」
八幡「違うのか?俺が星脈世代で、お前らが非星脈世代だからこうしたんじゃないのか?俺にはそうとしか思えないがな?」
男3「ち、違うに決まっているだろ!」
八幡「違ったか……なら分かるように教えてくれ。俺の考え以外でどんな風にしようとしたんだ?」
男1「そ、それは………」
男2、3「………」
図星、みたいだね。本当の事を言われちゃったから何も言えないんだろうね。
八幡「………どうやら、俺の言っていたことで合っているみたいだな。本当に下らん事するなぁ。それに、もし俺がお前らだったら、もっと上手く立ち回るぞ?」
男2「だ、黙れ!偽善者め!!お前のような奴にシルヴィアさん「そこの貴方たち。」ん?何だ?そこの白髪よ。」
オーフェリア「いい加減にそのうるさい口を閉じてもらえないかしら?私の大切な人をこれ以上侮辱しないで。」
男たち「!!?」
オーフェリアさんが急に喋り出したかと思ったら、すごく怒ったような顔(普通の人から見れば無表情)をしながら、男の人たちを睨みつけていた。
オーフェリア「八幡は私の恩人よ。その人を誹謗中傷する人は何人であろうと許さないわ。貴方たちがどれだけ偉いのかは知らないけれど、そこまで言われて我慢できる程、私は我慢強くないわ。」
うわっ!オーファリアさん本気だ!これ止めないと!
八幡「オーフェリア止せ。」
オーフェリア「八幡、でも………」
八幡「でももへったくれもねぇよ。こいつらにそんな価値はねぇよ。いいからその星辰力を抑えろ。」
オーフェリア「………分かったわ。」
………オーフェリアさんの星辰力が段々と無くなっていった。
男2「ふ、ふぅ……助かった。分かって「勘違いするなよ?」……え?」
ゾクッ!!
これってもしかして………葉山くんにも使った威圧かな?たしか……虎威だったかな?
八幡「今のはお前らの為にやめさせたわけじゃねぇ。オーフェリアのためにやめさせたんだ。本当なら俺がお前らをやらなきゃいけないところを代弁してやってくれたわけだが、流石にあれはアウトだからな。」
八幡「言っておくが、もう何も言うなよ?これ以上、不快な思いをしたくないんでな。分かった奴から失せろ、これは命令だ。」
そう言って八幡くんは威圧を弱めた。すると、男3人組は一目散に逃げて行った。
八幡「………なんか悪いな。」
シルヴィア「どうして八幡くんが謝るのさ!?悪いのはあの人たちなんだから気にしないで!」
オーフェリア「………その通りよ。あなたが気にすることではないわ。」
八幡「………ありがとな。」
その後は何事もなく、六花の街を歩くことが出来た。それにしてもオーフェリアさんって、八幡くんの事になると、あんな風になるんだなぁ……すごい迫力だったよ。