学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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変わらぬ野望

 

 

雪乃side

 

 

………最近、小町さんと会う機会が随分減った気がするわ。学園では見かけるのだけれど、それ以外ではほとんど見かけなくなっているわ。こっちに来てからもう3年が経つのね、早いものだわ。比企谷くんに復讐を決めたあの日からだいぶ経つけど、まだ彼に何もしていないどころか私たちの弱点を握らされてしまった。わたしの母親を使って脅迫するなんて……益々許せないわ。

 

おかげで私たちは彼に何も出来ない日々が続いているわ。学園にも大学部までは残るつもりだったからいいものの、その後は雪ノ下家から除籍・追放だなんて……全て彼のせいとしか考えられないわ。最後に会ったのは1年前の学園祭かしら?あの頃から1度も彼の顔を見ていないわ。

 

……1年前といえば、《獅鷲星武祭》で葉山くんが違反をした事件があったわね。葉山くんのことはどうでもいいのだけど、まさか違反をするなんて思いもしなかったわ。その時の比企谷くんにはほんの少しだけれど、賞賛を贈ってあげるわ。恨んでいるとはいえ、私の嫌いな人間を六花から追い出してくれたのだから、心の中でお礼を呟くくらいなら損はないわよね。

 

 

話がそれてしまったわね。要するに私たちは、今年の冬に開催するシーズン最後の星武祭《王竜星武祭》に出場するのだけど、葉山くんのようにレギュレーション違反をするなんて卑劣な事はしないという事よ。最も、卑怯谷くんはまだズルを続けているようだけれど。

 

界龍でやった講習会だって、何処かの動画を見て覚えたのをやっただけに違いないわ。そうでなければ彼が強いだなんて考えられないもの。皆まだ騙されているまま……それはどうでもいいのだけど、彼に私たちの前で頭を下げさせるまでは諦めないわ。

 

 

それに、新入生が入ってきたのだけど、殆どが比企谷くんを目標とする人ばかりだわ。彼を目標にするのだったら界龍に行って欲しいものね。そうなったとしても、彼の本性を知れば失望することになるでしょうけども。

 

 

新入生の皆はこう言っていたわ。

 

 

『比企谷八幡のように強くなりたい。』

 

『比企谷八幡のような剣術を身に付けたい。』

 

『比企谷八幡のような魔法使いになりたい。』

 

『比企谷八幡のような戦術を身に付けたい。』

 

『比企谷八幡のような誰にでも尊敬されるような人間になりたい。』

 

 

………比企谷くんのことばかりだったわ。好きで聞いたわけではないのだけど、こうも連続で彼の名前が出てくると虫唾が走るわ。

 

 

はぁ………こんなのではダメね、魔法に集中しないと。この程度じゃあ彼を痛めつけることは出来ても、甚振る事なんて出来ないわ。

 

 

雪乃sideout

 

由比ヶ浜side

 

 

やっと来た、やっとだよ……《王竜星武祭》漸くヒッキーと戦える。この前はあの2人にやられちゃったけど、今度はそうはいかないんだから!あの日からたくさん練習して、色んな人と模擬戦もして強くなったんだから!

 

 

「結衣ーそろそろ始めよ〜!」

 

「あっ、うん〜!」

 

 

そう、今も私は友達と模擬戦中!《王竜星武祭》に向けて特訓中ってわけ!《王竜星武祭》は1対1だからゆきのんとも敵同士になっちゃうから別々で練習してるんだ。私は友達で剣を使ってる人から教えを受けてるの!だから今は集中集中!

 

 

ーーー10分後ーーー

 

 

「うん、だいぶ良くなってきたと思うよ。後は自分なりに《流星闘技》や技を編み出してみたらどうかな?」

 

由比ヶ浜「《流星闘技》かぁ……よく分からないんだよね〜。技もどうやったらいいか分かんないし。」

 

「そこは経験もあるからね。この学園でいうなら天霧くんや刀藤さん、リースフェルトさんが分かりやすいかな。流派の剣術を持ってるし、リースフェルトさんは魔法の技がいくつもあるからね。」

 

由比ヶ浜「私に出来るかなぁ?」

 

「結衣の星辰力なら大丈夫だと思うから自信持ちなよ。何かないの?星辰力を剣に纏わせました、そこから?」

 

由比ヶ浜「うぅ〜……剣ばっかりだったから全く考えてなかった。」

 

「ありゃりゃ……まぁそこはこれから考えていけばいいよ。私の場合、星辰力を纏わせたら、そのまま斬撃として相手に斬りつける【フラッシュブレイド】剣の衝撃波を作って相手に放つ【ラルムブレイク】これはマクフェイルくんのブラストネメアを自分の剣でアレンジした技なんだ。」

 

由比ヶ浜「ほえ〜凄いね。」

 

「まぁもっと参考にするとしたら、界龍の比企谷さんがオススメだよ。」

 

 

………………

 

 

「あの人のは別格だからね〜。剣術に魔法を織り交ぜたものや見たこともない《流星闘技》を使ってくるからね。やっぱり序列が冒頭の十二人クラスにもなると、戦術も技の量も凄いよね〜。」

 

由比ヶ浜「………うん、そうだね。」

 

「どうやったらあんな風になれるんだろう?やっぱり毎日練習かな?どんな練習してるんだろうね?」

 

由比ヶ浜「……そ、そうだね。そろそろ練習しよっ!休憩はもう終わり!」

 

「おっ、やる気出てるね〜!いいよ、もう一回!」

 

 

……別にやる気を出したわけじゃない。そんなの最初からある。ただヒッキーの話題を広げたくなかっただけ。クラスにいる時も、皆ヒッキーの話ばかりするからウンザリしてるの。

 

あの時とはもう違う、今度こそ勝ち上がってヒッキーに格の違いを見せつけてやるんだから!頭を洗って待ってるし!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





由比ヶ浜の最後の一言、間違ったわけではありませんから安心して下さいね!

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