学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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反応 界龍第七学院

 

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六花南東部、六角形に象られた水上都市アスタリスク。その南東に位置する学園は《界龍第七学院》である。

 

六学園の中で最大の規模を誇る学院であり、初等部から大学部まであるが、年齢を度外視して才能ある者は受け入れるようにしている。官僚主義と放任主義が混ざり合った東洋的な雰囲気が濃く、生徒も中国系を中心としたアジア系の出身が多い。学生の殆どが鍛錬を目的としているため、星武祭優勝は視野に入れていない。星武祭総合順位では創設以来唯一下位グループに転落したことのない安定した成績を残している。

 

また、学内では様々な武術、流派が存在しており、常に自身の技の研究やアレンジなどにも熱を入れている。最近では陰陽術も取り入れており、魔法の力を持たない《拳士》にとっては魔法のような力が使える唯一の手段である。数年前までは武術の木派と星仙術の水派の対立が激しかったのだが、近年では互いに術を教えあうなどの光景も珍しくはない。

 

そして界龍が一番変わった所。それは圧倒的な戦闘力だ。3年前に転校して来た日本人生徒、比企谷八幡により、この学院は大きく変わった。これまで3代目【万有天羅】の弟子が在名祭祀書を独占していたのだが、彼が序列2位になってからの指導を受けた者、手解きを受けた者の殆どが序列入りをしていた。今では4〜5割が新たに序列入りをしている。

 

 

そんな比企谷八幡は最近、4代目【万有天羅】の名を継承し、新たに【神羅武双】の2つ名を貰った。だが、変わったのは序列や2つ名だけでなく、周囲の環境もだった。

 

 

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八幡side

 

 

「宗師、おはようございます!!」

 

「「「おはようございます!!」」」

 

八幡「あぁ……おはよう。」

 

 

皆さんおはようございます、比企谷八幡です。さて、今の状況を整理してみよう。まずは……呼び方が変わってる。うん、それは分かってるんだよ。俺だっていきなり変わってたのをこの前初めて聞いて驚いたんだ。けど、俺の周りが変わったのはそれだけじゃない。

 

それは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冬香「如何なさいましたか、八幡様?」

 

 

俺が4代目になってからというものの、冬香さんが常に俺の側にいるようになってしまった。いや、俺が命令したわけじゃないからね!なんか着いてくるんだよ!?俺も最初は断っていたんだが、そしたら『常にこの学院の統括者を守護するのは当然の役目です。』って言って聞かないんだよ。しかも呼び方だって八幡“様”だぞっ!?この前まで“さん”だったのに“様”になっちまったよ!これどうするよ!?

 

 

冬香「八幡様?」

 

八幡「あぁ、いえ、なんでもないです。それよりも冬香さん、別に俺につきまとわなくてもいいんですよ?」

 

冬香「そういうわけには参りません。長たる者、側近は側に置くべきです。師父……いえ、星露さんは虎峰くんを常に従えていましたので、私も八幡様の側に居させてください。」

 

八幡「いや、俺は別に……」

 

冬香「それと、敬語とさん付けはお止めください。私の事は冬香と呼び捨てで結構です。言葉遣いも虎峰くんたちと同じような感じで構いません。」

 

 

………冬香さんってこんな人だったっけ?なんかアレだな、自分の主人にはとことん尽くすタイプの人だな………いやいやいや!俺主人じゃねーし!!

 

 

八幡「年上に敬語は使わないとダメでしょう。」

 

冬香「そう仰ると思っておりました。八幡様はご存知ないと思われますが、八幡様は大勢の弟子を抱えている身。その中には年上もおります。私が見たところではその人たちには敬語を使っていませんでしたが?」

 

 

ちゃんと見てやがる………

 

 

冬香「八幡様、私は特別扱いはされたくありません。どうか、私にも虎峰くんたちに接するような扱いを希望します。お願いできないでしょうか?」

 

 

陽乃みたいな感じにしろって言いたいのか?いや、確かに頼まれたのは事実だが、貴女の場合は真面目に聞いてくるから余計に断りにくいんだよ……頼むからさ、普通で接すのはダメなのか?

 

ダメですね、はい。

 

 

八幡「………分かった、まぁ暁彗ともそんな感じだしな。まだ敬語は抜けないかもしれないが、そこは理解してくだ……理解してくれ。」

 

冬香「とんでもございません!こちらからお願いしているのです、八幡様がお気にすることなんて一切ございません!」

 

 

あとそれ!その崇めるような喋り方はやめようねっ!俺別に偉いわけじゃないから!

 

 

ーーーその夜ーーー

 

 

はぁ………疲れた。もう俺の癒しのパラダイスはここしか残ってない。頼むから俺を地獄に突き落とさないでくれよ?これ以上はイヤだからな?

 

 

八幡「ただいまぁ〜。」

 

シルヴィア「おかえり八幡くん、随分疲れてるね?何かあったの?」

 

八幡「いや、ちょっとな。別にする必要もない事を要求されてしまったから疲れただけだ。」

 

シルヴィア「それって?」

 

八幡「敬語とさん付けを止めろってさ。虎峰と会話するときのように接して欲しいって。しかもその人、授業が始まるまでの時間、終わった後の時間、休みの日は四六時中一緒にいるから心が休まらない。」

 

シルヴィア「それは大変だね………八幡くんが望んだわけじゃあないんだよね?」

 

八幡「俺がそんなタイプに見えるか?逆に嫌だ。俺は人を従わせるのなんてゴメンだ。」

 

シルヴィア「うんうん♪八幡くんらしい答えだねっ♪」

 

 

あぁ………やっぱシルヴィは違う。俺の望む答えを返してくれるというか、嫌な事を追求してこない。なんて良い彼女を持ったんだ。

 

 

シルヴィア「今日は早く寝よっか。八幡くん明日も疲れて帰ってくると思うから、なるべく早くしないとね。負担を減らすようにしないとね。」

 

 

気遣いも出来る………本当によく出来た子だよ!

 

 

シルヴィア(何だろう、八幡くんが私に向ける眼差しが凄く熱いような……よく見てくれているのは嬉しいけど、もう少しだけ抑えてほしいかな。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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