学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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前回の誤字が多過ぎました。
ご報告してくださる皆様には深く感謝します。
今回も無いとは言えませんが、どうぞ!


技量と大きな器

 

ーーーーーー

 

 

曲のBGMが流れ出す。だが、ペンライトを振る人は誰もいない。光っているところもあるが、それだけである。

 

 

八幡「♪〜♪〜」

 

八幡「♪〜♪〜」

 

 

やっぱこの歌詞は良いなぁ。俺は激しくても穏やかでも、相手に自分の気持ちを伝えるような歌は好きだ。

 

 

八幡「♪〜♪〜♪〜」

 

 

今は観客の事なんて気にするな。ただ歌うだけだ。反応なんてその後でもいい。

 

 

観客 女1「ねぇ、なんか良い感じじゃない?なんか結構良いな。」

 

観客 女2「うん、私も思った……聴いててなんか歌いたくなってきた私。」

 

観客 女3「取り敢えずさ、ペンだけでも振らない?私それくらいなら、やってもいいと思うなぁ。」

 

 

観客 男1「おい、どう思う?」

 

観客 男2「結構上手いよな。」

 

観客 男3「おいおい、お前らもしかして振るつもりか?俺はゴメンだぞ?」

 

観客 男1「別にそんな事言ってねーだろ。一応の評価だよ。」

 

 

八幡「♪〜♪〜」

 

 

揺れる銀髪、全身ずぶ濡れだがお構いなしにに歌い続けている。まるで最初から何もなかったかのように。

 

 

八幡「♪〜♪〜」

 

 

シルヴィア(八幡くん、頑張って………私1人になったとしても私は絶対に応援は止めないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は君を見捨てないから。)

 

 

八幡「♪〜♪〜♪〜」

 

 

サビに入ってからは会場の雰囲気が違っていた。ペンライトを振っているのは約7割、八幡の歌は、最初の0から今に至る約7割の人間を動かしていた。

 

それ程までに八幡の歌には感情がこもっており、シルヴィアには、表現出来ない程、喜びの感情が膨れ上がっていた。

 

 

八幡「♪〜♪〜♪〜」

 

八幡「♪〜♪〜」

 

 

シルヴィア(すごい………最初はあんなに酷かったのに、今はこんなに盛り上がってる。)

 

 

八幡「♪〜♪〜」

 

 

観客 女1「すごーい!あの人かっこいいっ!私ファンになっちゃったっ!」

 

観客 女2「私もっ!凄い歌声!好きになっちゃった。あの人の歌ってるとこ!」

 

観客 女3「惚れ惚れしちゃうね!もっと歌ってほしいなー。」

 

 

 

 

 

観客 男1「ヤベェ……聴き惚れてた。あいつの歌スゲェ鳥肌立つ。」

 

観客 男2「俺も鳥肌たってるわ。俺これなら歌ってても問題ねーわ。」

 

観客 男3「………まぁ、上手い方だな。俺もいてもいいと思う。まぁ、別にどうしてもって訳じゃねーけどな。」

 

観客 男2「お前がツンデレとか誰も得しねーよ。それよりも聴こーぜ!もうそろ終わりだけどよ。」

 

観客 男3「ツ、ツンデレじゃねーよっ!」

 

 

 

 

 

スタッフ1「マネージャー!」

 

ペトラ「………えぇ、驚きだわ。あの状態でここまで盛り上げるなんて。」

 

スタッフ2「良かった……本当に良かったです!」(ゴウキュウ)

 

ペトラ「ち、ちょっと?まだライブは始まったばかりなのよ?泣くのはライブが終わってからにしなさい?」

 

スタッフ2「はい!」

 

 

シルヴィア(………いつの間にか、会場の全体が盛り上がってる。もしかして全員?ここにいる観客の人たち全員を?だとしたら………凄いよ八幡くん。)

 

 

 

八幡「♪〜♪〜」

 

八幡「uhh〜」

 

 

歌が終了し、曲のBGMが消えた。

 

 

〜〜〜!!!!!

 

 

会場からは、割れんばかりの大歓声。これはもう認めざるを得ないだろう。八幡の歌はこの会場の観客に認められたと。

 

 

観客 女1「キャー!すご〜い!」

 

観客 男1「うおおぉぉ!!最高だったぞー!もう一回頼むっ!」

 

 

「凄かったぞー!」「聴き惚れました!」

「次も歌ってくれー!」「もう一回お願いしまーす!」「こっち向いて〜!」

 

 

シルヴィア「……………」(パアァっ!)

 

 

シルヴィア(私も思わず声を出したくなる。けど、まだその時ではない。次が私の番だからそれまで待たなくちゃ!)

 

 

八幡「ありがとうござい「ざけんじゃねぇっ!!」」(ブンッ!!)

 

八幡「ぐっ!」(バリンッ!)

 

 

 

シルヴィア「八幡くんっ!!あっ!破片が刺さってるっ!」

 

最初にブーイングを起こしたファンが再び瓶を投げてきたのだ。だが、割れた破片が八幡の左額に刺さっていた。

 

 

ファン1「俺達は騙されねぇぞ!んな曲聴いたってなちっとも響かねぇんだよっ!!なぁ?お前ら?」

 

 

だが、後ろにいた2人は軽蔑するような目で見ていた。勿論周りの観客もである。

 

 

ファン1「な、何だよ!?」

 

ファン2「いや、俺も確かにやり過ぎたけど、正直あの歌聴いて納得出来ない程、俺は腐ってねぇぞ?」

 

ファン3「俺もだ。あいつの歌……俺は良いと思った。お前あの歌聴いても納得出来ねぇのか?だとしたらお前の耳腐ってんじゃねぇのか?」

 

ファン1「はぁっ!?何だよ!?俺が悪いってのかよ!?」

 

ファン3「俺、今の状態でお前に味方する程バカじゃないつもりだぞ?」

 

ファン3「それと分かってんのか?反発してんのってこの会場の中でお前だけだぞ?」

 

 

男が辺りを見回すと、全員が敵意を持った目で見ていた。シルヴィアや虎峰でさえも怒りを露わにしていた。

 

 

警備員1「取り押さえろっ!」

 

ファン1「おい何しやがる!放せよ!おいっ放せっ!!」

 

警備員2「大人しくしろっ!」

 

 

警備員は手錠を取り出し、男を抑えつけながら手錠を掛けた。

 

 

警備員1「暴行罪、並びに名誉毀損罪で君を逮捕する!!」

 

 

観客からは歓声が湧沸く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「お静かにっ!」

 

 

八幡がそう言うと、会場は一気に静まり、警備員の足も止まった。

 

 

八幡「そこの男性は確かに私に向かって暴力行為を働きました。逮捕されるというならば当然でしょう。」

 

八幡「ですが、私はこの場を犯罪のあった会場にはしたくありません!世界の歌姫、シルヴィア・リューネハイムの歌ったライブを事件にはしたくありません!」

 

八幡「私はこんな事で犯罪者を出したくはありません。私のこの傷は、皆様の期待に応えられなかった分の傷です。ですので、その男性の逮捕は免除してくださらないでしょうか?お願い申し上げます。」

 

 

そして八幡は頭を下げた。暫くの静寂が続く。そして………

 

 

警備員1「また貴方に向かって何かするかもしれませんよ?よろしいのですか?」

 

八幡「その時はその時です。私自身で対処致します。」

 

警備員1「……分かりました。おい、手錠を外してやれ。」

 

警備員2「え!?で、でも……はい。」

 

 

警備員の後輩と思われる男は手錠を外し、男を解放する。

 

 

ファン1「………」

 

 

そして会場からはまたもや割れんばかりの歓声と拍手が送られていた。

 

 

八幡「ありがとうございます!これで犯罪者を出さずに済みました。そして、勇気ある行動とご決断をなさった警備員の方達にも拍手をお願いします。」

 

 

八幡がそう言った後に2人の警備員に向かって拍手が送られていた。2人は恥ずかしがりながらもビシッと敬礼をしていた。

 

八幡「それでは次の歌まで少し時間が空きますので、皆さんご休憩をなさっててください。それでは、失礼します。」

 

 

そう言ってから八幡は垂れ幕の奥へと姿を消し、シルヴィアも中に入って行った。

 

 

観客 女1「………ねぇ、凄くない?あんな怪我したのにあの人を許しちゃうんだよ?」

 

観客 女2「うん、それもあるけど……私、界人さんに惚れちゃったかもっ!」

 

観客 女3「あぁ〜それ分かる!歌にも人柄にも惚れちゃったなー。」

 

 

観客の殆どは、八幡を賞賛、賛称していた。敵だけだった会場を僅か10分で全員を味方につけたのだ。

 

 

観客 女4「いや〜どうなるかと思ったよ。あの子も凄いねー。」

 

観客 女5「……うん。でもあの子、なんか少し似てたなぁ……」

 

観客 女4「え、なんか言った?」

 

観客 女5「ううん、なんでもないよ〜。」

 

観客 女4「もう、あんたそんな雰囲気なんだから周りに気をつけなさいよ?」

 

観客 女5「むぅ〜分かってるよ〜。」

 

観客 女4「ホントに気をつけてね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

めぐり?」

 

 

 

 

 




最後の最後でどうでした?
意外だったでしょう?

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