八幡side
垂れ幕の方に戻った俺は、すぐさま控え室に連れていかれて治療を受けていた。まぁ、破片が刺さってるみたいだしな、慌てもするか。勿論、治療をしているのはシルヴィだった。
鏡を見ると、顔の半分は流血で染まっていて、治療は自分でしようと思っていたが、シルヴィが梃子でも動かないようだったので、やらせる事にしました。
シルヴィア「……八幡君大丈夫?包帯で締めてるけど、痛くない?」
八幡「ん、平気だ。サンキューな。」
シルヴィア「………ゴメンね。八幡君に責任は無いのに………」
八幡「気にすんな。それと、服も着替えないとな。このままやるとなるとちょっとな。だが替えなんて持って来てないしな。」
シルヴィア「それなら、今日は絶対何かあるってペトラさんやスタッフの皆が言っててね、服は2〜3着あるから大丈夫だよ。」
おぉ、そりゃ助かる。んじゃ、早速見てみるか。どんなのがあるのかねぇ?
ガチャッ
ペトラ「八幡くんは居るかしら?」
シルヴィア「………ペトラさん?」
八幡「ん?」
ペトラ「ずっと此処に居たのね?」
八幡「まぁ、そうですね。シルヴィが手当てするって聞かなかったもので。」
シルヴィア「………もしかして余計な事だったかな?」
八幡「んなわけねぇだろ。逆にありがとうだよ、余計なわけねぇだろ。」
この子ちょっと卑屈になり過ぎてやせんかね?別に落ち込む事はねぇよ。
八幡「それで、どうかしたんですか?俺に用があるみたいですけど?」
ペトラ「っ!そうだったわ。八幡君、1人のお客様が八幡君にって。これは私の推測だけど、これを着てほしいと思ってるんじゃないかしら?」
広げると、黒い服なのは分かっていたが、ただの服では無かった。燕尾服だった。
ご丁寧にネクタイと手袋もポケットの中に入っていた。え?着ろって?
八幡「……あの、俺は歌を歌うのであって、観客に奉仕をする気は全く無いんですけど?それに、俺はただの代役、しかもこれはシルヴィのライブです。俺が目立つわけにはいかないでしょう。シルヴィもそうおも………おい、何だその物欲しそうな目は?」
シルヴィア「八幡君、着てみない?きっと似合うよ!その燕尾服!」キラキラ
八幡「あのなぁ……」
シルヴィア「それにね、観客の期待に答えるのも必要だと思うの!」キラキラ
ペトラ「そうね………そう言われると確かにその通りね。八幡君、着てみなさい?」
八幡「………ペトラさん、ちゃっかり着させるのに便乗してませんか?」
ペトラ「そんなわけ無いじゃない。私は至って普通よ?正論だと思っただけよ。」
とか言いながら、燕尾服に目が行ってるんだが?全然隠しきれてませんよ?
まぁいい。客に受けるか受けないかは別として、仕方ねえからこれ着てやるしかないか。さ〜てと、着替えるか。
備え付けの試着室で着替えること3分。
八幡「………一応着替えましたが、どうです?似合ってないと思いますが。」
シルヴィア「あ、おわっ……た……の?」
ペトラ「どんな感じになったかしら?」
八幡「こんな感じですけど、どうです?会場に出ても文句言われませんかね?」
ペトラ「えぇ、大丈夫よ。よく似合ってるわ。本物の執事みたいね。」
八幡「シルヴィが全く反応しないんですけど、起こした方がいいですか?」
ペトラ「はぁ、この子は……」
シルヴィア「………八幡君。」
八幡「あ、起きた。で?何だ?」
シルヴィア「私の事、今だけお嬢様って呼んでくれないかな?」
2人「………え?」
シルヴィア「ね?いいでしょ?1度くらい呼んだってバチは当たらないよ?」
シルヴィが壊れてしまった。それに目が本気だ。
八幡「………そろそろ時間だ。」
シルヴィア「お嬢様って呼んでくれるまで動かないから。」
八幡「おい、このポンコツ。いい加減目を覚ましやがれください。お嬢様。」
シルヴィア「それじゃダメ、もっと気持ちを込めて。」
コ、コイツ………よし、ならやってやるよ。羞恥心とかそんなもんは捨ててやってやるよ!
八幡「……シルヴィアお嬢様。」ギュッ!
シルヴィア「っ!?/////」ボッ!
八幡「(チュッ)……そろそろお時間でございます。あまりお客様を待たせるのはよろしくありません。次はお嬢様の『愛の詩〜words of love』でございます。さ、会場へ向かいましょう。」
シルヴィア「ひゃ、ひゃい/////」
シルヴィア「(八幡君が私の手を握って………しかも、キキキキキ、キスしてくれた/////)ひゅう〜……」
八幡「お嬢様、気絶なさらないで下さい。でないと……何をするか分かりませんよ?」
シルヴィア「っ!?
八幡「なら結構です。さ、参りましょう。お嬢様、お手をどうぞ。」スッ
ペトラさん……ニヤニヤしながらこっちを見ないで下さい。これでも恥ずかしいんです。羞恥心無くすなんて無理ですから。
俺だって男である前に人間ですから。
シルヴィア「う、うん/////」カアァ…
顔を真っ赤にしながら俺の手に手を置く。
八幡「会場入口前までエスコートします。足元にお気をつけくださいね?お嬢様。」
シルヴィア「う、うん……キャッ!?」
八幡「大丈夫ですか?お嬢様?」
シルヴィア「うん、へい……!!?/////」
足がもつれて転びそうになったところを運良く俺が目の前に居たので、受け止めることが出来たのだが、見上げた視線の先に俺が居たから驚いてんだろう。
だがこうやって間近で見ると、本当に端整な顔立ちだな……綺麗だ。」
シルヴィア「う、うぅ〜//////////」プシュ∼…
ペトラ「八幡君……貴方大胆ね。」
八幡「え?何がです?」
ペトラ「まさか無意識なんて……貴方今、声が出てたわよ?綺麗だって。」
………マジかよ。やっぱこの癖は治んねぇな。いつの間にか出ちまう。
八幡「お、おーいシルヴィ?」
シルヴィア「/////」
ペトラ「気絶はしてないけど、明らかに放心してるわね。八幡君もやるじゃない。この子を手玉に取るなんて。」
八幡「とってません。」
ペトラ「分かってるわよ。悪いけど、入り口まで連れて行ってあげて。この子、目を覚ましそうにないから。お願い出来るかしら?」
八幡「まぁ、自分にも責任あるんでそれくらいは。シルヴィ、行くぞ。」
シルヴィア「………/////」コクッ
入り口前まで来た俺は、何とかして目を覚まさせようとしたが全く目が覚めないので、奥の手として1つ言う事を聞いてやると言ったら、3つと言われた。
理由を聞いたら、顔を赤くしてそそくさとステージに行ってしまった。まぁ、俺はこっから見てるだけだからな。
けど俺、どんな拷問受けんだろうな。
閑話……早めに終わらせないとな。