では、どうぞ!!
八幡side
結局、今日の朝飯は全員の前で全てシルヴィに食べさせられるというちょっとした黒歴史になった朝飯だった。だがそれだけで終わらなかった。今は黄辰殿に向かっている。当然俺の後ろには医務室に居た連中もついてきているが、右隣にはシルヴィが両腕を俺の右腕に絡めて抱き着いていた。それも満面の笑みをしながら嬉しそうに。俺としては少し歩きにくいからやめてほしいんだが、おそらく聞かないだろう。
そして後ろから伝わる激しい………なんの感情だか分からないが、とにかくスゲェ視線を感じる。誰がやってるかは簡単に想像つくけどな。俺を睨まないでくれよ………やってるのは俺じゃなくてシルヴィなんだから。俺を睨むのはお門違いだぜ。
………物は試しに言ってみるか。
八幡「……シルヴィ、少し歩きにくいのもあるが、後ろからのある人の視線が物凄いから離してもらってもいいか?」
シルヴィア「ダ〜メッ♪今は八幡くんと一緒にいるんだも〜ん♪」
八幡「いや、一緒にいるだろ。」
シルヴィア「分かってないなぁ。今のは、一緒に居るんだけど、こうやってくっついていないとダメッてことなんだよっ♪」
八幡「な、なるほど……うん、よく分かった。」
シルヴィア「うんっ♪」
虎峰……すまん、無理だわ。
一瞬だけ『ナイス八幡っ!!』的なオーラを感じたが、すぐに戻ったわ。やめてくれよ、その視線。後でシルヴィの新作アルバムを俺のサイン付きであげるから。
………そしたら間違いなく殺されちゃうな。
ーーー黄辰殿前ーーー
八幡「……ん?」
星露「おぉ、漸く来おったか。」
小苑「弟子よ、身体に不調はないか?」
八幡「はい、まだ違和感のあるところはありますが、そんなにひどくはありません。」
小苑「うむ、ならば良い。」
麗蘭「懐かしいですね。私が学生だった頃もこうして仲間と集まり、門を開きに来たものです。」
門の前には既に3人の【万有天羅】が揃っていた。
アレマ【あたいを忘れてもらっちゃあ困るねー。歴史的な瞬間を目の当たりにすることができるんだ。立ち会わないと損だからねー。】
星露「何じゃ、お主も来たのかえ。」
麗蘭「仕事の方はどうされたのですか?」
アレマ【そんな事よりも八幡ちゃんの方が気になるに決まってるじゃないですかー、我が長。】
麗蘭「はぁ………まぁいいでしょう。」
仕事のサボりはいけませんよ、アレマさん。
雪ノ下母「私も今回は拝見させて頂きます。現【万有天羅】を倒した程の実力者がこの門を開けるのか、興味と期待もありますので。」
陽乃「お母さん、仕事はいいの?」
雪ノ下母「もしかしたらの可能性もありましたので、この日の仕事は全てオフにしていたのです。社員の皆様にもゆっくりとする時間は必要ですからね。」
物は言いようってこの事かな?
シルヴィア「ま、まぁ誰だって気になるよね。新しい【万有天羅】が生まれるかもしれないんだからね。」
八幡「まぁ興味はあるだろうな。」
オーフェリア「………八幡。」
八幡「っ!?オーフェリア!?」
え!?何でこいつがここにいる!?
八幡「な、何でここに居るんだ?」
オーフェリア「………学院が休みだから暇だったの。久しぶりに八幡に会おうと来てみたのだけど、門の前にいる2人が黃辰殿に居るって言ってたから此処に来たのよ。」
おい……帆季に玉緑、こういう日は通したらダメなんじゃねぇの?いや分からんけどよ。
八幡「まいっか……どうせ後から知れる事だし。」
オーフェリア「………何かするの?」
八幡「あぁ、今から【万有天羅】になれるかどうか試すんだよ。」
オーフェリア「っ!やっと、やっとあの小さいのから貴方が【万有天羅】になる日が来たのね。」
星露「聞こえておるからの!!小さいのとはなんじゃ!!小さいのとは!!」
オーフェリア「………事実だもの。」
星露「キイィィィ!!」
小苑「これやめい。みっともない。」
………君たち仲良いね。
八幡「んじゃあ始め『尊師!!』……ん?」
おいおい……マジかい。
『我々も拝見させて頂きます!!』
お前ら全員来たの?道がギュウギュウ詰めじゃん。後ろ絶対見えないだろ。
小苑「まさか全員来るほどとはのう……次代の器はそれだけ大きなものになりそうじゃな。」
麗蘭「同感です。」
星露「皆も知ってるとは思うが、今から比企谷八幡が次代の【万有天羅】に相応しいか、儀式を行うのじゃ。儀式はいたって簡単じゃ。目の前にある門を開くことが出来れば4代目の【万有天羅】を継承することとする!異存はあるかえ?」
誰1人として文句をつけるものはいなかった。それはそれで嬉しいな。
星露「ならば儀式に移るのじゃ。八幡よ、門の前に立ち扉を開けるがよい。」
八幡「………」
この門って開くのかって思えるくらいデカかった。初めて来た時もそんな感じだったな。
八幡sideout
ーーーーーー
皆が見守る中、八幡は門に手を置いて、軽く押した。
八幡(やっぱ押しただけじゃ開かないか。)
そして八幡は大量の星辰力を練り込んだ。これでもかと思うくらいの量を自身の身体に練り込ませていた。
八幡「スゥー……ハァー……」
深呼吸を1回……そして再び門に向けて手を置き、強く押した。
すると門はゆっくりとだが、確実に開いていた。
八幡(何だ?最初はあんなに重かった門が今じゃ軽い?星辰力を練ったせいか?)
ギイィィィ………ガキンッ!
最後に金属音が聞こえ、扉が最後まで開き切った。
星露「八幡よ、奥へと行くのじゃ。」
そして八幡は奥へと向かい、次第に見えなくなった。
ーーーーーー
八幡side
奥に向かえって言っていたが、何かあるのか?来たは良いが、同じ風景、同じ玉座、そしてその前に黒い羽衣が浮いてるだけで何も……ん?黒い羽衣?
俺が羽衣に近づくと、その羽衣は俺に反応したかのように俺の腕に絡みつき、最後には星露が身につけている羽衣と同じ状態になってしまった。
八幡「………戻るか。」
ーーー黄辰殿前ーーー
八幡「………中には入ったが、羽衣があって俺に絡みついただけで終わったんだが……」
麗蘭「皆様、ここに宣言致します!この界龍第七学院の新たな統治者は4代目【万有天羅】比企谷八幡です!異議無き者はその場にて跪きなさい!」
俺の目の前にいる全員が片膝をついて頭を下げていた。大人も子供も関係なくだった。
麗蘭「では、比企谷八幡を4代目【万有天羅】を継承する者とし、初の男性【万有天羅】であることも考慮し【夢幻月影】を改め、新たに【
なんかスゲェ称号もらっちゃったけど、良いのか?
麗蘭「ではこれにて、儀式を終えます!八幡さん、4代目継承、おめでとうございます。」
その瞬間、この場にいる殆どの者が歓喜の声を上げた。
八幡「………」
また……この歓声に囲まれたな。
シルヴィア「八幡くんっ!!」
八幡「おっ!シルヴィ……」
シルヴィア「……八幡くん。」
八幡「ふっ……あまり自覚はないが、俺もこれで序列1位だ。シルヴィと対等だな。」
シルヴィア「うんっ!!」
こうして俺は4代目【万有天羅】を継承して、初代【神羅武双】の2つ名も貰った。
そしていつの間にか学院の奴らからは【宗師】呼ばれるようになり、いつの間にか学院外にも広がっていた。
継承編終了でございます!!計32話です!!
これで八幡も序列1位になり、すんごい称号も手に入れましたね!
次は《王竜星武祭》ですが、その前に少しだけ閑話を入れたいと思っております。長編ではないので安心して下さい。
ではっ!!