八幡side
昨日はシルヴィの助言もあったおかげか、身体が軽くなりすんなりと眠る事が出来た。特に何かをしようとかは考えなかった。だからかもしれないな。今日だって鍛錬をしようとは思ってない。締切ギリギリまで星露への決闘申請は待つつもりだ。
だが………
八幡「それまでの時間が暇なんだよなぁ………鍛錬つっても、やっちまったらやっちまったで火が点いちまうしなぁ。料理をするにも、食い意地張ってる奴が今回の相手だからあまりそういう事はしたくない。」
はぁ………暇だ。
沈雲「おや、比企谷君じゃないか。帰って来ているという事は、もう彼女と過ごすひと時は終了したのかい?」
八幡「沈雲か……まぁそうとも言えるかもな。1人か?珍しいな。」
沈雲「今日の鍛錬はお休みにしててね、いつもなら新しい術式の開発をするんだけど、よく考えてみたら休んでないって思ってね。」
八幡「よくある事だな。自分では息抜きでやっている事でも、第3者から目線からでは肉体的ではなく、精神的に仕事してるように見えていたりするからな。」
沈雲「そういう事だよ。だから今日は何もしないで過ごそうと思っているんだけど、これがなかなか難しくてね……というより、界龍の生徒全員が苦労している事かもしれないね。」
………それはあり得るかもな。趣味は?って聞かれたら全員、『鍛錬ですっ!!』って答えそうだからな。休みの日は何をしていますか?って質問でもそう答えそうだ。
冬香「あら?八幡さんに沈雲さん、お2人で何をなさっているのですか?」
沈雲「これはこれは冬香殿。いえ、ちょうど比企谷君が彼女の元から帰って来たのと、僕の休日が偶々重なって偶然出会ったので、少しばかり話をしていたのですよ。」
八幡「本当に偶然の重なり合いだな。」
冬香「そうだったのですか。ですが八幡さん、夏季休暇はまだ充分にありますが、何故界龍に?」
八幡「ちょっとした用事がありましてね、その為に戻ってきました。」
沈雲「用事?」
八幡「今は教えられないが、すぐに分かる。」
2人「???」
さて、今日の6時前が楽しみだ。
ーーー5時半頃ーーー
それから何もする事が無かった俺は、一先ず生徒の鍛錬を見る事にした。こうやって見ていると、やはり前とは違うと実感出来る。鍛錬……というよりも、1人1人の戦術の幅が日に日に増えている感じがする。
そして界龍の新しい特徴は、序列争いが激しい事だ。別に喧嘩をしているとかそういうのではない。単純に自分の今のレベルで何処まで通用するのかを知りたいのだろう。特に変動が激しいのは60位から40位の辺りだ。この辺りでも他学園の【冒頭の十二人】には足元に少しかじれるくらいの実力はある。
勿論序列だけで全てが決まるわけでは無いが、どれだけ強いかってのは、序列で表した方が分かりやすいからな。
川崎もこの前の序列戦で31位になってたしな。アイツは序列とかそういうのには興味持ってないから、そこまで執着はしてない。まぁ、指名されたら相手はしてるみたいだけどな。
一応川崎の序列の流れを教えとこうか。
序列外→61位→47位→31位(現在)
けーちゃんの世話でも忙しいだろうに。よくここまで序列を上げたもんだ。しかも全部二桁上がりだし。
え?けーちゃん?けーちゃんは序列2位(仮)だよ?
………まぁ冗談はこれくらいにして、要するに界龍ではこれだけ多くの生徒が序列戦や自分の強さに対するちょっとした顕示欲が強いって感じだ。
一方で序列に興味の無い奴等は、鍛錬はしていても序列外のままだ。単純に目立ちたくないって理由の奴も居るしな。
八幡「それにこうやって鍛錬を見ていると、隠れた実力者ってのは居るもんだ。」
見ていても分かる、それくらい動きが良い。誰とは言わないが、此処で鍛錬をしている在名祭祀書に載っている奴を含めても、断トツで良い動きをしている。
八幡「さて、見物もこれくらいにしてそろそろ行きますか。」
ーーー黄辰殿前ーーー
………いよいよか。いや、今緊張するべきじゃないな。自然体で行こう。
だが、気を出すくらいは良いだろう。
八幡「星露は居るか?」
目の前には星露が居た。その他にアレマさんに小苑さんと麗蘭さんが居る。序列1位と【万有天羅】のオールスターだ。
星露「何じゃ何じゃ八幡よ。そんな気を出しおってからに………それに目も本気ではないか?もう飯は作ってやらんとでも言いに来たかえ?」
八幡「いや、それでも良いが別件だ。星露、お前が1番喜びそうな事だ。」
星露「むっ?」
八幡「我、比企谷八幡は、汝、茫星露に決闘を申し込む。日時は明日の公式序列戦の最終戦にしたいっ!」
星露「おぉ……おぉ……おおおぉぉぉ!!遂に、遂に来たか!!待っておったぞ!漸く妾と戦う気になってくれたのじゃな!?」
八幡「あぁ………そうだ。」
星露は座っていた玉座から立ち上がり、身体で表現するかのように嬉しそうな表情と声だった。そして、わけの分からない踊り。
星露「ようやっとお主と本気で戦える……妾の全力を出すに相応しい相手と拳を合わせる事が出来る……何と最高なのじゃ!!!嬉しゅうて堪らぬ!身体の奥底から熱が込み上げてくるようじゃ………八幡よ、明日の最終試合じゃな?」
八幡「あぁ。」
星露「あい分かった!早速妾が申請してくるからのう!明日が楽しみじゃえ〜!!!」
そして星露は走りながら去って行った。
アレマ【八幡ちゃん、明日楽しみにしてるぜ?アタイを負かしたんだから、星露ちゃんには勝つんだぜ?】
小苑「八幡よ、手加減など要らぬ。お主の全力をぶつけるのじゃ。」
麗蘭「八幡さん、1週間の……いえ、六花に来てから今日に至るまでの鍛錬や実戦を忘れずに挑む事です。」
八幡「……はい。」