本編に入る前にちょっとした短編閑話です!
何話か入れてから本編に入ります予定ですので、もう暫くお待ちください!
界龍の入学式 ①
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セカンドシーズンの星武祭である《獅鷲星武祭》が終わってから早半年、様々な出来事があった。冬の長期休暇、学園祭、イベント、そして卒業式。どの学園でも年に1度はある別れの式典。界龍では、序列4位の雪ノ下陽乃が卒業生代表を務め、素晴らしい答辞を在校生に贈り、卒業生と共に界龍を去った。
別れを惜しむ間も無く2週間を過ぎると、別れと共に新しい出会いがやってくる。そう、新しい仲間を迎える入学式である。
これは、界龍第七学院で起きた入学式の出来事を記したものである。
虎峰「いよいよ入学式ですね。八幡、何を喋るかは決まってるのですか?」
八幡「何で俺が喋る前提なんだよ……星露は生徒会長だから仕方ないとしても、こういうのはこの学院の最上級生がやるべきだろ。」
沈雲「この学院ではそんなもの通らないよ。君が序列2位に君臨している限り、続くと思うよ。」
八幡「なら序列なんて返上するから誰か変わってくれ。」
沈華「でも、貴方が《尊師》って呼ばれている限りはこの状態は卒業まで続きそうね。」
八幡「どの道ダメじゃねぇかよ……」
当学院の代表は生徒会長で序列1位ある茫星露なのだが、生徒代表の挨拶を務めるのは比企谷八幡なのである。これは彼が序列2位になって、《尊師》と呼ばれるようになった時から決まっている事であった。
補足をすると、彼が序列2位と《尊師》と呼ばれるようになったのは入学して2〜3ヶ月経った頃。つまり、その頃からこの挨拶が始まっていたという事になる。(その前までは最上級生がやっていた。)
冬香「八幡さん、諦めも肝心ですよ?去年の答辞も見事だったのですから、今年も新入生に響くような素晴らしいのを考えているのでしょう?」
八幡「………冬香さん?さり気なく俺にプレッシャーかけるのやめてくれませんかね?考えてますけど当たり前の事を言うだけですよ?」
セシリー「寧ろそれが良いんじゃないのー?難しい言葉よりも単純な方が分かりやすいしー。」
虎峰「それよりも早く師父の元へと向かいましょう。入学式の前に打ち合わせをするんですから。」
ーーー黄辰殿ーーー
八幡「星露、来たぞ。」
星露「おぉ、八幡か。なんぞ用かえ?」
八幡「打ち合わせって聞いたんだが……」
星露「例年通りで良いじゃろう。変に工夫する必要も無いしのう。」
虎峰「師父っ!」
八幡「まぁ変に凝ったものよりも普通の方が良いよな。分かった、去年と同じにする。挨拶の内容は変えるけどな。」
虎峰「は、八幡まで!それで良いのですかっ!?」
八幡「今更変えたところで変になるだけだって。」
星露「その通りじゃ。さっ、はよう準備を進めるぞ。」
ーーー2時間後・入学式ーーー
虎峰「只今より、○○年度、界龍第七学院の入学式を執り行います。先ずはーーー」
滞りなく式は進み、当学院の出席している母体・工作員の幹部の挨拶、新入生代表と生徒会長の挨拶、そして最後に………
虎峰「最後に当学院の生徒代表挨拶。生徒代表、比企谷八幡。」
八幡が登壇し、新入生に向けて包拳礼をしてから、挨拶の言葉をかける。
八幡「まずは新入生に入学祝いの賛辞を送る。当学院への入学おめでとう。この学院では、君達が学んできた事よりも学んでない事の方が山のようにある。まずは己の力量を知り、自分にどれくらいの実力、技術が身に付いているのかを再確認してから、自身にあった鍛錬方や技の強化、さらには技の開発などに精を出して欲しい。俺も入学当時は技のキレも浅く荒いものだった。だがそれは鍛練を重ねると同時に動きがより洗練され「あぁ~止めだ止めだ!!」………?」
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八幡side
何だ?今の声は?
虎峰「只今、生徒代表の挨拶中です。お静かに願います。」
新入生「挨拶?その挨拶って代表の自慢話を聞かされる事なんスか?だったら時間の無駄もいいところっスね。」
……話を妨害したのは新入生か、どうやらかなりの自信家のようだな。
新入生「ところで代表さん、代表さんは星武祭を2度も制してるんですよね?」
八幡「あぁ、その通りだが……それがどうかしたのか?」
新入生「いや別に?ただ、《鳳凰星武祭》の決勝を見てるとさ~、代表さんの相手をしていた2人がわざと負けたようにしか見えなかったんスよね。代表さんの顔を立てようとしてるような感じで。」
すると、周りに居た在校生の殆どが新入生に怒声を上げた。っていうか、新入生に容赦ねぇな。
八幡「……静まれ。」
うわっ、一気に静かになった。手を上げて言っただけなのに。
「しかし尊師!」
八幡「……2度は言わない。」
「………はい。」
新入生「代表さんもボス気取りっスか?良い気分でしょうねー。」
八幡「……いくつか尋ねたいんだが、いいか?」
新入生「何です?」
八幡「武術の経験は?」
新入生「勿論あります。お見せしましょうか?」
八幡「いや、結構だ。次だが、出身は中国か?」
新入生「はい。」
八幡「最後に、君は何番目の弟子だった?」
新入生「変な質問ッスね……まぁいいです。今は5番目の弟子です。」
成る程な……
新入生「質問の意味を教えてもらっても良いですか?」
八幡「あぁ、いいとも。まず何故この質問をしたのかというと、君の性格を知る為だ。見て聞いたところ、君はかなりの自信家で武術家で5番弟子。この時点で確定している事は2つある。1つ目は、君が教えを受けていた中で1番強いという事だ。でなければその自信はつけられないだろう。2つ目に中国の中では君は敵無しだった……違うか?」
新入生「……調べたんですか?」
八幡「いや。君の事は今日初めて見たし、初めて話をした。」
新入生「たったそれだけで分かるんスか?」
八幡「そして中国の武術大会みたいなものでは毎年優勝を飾っている。加えて、街中ではストリートファイトのような事をして自身の強さを知らしめている……これもどうかな?」
新入生「……何故分かるんです?」
八幡「君のような人は自己顕示欲の強いタイプだ。そんな子が道場の中で収まっているわけが無い。そして、君のような子には致命的な弱点がある。」
新入生「何です?その弱点って?」
八幡「それは………お前が『井の中の蛙』だって事だよ、小僧。」
新入生「っ!!?」
……何だこの程度か。少し気を出したくらいで驚きやがって……こんなのウチの序列外でもビビらねぇぞ。
八幡「お前は中国の中しか知らねぇ。世界がどんな何処かってのを全く理解してねぇ。まさかとは思うが、自分はすぐに【冒頭の十二人】に入れる、何て事を思ってねぇだろうな?だとしたら相当のアホだ。」
新入生「………」
八幡「あまり言いたくはないが、敢えて言わせてもらうぞ。今のお前は在名祭祀書に載ってる奴等どころか、ウチの序列外にも通じねぇよ。」
新入生「なっ!?何故そんな事が分かるんだ!?」
八幡「分からないか?さっきも言った筈だ。『井の中の蛙』だってな。中国の諺なんだが、意味が分からないか?なら教えてやる。簡単に言うと見識が狭いって事だ。お前が見てきたのは中国だけで世界は視野に入れてない。」
新入生「そうだっとしても、俺は中国の中では1番強いんだ!大会にだって何度も優勝してる!!」
八幡「ほう?それで、その実力はどこまで通用する?欧州、米州、豪州、日本、全世界合わせて六花、お前の言う中国で1番強いはどこまで通じる?」
新入生「そ、それは……」
八幡「……答えられないだろう?それがお前の今の限界だ。」
新入生「……だったら、俺と勝負しろ!!俺が勝ったらその言葉を撤回してもらうぞ!比企谷八幡!!」
すると、再び怒声が上がった。しかもさっきより強い声で響き渡っていた。
「貴様!尊師に向かってなんて無礼な態度を!!」
「尊師が相手をするまでも無い!俺で充分だ!」
入学式どころでは無いな……はぁ、今年の入学式は波乱だな。
八幡「……いいだろう。」
『っ!!?』
八幡「その勝負を受けよう。」
「そ、尊師っ!?」
新入生「恥を晒す事になりますよ?いいんスか?」
八幡「安心しろ、そうなるのはお前だ。」
新入生「何故そう言えるんです?」
八幡「お前が俺より弱いからだ。」
新入生「なっ……ふんっ、調子に乗っていられるのも今の内ですよ。」
はぁ……面倒だ。すぐに終わらせよう。
なんて無礼な新入生だ……