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試合開始の合図が鳴り響き、由比ヶ浜は片手剣型の煌式武装を展開して、シルヴィアの方へと走った。一方のシルヴィアは自身の持っている銃剣型煌式武装《フォール・クヴァング》を構えるどころか展開すらしておらず、更には構えもとらずただ立っているだけだった。
由比ヶ浜(動かない?だったもう私の勝ちだしっ!)
由比ヶ浜はシルヴィアの目の前まで接近して剣を真上に振り上げてから、シルヴィアの校章目掛けてそのまま振り下ろした。
シルヴィア(確か八幡くんの使っている武術は、攻撃を防いでから一撃を与える攻守一体がスタイルだったよね?後は手足をコンパクトに使うんだよね。じゃあ受け流しつつ、攻撃をしてみようかな。)
シルヴィア「ふっ!」
由比ヶ浜「ぐふっ!?」
シルヴィアは両手の甲に星辰力を少量練り上げて由比ヶ浜が振ってきた剣を弾いた。そして空いているもう片方の手の甲で由比ヶ浜の頬に向けて裏拳を食らわせた。由比ヶ浜はそのまま床に倒れた。
由比ヶ浜「〜〜〜!!」
シルヴィア「もう終わりかな?私まだ何もしてないよ?ちょっと星辰力を練って手の甲で攻撃しただけだよ?ギブアップには早過ぎるんじゃないかな?」
由比ヶ浜「う、うぅ〜!!」
シルヴィア(この子、一体どんな鍛錬してるんだろう?星脈世代であれば打たれ弱くても、我慢して這い上がることくらいは出来る。しかも今の一撃なんて3割も出してない。それでこんなに痛がるの?こういう所に自分の甘さ加減って出てくるよね。)
シルヴィア「はぁ………それじゃあ八幡くんを倒すのなんて100年どころか100万年早いよ?私よりも強いんだからね?八幡くんは。」
由比ヶ浜「っ!くぅ……!」
由比ヶ浜は痛がりながらも身体を起こした。八幡を倒せないという言葉が効いたのだろう。
シルヴィア「どうやらまだ出来そうだね。それじゃ、かかってくるといいよ。自分がいかに愚かな事を口走ったのかを思い知らせてあげる。」
八幡「……シルヴィの奴、キレてるってのもあるが、完全に遊んでやがるな。由比ヶ浜を蹂躙する気満々じゃねぇか。まぁ全部由比ヶ浜の口が災いを呼んだだけだから自業自得だけどな。さて、こっちもこっちでケリがつきそうだな。やはり相性の問題もあったからか、すぐに決着がつきそうだな。」
実況『試合終了〜!!勝者、武暁彗〜!!!』
八幡「冬香さんは《魔女》だから後方で式神を作る戦法、だから自身は攻撃参加が基本出来ない。出来なくもないが、あれだけの式神だ。使役するのにはかなりの精神力が必要だ。その中で暁彗の相手をしていたんだ、あいつの武術を10分凌いだだけでも上々だろう。」
八幡「さて、後はシルヴィの試合だな。ここにずっといてもアレだし、カノープスドームに向かうか。」
由比ヶ浜「かはっ!!……はぁ……はぁ……」
シルヴィア「………」
由比ヶ浜「はぁ……はぁ……はぁ……」
シルヴィア(なんか八幡くんに勝てないって言った途端から、急に火がついちゃってるんだよね〜。なのに攻撃のパターンは一緒、おおきく振りかぶって来るだけ。これって普通に見ると私がいじめてるように見えちゃったりするのかな?だとしたらもう決着つけたほうがいいかな?)
シルヴィア「ねぇ、1つ質問するよ?もし今此処にいるのが八幡くんだったら、君はもっとやる気になるのかな?」
由比ヶ浜「ヒ、ヒッキーがいたら?……勿論ですよ……はあ……はぁ……1番に、切ってます!」
シルヴィア「……そっか、じゃあ………
シルヴィアは質問の返答が来ると1人そう呟いた。次の瞬間、由比ヶ浜は壁まで飛ばされていた。シルヴィアの方を見てみると………蹴りを放ったようだった。
由比ヶ浜は気絶していて、校章も砕かれていた。
クリスティ『由比ヶ浜結衣、意識消失!!勝者、シルヴィア・リューネハイム〜!!!おそるべき強さを見せつけましたねー!!』
護藤『彼女は体術にも長けていますから、今回の相手は体術で充分だと判断したんでしょう。次の試合も楽しみですね。』
シルヴィア(はぁ………つまらない戦いだったなぁ。やる必要性が全く感じられない、すっごく退屈な試合だったよ。)