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スタートの合図がなると、星露は周りに3つの小さな物体を浮かせていた。恐らく、【万有天羅】にしか使用することが許されていない《仙具》というものだろう。
八幡も自身の純星煌式武装【祢々切丸】を抜刀して、中腰になって刀の腹に手を添えるように構えている。
星露「何処からでも掛かってきてよいぞ、八幡よ。先手は譲ることにしよう。」
八幡「………後悔するなよ?」
八幡「光を閉ざせ、夜よ、闇よ。暗黒の帳を下ろせっ。急急如律令。」
八幡が呪符を取り出して唱えてから地面につけると、ジワジワと周りの空間が闇に包まれた。目の前は真っ暗な状態になっている。
星露「光を潰したところとて、妾は倒せんぞ?」
八幡「そんな事言われなくても分かってる。それで勝てるんだったら誰でもそうしてるよ。」
闇に覆われて行く中、八幡が答える。星露は今現在余裕の表情。八幡は無表情のままで世界は闇に覆われた。
八幡「堕ちし光のなき地は、闇夜の空の月光にて、地を照らす。」
八幡「影切・月下無双。」
………………
星露「そこじゃっ!!」
ガギイィィィィンッ!!!
影が晴れると、八幡の刀を星露の仙具の1つが受け止めていた。
八幡「………」
星露「人には誰も“気”というものが存在するのじゃ。その気配を察すればお主の攻撃など、取るに足らんものじゃ。」
八幡「……まぁこれくらいの攻撃を受けるわけねぇよな。けどよ星露、詰めが甘いな。」
星露「………何じゃと?」
八幡/八幡(分身)「俺が分身を使えるって事、忘れてないか?」
八幡(分身)「影切・月下無双……
星露「っ!?」
声がした方向を見るが、八幡は居なかった。そして星露は慌てて校章の部分を残りの2つの仙具で守った。するとそこから金属が粗く重なる音がした。
八幡(分身)「チッ……ダメか。」
星露「今のは危なかったのじゃ……お主、わざと気を隠さないでおったな?」
八幡「敵を騙すならまず味方から、って言うだろ?」
星露「趣味が悪いのう……」
八幡「この戦いに限っては手なんて抜いてらんねぇだろ。違うか?」
星露「確かにそれもそうじゃ。」
八幡「フッ!!」
星露「ホレッ!」
八幡と星露が同時に動き、刀と仙具の激しいぶつかり合いが始まった。星露が3つの仙具で何箇所も攻めるが、八幡はそれを刀一本で防いでいた。しかもその中で攻撃も入れながら行っていた。
八幡(……流石に厳しいな。これだけ攻撃の回転率が良いと反撃するにしても威力のある攻撃が出せない。しかも星露の奴、俺が反応しにくい場所を突いてきやがる。良い戦法だが、やらしい戦法でもあるな。)
星露(攻めきれん……久しく戦ってはおらんかったが、仙具を持ってしてもこれ程攻め切れんのは初めてじゃ。八幡の左右真逆に攻撃をしておるというのに、いとも容易く防ぎよる。なんて男じゃ、ここまで成長が早いとはのう………)
八幡「………これじゃあ戦いが動かねぇ。仕方ねぇ、此処は動くか。」
星露「独り言とは余裕じゃのう!」
八幡「そうでもねぇよっ!!」
八幡「金剛たる鉄身もって災悪を防がん。急急如律令。」
八幡は両手に金剛符を持ち、唱えて腕を硬化させた。そのまま星露に突っ込んだ。誰もが接近戦だと思っていた。
星露「血迷うたか、八幡っ!!」
3つの仙具が飛んで来て八幡に襲い掛かった。
だが、八幡の狙いはここにあった。
八幡は慌てた様子もなく、飛んできた仙具を1つ取ったのだ。
星露「な、何じゃと!?」
そして2つ目の仙具ももう片方の手で掴み、最後の1つは持っている仙具の先で弾いた。
八幡「オラァ!!お前の道具のお返しだっ!」
星露「グホォッ!!」
八幡は仙具を手にしたまま星露の左頬を殴りつけた。殴られた星露はそのまま吹っ飛び、壁に激突した。
八幡「ふぅ……一か八か、試して良かったぜ。これで少しは効いてくれると嬉しいんだがな。」
星露「………くくく、くくくくくくっ!あーっはっはっはっはー!!いやー久方振りじゃあ……殴られるなんてのう。おかげで良い目覚ましになったわい。」
八幡「マジかよ……今ので目覚ましか。」
星露「いんや、確かに効いたわい。こんな風にされたのは小苑以来じゃ。」
八幡(小苑さん……あんたのせい【※君が殴ったから】であいつなんか目覚めちゃってますよ?)
星露「さて、始めるとするかえ……戦いをっ!」
八幡「一撃入れたってのに、さっきよりやる気出ちまってるよ……まぁ、それは俺も同じだがよっ!」
うーん……やっぱ戦闘描写は苦手ですね。