学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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王竜星武祭 開幕

 

 

八幡side

 

 

八幡「………やっぱさ、ねn「いけませんよ、八幡様?」……最後まで言わせてくれよ。」

 

冬香「陽乃様から事前に言われていたのです。八幡様は開会式直前になると、後ろに控えようとすると。」

 

八幡「それの何処に問題があるんだ?」

 

冬香「大アリでございます。学園の長たる者が、何故にして一番後ろにお下がりになりますか。」

 

暁彗「………………比企谷八幡。これが最後の星武祭なのだ。最後も堂々と先頭を歩くべきだ。」

 

八幡「そう言われると弱いな………ていうか思ったんだが、何で今シーズンの星武祭は全部俺が先頭なんだ?」

 

冬香「推測するからには、《鳳凰星武祭》では単に序列が1番上だったからでしょう。後は参加した皆様の支持ではないでしょうか?《獅鷲星武祭》も単純にチームリーダーだからでしょう。最後に《王竜星武祭》ですが、これも簡単です。八幡様が【万有天羅】だからです。」

 

 

そんな理由で先頭になるのかよ。だったら今すぐこんな称号返上してやるよ。

 

 

冬香「因みにですが、もし【万有天羅】を返上したとしても、序列1位というのは残りますので、自動的に八幡様が先頭なのは変わりませんね。」

 

 

逃げ道なしかよっ!!

 

 

八幡「はぁ……分かったよ。どうせ逃げ道なんて最初から潰していたんだろ?自由を妨げる事を許されないって言われておきながら、俺メチャメチャ束縛されてんじゃねぇか。」

 

冬香「ふふふっ、もう少しの辛抱ですよ。」

 

暁彗「………………」

 

 

まぁ、開会式なんてすぐ終わるからいいか。

 

 

八幡sideout

 

シルヴィアside

 

 

いよいよかぁ……負けるつもりはないけど、1回戦を勝った後は界龍の強敵が待ってる。集中力を乱さないようにしないと。

 

 

ネイトネフェル「シルヴィア、1ついいかしら?」

 

シルヴィア「ん?何?」

 

ネイトネフェル「比企谷八幡、彼の弱点を教えてほしいわ。私の初戦の相手なの……私も彼の試合は全て見たのだけど、弱点らしきものは見つからなかったわ。何かないかしら?」

 

シルヴィア「実を言うと私も知らないんだ。直接戦ったこともないから。八幡くんの一撃は強いし重い。1つの動きも洗練されていて無駄がなくて鋭くて速い。すごいところしか知らないよ。」

 

ネイトネフェル「貴女、星武祭が近かったのにも関わらず、彼の弱点を探ろうともしなかったの?」

 

シルヴィア「しないよ。確かにそれも戦略の内だけど、私はそんな事しない。仮にやって弱点を得たとしても、貴女には教えないよ。」

 

ネイトネフェル「………何故かしら?」

 

シルヴィア「簡単だよ、勝てないから。」

 

ネイトネフェル「っ!言ってくれるわね。」

 

 

別にこれは貶しているわけじゃない。バカにしているわけでもない。私の心がそう言っている。

 

 

シルヴィア「貴女の力は確かに強いよ。体術なら私を超えてる。でも、八幡くんはその更に上をいってるよ。一応言っておくけど、八幡くんはオールラウンダー。全ての距離適性を持ってるから、遠距離で戦ってもすぐに詰められたり、遠距離攻撃をしてくるからね。もし勝つつもりでいるのなら、戦い方に工夫を3倍くらい重ね掛けしないと彼に傷すらつけられないから。」

 

ネイトネフェル「……彼を贔屓しすぎじゃないかしら?いくら自分の彼氏だからって。」

 

シルヴィア「そんな考えは持ってないよ。今からこのステージは戦場になるんだよ。そんな場所にそんな感情はいらない。戦わないうちはいいかもしれないけど、戦場に変わったら、そんな感情は邪魔になるだけだよ?」

 

ネイトネフェル「………」

 

シルヴィア「私からも1つ聞くね。君はこの大会でも普段と同じように踊るのかな?」

 

ネイトネフェル「……そのつもりよ。それが何なの?」

 

シルヴィア「ううん、別に何でも。」

 

 

これで分かった、彼女は八幡くんには絶対に勝てない。戦場をステージと同一視しているようじゃ、優勝なんて夢のまた夢だよ?

 

 

シルヴィアsideout

 

ーーーーーー

 

 

ーーーシリウスドームーーー

 

 

シーズン最後を締めくくる星武祭だけあって会場には多くの観客がいた。だが観客の数に反比例して、選手の数は7人と圧倒的に少ない。それでも参加しなくてはならない生徒会長というのは不憫だと思う。

 

しかも出場校が3学園だけともなると、注目されてくるのは限られてくる。

 

 

八幡「そういえば、星武祭の運営って誰が仕切ってるんだ?この前の騒動で元運営委員長は捕まっちまったし。」

 

冬香「そういえば、まだ発表がなかったですね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コール「皆様、ご機嫌よう。今回、臨時として星武祭運営委員長を務めさせて頂いている、コール・メスメルです。」

 

 

八幡(あの人はガラードワースの母体幹部の……確か、今ガラードワースに所属している序列7位の父親だったな。)

 

 

コール「今回の星武祭は異例中の異例。その理由は出場選手が圧倒的に少ない事にあります。理由は皆様もご存知だと思われますので、ここは省きましょう。」

 

コール「それに伴い、今回は初戦からトーナメント方式で試合を進めていきたいと思っております。1回戦を除いた選手もおりますが、人数の関係上仕方がないと思っております。ご理解をよろしくお願いします。」

 

コール「今シーズン最後の星武祭なので、より白熱した戦いが見られる事を期待しております。選手の皆様は日々の研鑽を無駄にせず、全てを出し切れるよう戦いに臨んでほしい。」

 

 

そしてコールは一礼をした。

 

 

観客席からは拍手と歓声が上がり、星武祭の始まりを意味するかのようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 


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