学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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もう1つの

 

 

八幡side

 

 

八幡「よぉマヌケ共………捕まえると啖呵切って掛かってきた割には、大した事なかったな。どんな気分だ?逆に捕まる気分ってのはよ?」

 

???「すこぶる悪いよ。まさかここまで強いなんてね……全く予想外だよ、2人掛かりでも勝てないどころか傷1つつけられないなんてね。」

 

八幡「もう老けたんだろうよ。それに、俺からしてみればオメェにはこんな代物勿体ねぇよ。」

 

 

俺が片手に持っているのは、あの仮面を付けた黒ずくめが持っていた純星煌式武装【赤霞の魔剣】の待機状態だ。

 

 

ヴァルダ「くぅ……よもやお前のようなガキに遅れをとるとは………」

 

八幡「安心しろ、お前はすぐに開放してやる。首にぶら下げてある気味の悪いウルム=マナダイトを粉々にした後でな。」

 

???「っ!?破壊するというのか!?」

 

 

おいおい、何をそんなに驚いてるんだ?当たり前な事だろうがよ。

 

 

八幡「まぁそれはもうちょい待ってやろうか。もうすぐ《星猟警備隊(シャーナガルム)》も来ることだしな。それまではゆっくりしてようじゃねぇの。どうせテメェ等の人生は終わりなんだからな。」

 

シルヴィア「………ねぇ八幡くん、ウルスラは良いんだけど、あっちの仮面の人の正体って誰なの?」

 

八幡「ん?あぁ、気になるか?じゃあ仮面取るか。」

 

 

別につけてる意味ないしな。こいつの正体がバレたところで痛手を負うところはないしな。銀河以外。

 

 

八幡「こいつの正体は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星武祭運営委員長にして星導館の運営母体《銀河》の幹部、マディアス・メサだ。」

 

シルヴィア「運営委員長が!!?」

 

 

シルヴィアも流石に予想していなかったようだな。それもそうか、誰もこいつが黒幕だなんて思わないだろうしな。

 

 

八幡「《獅鷲星武祭》ん時は気持ち悪かったもんだ。こんな奴から優勝トロフィー受け取らなくちゃいけないんだからよ………」

 

マディアス「……気付いていたのか?」

 

八幡「俺からしてみればなんで気づかないと思える?声も変えてない、髪型も一緒、顎髭も剃らない、隠してんの目元だけじゃねぇか。これだけ明確な要素があるのに、どんな思い込みしたら気付かれないって思えるんだよ?」

 

 

こいつアホなの?マジで?何が『気付いていたのか?』だ!?こちとら界龍の学園祭の時から気付いてたわ!

 

 

八幡「まぁゆっくり話でもして警備隊が来るのを待とうぜ。」

 

マディアス「ふっ……だが君も自分の心配をしたらどうだい?」

 

八幡「はっ?何で?」

 

マディアス「君は決闘宣言もしていない生徒を一方的に蹂躙したのだろう?それの言い訳はどうするんだい?」

 

 

こいつ………マジでバカ?

 

 

八幡「あのさ……テロリストに手加減なんているのか?俺はいらないと思うんだけど?ましてやそれが生徒だったとしても、関係なくね?」

 

八幡「後俺、奴らを傷つけはしたけど、そんなに深い傷は負わせてねぇぞ?1人は肩から腹にかけて斬っちまったけど。」

 

マディアス「……………」

 

 

ダンマリするくらいなら、そんな誰にでも論破できるような簡単な事聞くなよ。こっちが憐れだわ。

 

 

ーーー数十分後ーーー

 

 

柊「《星猟警備隊》一等警備正の柊静薙であります!!比企谷八幡さんはどちらですか!?」

 

八幡「あっ、はい、此処です。」

 

柊「………これはどういう状況ですか?」

 

八幡「いえ、どうもこうも主犯を捕まえて逃げないように監視しているだけですけど。」

 

???「よけてくれ………君が噂の【夢幻月影】か。私は《星猟警備隊》総隊長のヘルガ・リンドヴァルだ。早速だが状況の説明を頼む。」

 

八幡「はい、分かりました。」

 

 

そして俺とシルヴィは攫われたところから今に至るまでの状況や何をしたかまで全て説明した。隣にはボイスレコーダーで記録しながらメモをしている人もいるから証拠としても残るだろう。

 

 

ヘルガ「ふむ……成る程、だが分からない事がある。何故君を連れ去ったのかだ。彼らが何故この行為に及んだのか………全く見当がつかない。」

 

八幡「そこは俺にも分かりません。尋問とかはしてないので。」

 

ヘルガ「取り敢えず身柄はこちらで預かり、取り調べを行う事にしよう。それと、此処の地下にいたレヴォルフの学生たちの事だが、身分を確認した。君の言っていた通り人間になっているようだが、確かに元星脈世代のようだ。だから君の今回行ったことについては不問にしよう。君は()()()()を斬ったのであって、()()は斬っていない。そうだろう?」

 

 

………大人とは時に汚い手口を使うのだと、この時初めて知った。

 

 

ヘルガ「しかし驚きだよ。まさか星武祭運営委員長が私の追っていた黒幕だったとは……貴様には聞きたいことが山ほどある。力ずくでも吐いてもらうぞ。」

 

マディアス「ふっ……喋ると思っているのかい?私は口が固い方でね、そう簡単に計画のことについては喋らないよ。」

 

ヘルガ「ならば自白剤、嘘発見器等を使うまでだ。」

 

マディアス「ふっ、そんなものは星脈世代に使っても無力だ。幾らでも使うといい。」

 

 

 

 

八幡「リンドヴァルさん、少しいいですか?」

 

ヘルガ「ん?何だね?」

 

八幡「星脈世代に薬とか機械による拷問が効きにくいっていうのは本当なんですか?」

 

ヘルガ「個人差によるがな。星辰力を多く所有している者程、持久力がある。逆はないと言える。それがどうかしたのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「簡単な話ですよ、そいつを人間にしちまえば良いんですよ。」

 

マディアス「っ!!?」

 

八幡「それなら、普通の拷問だって効くでしょう?」

 

ヘルガ「こちらとしてはありがたいが、出来るのか?君のその刀はすぐに人を狂わせてしまうのだろう?」

 

八幡「えぇ……でも、切り口にずっと刀身を当てたままなら、星辰力を喰い取るだけで済むんですよ。喰い尽くすまで喰うんですから、その後は何も残りませんよ。人の身体以外は。」

 

ヘルガ「……ならば頼もう。」

 

 

よし……これでこいつは普通の人間になる。

 

 

マディアス「や、やめてくれ……!」

 

八幡「やめるわけねぇだろ、総隊長殿の命令なんだからよ。それと安心しろ、別に痛くはねぇからよ。痛い思いをすんのは、この後に待ってる尋問と拷問だけだ。まぁ、それもお前次第だけどな。それじゃあ……さようなら、星脈世代のマディアス・メサ。」

 

 

プツッ

 

 

俺はマディアスの首筋に【祢々切丸】を当てて、星辰力を喰わせた。今までは刀身が青白い輝きを放っていたが、今は薄い紫色になっている。

 

 

ーーー数分後ーーー

 

 

祢々の喰事が終わって、マディアスはグッタリしていた。

 

 

八幡「おはよう、人間のマディアス・メサ。気分はどうだ?」

 

マディアス「………最悪だよ。こんなにも重いんだね、人間というのは。」

 

八幡「すぐに慣れると思うぜ。まぁそれまでは取り調べ頑張れや。」

 

ヘルガ「ご苦労だった。しかし、君は多彩な能力を持っているとは知っていたが、これ程便利な能力も有しているとはな。どうだ?将来は《星猟警備隊》に来ないか?」

 

八幡「すみませんが、将来の夢は決めてるので……お断りします。」

 

ヘルガ「そうか……まぁ己の人生だ、己で決めるのが良いだろう。長居させて済まなかった、彼女の事情聴取もちょうど終わったようだし、帰るといい。」

 

八幡「はい、ありがとうございました。」

 

 

そして俺とシルヴィは界龍の方向へと向かって、共に歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 





マジかぁ………マトモなままでも人間にすることできるのかぁ。地獄ですなぁ、やられた奴にとっては。

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