学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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懺悔 ②

 

 

八幡side

 

 

小町「お話しする前に比企谷さん、ほんの少しだけで良いんです。少しだけでいいので、兄と妹としての話をさせてはくれませんか?」

 

八幡「………気は進まんが、それがお前の立てた筋なら構わない。」

 

小町「ありがとうございます………今年の冬休みに家に帰ったら、お母さんに怒鳴られちゃったよ……あんな風に言われたの今までで初めて。」

 

八幡「そりゃそうだ。あの家で怒鳴り声なんて聞いた事ないからな。」

 

小町「お兄ちゃんはその前に帰ってたの?」

 

八幡「あぁ、2年前の《鳳凰星武祭》の後の10月にな。ライブがあっだからな。近況報告も兼ねてな。」

 

小町「そっか……もう大丈夫です。」

 

 

敬語に戻ったって事は兄妹の会話は打ち切りって事だな。

 

 

八幡「で?話ってなんなんだ?」

 

小町「………今回お2人をお呼びしたのは私の今の気持ちを知ってもらうためです。許してもらおうなんて考えはありません。ただ、今の小町の気持ちをほんの少しでも聞いてもらいたくて、ここに呼びました。」

 

小町「まだ私たちが兄妹として過ごしていた頃、修学旅行の事を知らなかった小町は比企谷さんに冷たく当たりました。『なんで話してくれないの?』『どうして教えてくれないの?』って思いました。そして比企谷さんが転校した時は何が起きたのか分かりませんでした。」

 

 

……………

 

 

小町「私が雪乃さんや結衣さんたちに訳を聞きに行ったら、比企谷さんのやってきた事を説明してくれました。その頃の私も貴方に対して少なからず、話してくれなかった恨みもあったんだと思います。だからか、いつの間にか私も六花に行く決意をしてました。比企谷さんに仕返しをするために。」

 

シルヴィア「そうだったんだ……じゃあ八幡くんが何も話してくれなかった時から始まってたんだね?」

 

小町「はい……その頃はまだ恨みとかそう言うのはありませんでしたけど。話を戻しますね。その年の最後にあった六花の見学会に参加して比企谷さんを探しましたが、何の手がかりも無いに等しかったので見つけられませんでした。」

 

八幡「俺も見つからないようにしてたからな。ましてや星武祭の真っ最中だ、見つけるのはかなり難しいだろうよ。」

 

小町「勿論、見学会に参加しただけで諦めたりはしませんでした。その翌年に星導館学園に転校してすぐに比企谷さんの情報を集めましたが、なかなか見つからなくやっとの思いで見つけたのが《鳳凰星武祭》の本命タッグからでした。何が何だか分かりませんでした。『あの目の腐ってるゴミィちゃんが序列2位だなんてあり得ない!』なんて事も思いました。」

 

八幡「まぁそうだろうな。他に思うところとなると、『何で私は非星脈世代なのに、あいつは星脈世代なんだ!?』とかか?」

 

小町「あはは……はい、それも思いました。そして雪乃さんと結衣さんと私の3人である計画を立てました。比企谷さんはご存知ですよね?」

 

八幡「あぁ。《鳳凰星武祭》を棄権させようとした事だろ?今だから言うが、これは戸塚に教えてもらった。あいつはお前らを監視する任務をエンフィールドから受けていたみたいでな。そしてオーフェリアも知っていたみたいだしな。」

 

小町「やる前からバレてたんですよね。勿論計画は失敗して【孤毒の魔女】を本気で怒らせて、暫く気絶してました。その後……貴方に起こされて私たち3人は貴方から正論を叩きつけられました。」

 

小町「最後に言われた貴方の言葉、今でも心と頭に染み付いて取れません。『俺は今日この時間を以って、お前と兄妹の縁を切る!』………頭が真っ白になりました。私の知ってるお兄ちゃんは絶対こんな事言わない。いつもなら苦笑いをしながら頭を撫でて許してくれる………でも、その後の言葉で本気なんだと思い知らされました。」

 

八幡「確か……身内よりも他人を取る奴は信用できない、だったか?」

 

小町「はい。それから何があったかよく覚えてません。でも、今の言葉だけは鮮明に覚えてました。その夜から私は何度も泣きました。何でこんな事になったんだろう?何で小町がこんな目に遭わなければならないんだろう?って思ってました。」

 

小町「ずっと仲直りしたいって思ってました。でも、絶縁された相手にどうやって声を掛けたらいいのか分かりませんでした。記者会見を見て、『シルヴィアさんに取り入れば!』とも考えましたが、それじゃあ逆効果どころかますます悪化してしまうと思いました。」

 

八幡「ほう……それは正解だな。もしそんな事をやってたら、俺は此処に居ないだろうな。」

 

小町「私もそう思ってます。そして時間だけが流れて学園祭が終わった時にルームメイトから声を掛けられました。元気がないとか、ポイント低いんじゃない?とか言われて心配させてました。」

 

 

最後のはいらねぇよ。

 

 

小町「私は彼女に全てを話しました。ここで離れられても別に良いと思ってました。だって、お兄ちゃんに離れられた時よりかはまだ全然マシだと思っていたからです。でも彼女は私の悩みを真摯に受け止めて、アドバイスまで来れました。そして、やっとの思いで決心して今日お呼びしました。」

 

小町「比企谷さん、許してほしいなんて言いません。昔みたいに接してほしいなんてことも言いません。ただ、今までのよりを戻してもらえないでしょうか?お願いします。」

 

 

そして比企谷は手をテーブルに置き、頭をテーブルにつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シルヴィア「………八幡くん。」

 

八幡「……まず言っておくが、俺はお前と関係を修復しようとか、よりを戻したいなんて微塵も思ってない。」

 

小町「………」

 

八幡「……まぁ、俺も少しだけ兄妹の時間を設けてやるよ。」

 

小町「……え?」

 

 

八幡sideout

 

小町side

 

 

八幡「……まず言っておくが、俺はお前と関係を修復しようとか、よりを戻したいなんて微塵も思ってない。」

 

小町「………」

 

 

……やっぱりそうだよね。よりを戻すなんてのも夢のまた夢だったんだよね。

 

 

八幡「……まぁ、俺も少しだけ兄妹の時間を設けてやるよ。」

 

小町「……え?」

 

 

なんか小町が言ったような事をお兄ちゃんも言ったような気がした。頭を上げた途端、何かが頭に乗っかった。それがなんなのかはすぐに分かった。

 

 

八幡「学園祭から今日まで、1人で見たり聞いたり、考えたりする思考力や判断力はついたようだし、少しは成長したみたいだな。」

 

 

お兄ちゃんは少しだけ笑っていた。本当にほんの少しだけだけど、私に向かって笑っていた。しかも、成長したって……

 

 

小町「………」(ポロポロ)

 

 

そしてすぐに手を離してしまった……でも、すごく久しぶりな感じがした。

 

 

八幡「言っておくが、俺からは修復を考えていないってだけだからな?その意味、今のお前なら分かるだろ?意味が分かるのなら、全力でぶつかってみろ。そこに星脈世代や魔術師、魔女、非星脈世代も関係ない。」

 

 

そしてお兄ちゃんは立ち上がって扉を開けてから部屋を出ようとした……でも寸前で止まった。

 

 

八幡「それともう1つ言っておく。関係の修復の事だが……『If you can do it.』英語なら調べやすいだろ?行くぞシルヴィ。」

 

シルヴィア「うん、分かった………小町ちゃん、私は貴女たちの話に口出しはできないけど、八幡くんの言った言葉の意味は理解出来てるんだよね?」

 

小町「グスッ……ばいっ!」(ポロポロ)

 

シルヴィア「それなら良いんだ、じゃあね。後、さっき八幡くんの言った英語、ここに書いておいたから意味は調べておくといいよ。」

 

 

そしてシルヴィアさんも行ってしまった。

 

 

小町sideout

 

シルヴィアside

 

 

シルヴィア「八幡くんどういうつもり?縁を切ったんじゃないの?」

 

八幡「あぁ、切ったぞ。」

 

シルヴィア「戻そうとしてない?」

 

八幡「そんなわけないだろ。俺はあいつと縁を戻そうなんてこれっぽっちも考えてないぞ?」

 

シルヴィア「でも、行動と言葉が矛盾してるよ?」

 

八幡「やっぱ気付かなかったか。じゃあヒントな、『俺は今日この時間を以って、お前と兄妹の縁を切る!』この言葉をよく考えろ。」

 

シルヴィア「ん〜?」

 

 

………

 

 

………………

 

 

……………………………っ!

 

 

シルヴィア「もしかして……」

 

八幡「答えは出たか?」

 

シルヴィア「もしそうだとしたら、八幡くんって優し過ぎるよ。」

 

八幡「じゃあ答え合わせだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シルヴィア「兄妹の縁はもう作らないけど、他人としての縁だったら作ってやる、かな?」

 

八幡「流石俺の彼女、正解だ。」

 

シルヴィア「もう〜八幡くんって本当に優しいね!でも、この意味って……」

 

八幡「あぁ、あいつは知らない。だが、英語の意味を知れば半分は分かるだろう。」

 

 

ホント、八幡くんは優しいね♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー個室ーーー

 

 

小町「If you can do it……できるものならやってみろ、かぁ……絶対やってやるからね!お兄ちゃん!」(ポロポロ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





まぁ和解ではありませんよね。

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