八幡side
早速なんだが、朝からシルヴィが嬉しそうにしてる。今までの朝では笑顔で迎えていたんだが、今回に至っては笑顔な上に物凄い上機嫌だった。え、何?良い夢でも見たの?しかも腕にまで抱き着いてるし………本当にどうした?
聞き出したいところだが、今日はやる事がある。一応医務室に行って
起きていればいいが、流石に1日で眼が覚めるような傷じゃあないし、見舞い程度に行くって感じだ。
その次に星露ん所に行って次の序列戦で戦うって事を伝えに行く。形式上では、俺の不戦敗って事になってるはずだからもう1度決闘申請すれば問題ないだろう。
後の問題は………隣にいるこの不思議なくらい上機嫌な子だけだ。なんでこんなにも上機嫌?
八幡「………なぁシルヴィ、なんかあったのか?ずっと笑顔だし、嬉しそうだし、良い夢でも見たのか?」
シルヴィア「えぇ?そんな事ないよ〜♪」
いやそんな事あるって。声もかなり機嫌良さそうな感じの高さだったぞ?
八幡「まぁ女の秘密をどうこう探るものじゃないから、あまり詮索はしないが、気になるな……」
シルヴィア「えへへ〜こればっかりは八幡くんにも教えられない事だからさ、ゴメンね?」
八幡「満面の笑みでゴメンねと言われてもな……どう返したら良いか分からねぇよ。それと一応聞くが、本当についてくるのか?ついてきたとしても、面白い事なんて全くないぞ?」
シルヴィア「良いの!八幡くんと一緒にいることに意味があるんだから♪」
八幡「………なら構わんが。」
ーーー医務室ーーー
さて、とりあえずは着いたが、まぁ起きてはいないだろう。花でも花瓶に入れて退室するか。
コンコンッ
???『はい、どうぞ。』
ん?この声………
八幡「やっぱり戸塚か……昨日帰ってなかったのか?」
戸塚「うん。やっぱり心配だったから会長さんに頼んで泊めてもらったんだ。八幡とシルヴィアさんはお見舞い?」
八幡「あぁ。起きてなくても構わないから花だけでもって思ってな。花っつっても俺の能力で作ったものなんだけどな。」
シルヴィア「八幡くん、それただの能力の無駄遣いだよ。本物を買いに行こうよ……」
仕方ねぇだろ、お見舞い行くって決めたの今日なんだから!次は買いに行くんだよ!
戸塚「あはは……それで、杏さんの様子だけどね、落ち着いてるよ。息遣いも心電図も正常だから大丈夫そう。」
シルヴィア「そっかぁ……良かった。戸塚くんも治療ありがとう。」
八幡「ウチの生徒のために済まないな。」
戸塚「気にしなくていいよ。川崎さんから連絡があって来て欲しいって言われた時は驚いたけど、杏さんを見たらすぐ納得出来たよ。それに、すぐ治療しないと危なかったから、驚く暇なんてなかったしね。」
やっぱかなり酷かったみたいだな……
戸塚「とりあえず僕はここに居るから安心して。目が覚めたら通信で呼ぶね。」
八幡「あぁ、助かる。」
シルヴィア「不思議な感じだね。他学園の生徒が別の校舎で保健室の先生みたくなってるんだから。」
八幡「白衣着たらもっとそれっぽくなるかもしれないぞ?来てみたらどうだ?」
戸塚「あはは……今度制服の上から着てみようかな?」
冗談を交わした後、俺とシルヴィアは空いている花瓶に水を入れてから俺が作った花を入れて医務室を後にした。
ーーー界龍・廊下ーーー
シルヴィア「なんともないようで良かったよ。」
八幡「あぁ……あとは起きるのを待つだけだ。」
シルヴィア「この後はどうするの?」
八幡「星露の所だ。決闘出来なかったから、来月にもう1度するように頼む。」
シルヴィア「あぁ〜そういえば戦おうとした時に静さんが来たんだっけ?」
八幡「あぁ。」
シルヴィア「私たちが彼に謝罪した時の反応、面白かったなぁ〜。」
八幡「笑ってやるなよ、やつは真剣だったんだ。それは俺たちもだけどよ……もし俺らがど偉い奴からいきなり謝罪されてもああなると思うぞ。」
シルヴィア「私八幡くんのそういうところ、一回見たことあるよ。」
八幡「ん?俺がど偉い奴に謝罪されてあたふたしてるところか?」
シルヴィア「あたふたはしてないけど、驚いてるところ。」
………?あったっけ?
シルヴィア「去年の《獅鷲星武祭》決勝の終わる頃、【EP】の幹部の人に頭下げられた時にすっごく驚いてたよね?」
八幡「あぁ〜それか……確かに驚いてたな。いや、だってよ普通はあり得ないだろ。幹部の奴が頭下げるなんて……俺聞いたことも見たこともねぇ。」
シルヴィア「うん、それは私も同じだよ。あれが初めてだもん。」
………それだけレアな瞬間だという事にしておこう。
ーーー黄辰殿ーーー
八幡「星露〜、いるか?」
麗蘭「おや、八幡さんですね?どうかされたのですか?このような所にお嫁さんまで連れて。」
八幡「まだ娶ってませんよ。」
小苑「しかし残念じゃな八幡、此処にチビは居らなんだ。今しがた暁彗に聞いたのじゃが、分からないようでな。」
何処行きやがったんだ?俺の部屋、なんて事はねぇよな?菓子はあるが、他はあんまりないぞ?だってあの部屋に帰るのって、今となっては時々だから食材なんてない。
八幡「そうですか………じゃあどうしたもんかねぇ。」
麗蘭「八幡さんはどうされたのですか?」
八幡「いや、ただの再戦予告ですよ。」
麗蘭「……成る程、理解しました。」
小苑「それよりも八幡よ、ちぃとばかしこの席に座ってみたらどうじゃ?少しは王の気分というものを味わうのも一興じゃぞ?」
八幡「俺は別に興味ありませんが……シルヴィがキラキラした目でこちらを見ているので、少しの間だけやることにします。」
シルヴィア「えっ?何の事?」
どの口が言うか!どの口が!
まぁ少しだけ座ってみるか………あんま座り心地は良くねぇな。座布団とか敷いた方が良いぞこれ。
シルヴィア「おぉ!なんか王様っぽい!!」
小苑「ふむ……威厳が足りぬが、まぁ及第点といったところじゃのう。」
俺、なんの点数つけられたんだ?
麗蘭「八幡さん、よくお似合いですよ。」
ただ座っているだけなのに、似合うも似合わないもあるのか?なくね?
その後に星露が帰ってきたのだが、特に何も言われたり、されたりする事もなく、要件を済ませてからその場を去った。
別にアレだよ?襲い掛かってきたから『もう二度と青椒肉絲作ってやらない。』って脅したわけじゃないからな?ホントだからな?ハチマンウソツカナイ。