八幡side
あの夕暮れの日から3日が過ぎた。小苑さんと出会ってからは、とても身体が軽い上に調子すら良い。3日前までの時間がまるで嘘のようだった。ちなみに俺は、小苑さんの言った通り修行をしている。
どんな修行かって?肉体的なものもあれば精神的なものもあるとだけ言っておこう。あれから小苑さんから大体の事は教わった。
俺は
この前俺が出した光は
星辰力くらいなら出せるが、あの時見た黒い物体は出てこない。あれはなんなのか、俺にはさっぱりだ。
だが、小苑さん曰くこういう事らしい。
小苑『あれはお主の星辰力から生成されたお主自身の能力じゃろう。儂もあのようなものは初めて見たぞ?本当に鍛え甲斐のある奴じゃな、お主はっ!』
………らしいです。不本意ながらも、あの人を楽しませてしまったという事だろう。だが別段、気にしてはいない。それはそれ、これはこれだ。そして現在進行形で俺は………
八幡「………」
はい、皆さん予想通り修行をしてます。今回の修行は、俺の体内にある星辰力をコントロールしながら、膝や肩、頭に乗った皿を割らないようにする修行である。この皿は、星辰力に反応しやすく、乱れるとすぐに割れてしまう。なので、これは繊細な集中力と器用さが必要という訳だ。
八幡「………」
柄にも無く俺は結構真面目にやっていた。今まではそうだとしても、これから行く所は強さが全ての実力主義の世界。弱い自分では相手にもされない。今回ばかりはマジでやらないとって思ってる。
意識を高め集中すると、やはり揺れる皿。なんとか修正しようと星辰力を僅かに高める。さっきよりは安定したが、揺れは収まっていない。これをひたすら続けていた。
八幡sideout
小苑side
……楽しい。こんなに愉快な気持ちになったのはいつ振りじゃろうか。恐らくは八幡のおかげじゃな。あれは、暁彗と同等………いや、それ以上じゃろうな。星辰力の量に対してあの冷静さ。儂の用意した項目は今の所1日で修了しておる。
磨き上げれば確実に
とにかく、今は八幡を鍛え上げねばな。あやつも期待に応えておる。まだ10日ある。じっくりやりつつより早く仕上げねばな。
小苑「帰ったぞ、はちま……!?」
何じゃ!?この星辰力の量は!?ついに暴走してしまったのじゃろうか!?急がねば!!
八幡「……あ、小苑さん、お帰りなさい。」
星辰力の量とは対極に星辰力と乗せられた皿を完全に制御しながら平然と挨拶を返す八幡がいた。
小苑「………お主、これはどういう事じゃ?」
八幡「え?何がですか?」
小苑「この星辰力の量じゃ!何を考えておるのじゃ!しかも平然と制御しおってからに!修行してからまだ3日じゃぞ!?」
八幡「えと、その事も含めてちょっと話があるんすけど、いいっすか?」
小苑「………分かった、聞こう。」
小苑sideout
八幡side
遡る事1時間前………
八幡「……あー上手くいかん。」
あれから何時間が経過したがあまり進展はない。皿は割れなくなったが、揺れは全く収まらなかった。
八幡「……しょうがねぇ、もっかいだ。」
再度挑戦するもやはり結果は同じ。揺れは止まらない。何か足りないのだろうか………
そう思っていると………
『ダメだよそれじゃあ。なってないよ。』
急に何処からか声が聞こえた。だが小苑さんは留守だから誰かがいるわけがない。
『【常に冷静でいても、心では熱く!】っだよ!』
そんな茶目っ気たっぷりの澄んだ女の声が聞こえた。物は試しとやってみると………
揺れが止まっていた。ピクリとも動いていない。
『おぉ!すぐに出来た!有言実行とはこの事だね!』
また声が聞こえる。こいつは一体誰なのか。
『僕待ってるからね。早く来てよ、アデュー!』
そう言ってまた声は聞こえなくなってしまった。奇妙に思いつつ修行を再開するとやはり揺れは無く、ピタリと止まっている。コツは掴んだしもっと星辰力出してやってみるか。
ホントに誰だったんだろう?
回想終了!!
八幡「ていう事があったんすけど……小苑さん?」
小苑「………」
小苑(まさかあれが反応する程か……信じられん。あれに気に入られた者などいないというのに。)
八幡「小苑さん?」
小苑「っ!……う、うむ。今は大丈夫じゃろう。界龍に行けば分かるわい。」
八幡「はぁ、そうっすか。」
小苑「さぁ、昼時じゃ。飯にしようぞ。」
いいように誤魔化された気もするが、まぁいいだろう。まだ早いという事か。
そう思いながら、昼食を食べていた。
如何でしょうか?
声の正体についてはもう考えてますが、まだ先になります。今は目先のことをコツコツと!
感想、待ってます!