八幡side
あぁ〜終わったぁ〜……一時はどうなるかと思ったが、成功だな。しかしシルヴィの歌、昨日とは全然違ったな。俺ももらい泣きしそうになっちまった。
シルヴィア「お疲れ八幡くんっ!」
八幡「お、おいっ!?」
控え室に入ったと同時にシルヴィが抱き着いてきた。しかも相当な力で抱き締められてる。首に腕が回っているわけじゃないから苦しくはないが、頭を俺の胸に擦りつけるような仕草をしていた。
気持ちは分かるがやめてくれ。誰も居ないとはいえ、少し恥ずかしい。
シルヴィア「ん〜♪」
八幡「……はぁ、ちょっとだけだぞ。」
シルヴィア「うん♪」
ーーー10分後ーーー
シルヴィア「ん〜もういいよ♪ありがとう八幡くん!すごくリラックス出来たよ。」
八幡「そうか。まぁ、満足したならそれでいい。この後は何もないよな?」
シルヴィア「うん。私は握手会とかあるけど、八幡くんは特に何かあるってわけじゃないから、帰っても大丈夫だと思うよ。」
これでやっと終わったな。あっ、そうだった。
八幡「俺さ、帰りの服どうすればいいんだ?替えの服って持ってねぇんだよ。」
シルヴィア「替えの服ならあるよ。それ着て帰りなよ。私からも言っておくから。まぁ、怒られないとは思うよ。最初があんな感じだったからね。」
そうだよな。あの状態からよく立ち直れたよな。あー絶対1ヶ月前の俺だったらあり得ねぇな。此処に居ること自体まず無い。
コンコンッ
シルヴィア「ん?どうぞ。」
ガチャッ
スタッフ「失礼しますっ!あぁよかった、比企谷くんまだ居てくれたんだね!」
八幡「え?もう何も残ってないから、俺帰る予定だったんですけど………」
スタッフ「それがね、観客のほぼ全員からの要望でね。シルヴィアちゃんだけでなく、君の握手会もやってほしいって。」
はい?何で俺も?
シルヴィア「まぁ大体予想はしてたけど、ほぼ全員なんですか?」
スタッフ「うん。今日はドームが小さいからそんなには多くないけど、比企谷くんには多いかもね。1000人くらいいるかな。」
せ、1000人!!?
スタッフ「お客様の中には握手とかじゃなくて、ただ単に謝りたいって人もいるみたいでね、出来ればやってあげてほしいんだけど、どうかな?」
八幡「……分かりました。気が遠くなりそうですが、頑張ります。」
スタッフ「おぉ、ありがとう!代わりといっては何だけど、今日の打ち上げには君も参加するといいよ。今日の1番の功労者は君だからね。」
八幡「いや、別にいいですよ。握手するだけなんで……何だ?シルヴィ。」
シルヴィア「八幡くんも打ち上げ参加してよ。八幡くんが居なかったら、このライブどうなってたか分からないんだよ?」
八幡「俺が居たからこんな風になったとも言えるがな。とにかく、早く済ませようぜ。でないと待たせちまうからな。」
シルヴィア「あっ、待ってよ〜。」
スタッフ「……仲睦まじいね〜。」
ーーーメインホールーーー
スタッフ「皆様!これより握手会を開きます!当然のことですが、押さないようにゆっくり歩いてきてくださいね!1人1人順番に入って下さい!」
スゲェ、マジで先が見えねぇ。
シルヴィア「八幡くん、コツはあんまり握り締めないことだよ。やり過ぎると後半握力がなくなってくるから。」
八幡「おう、サンキューな。」
そして、握手会が開かれた。
観客 女1「シルヴィアさん!界人さん!今日のライブ最高でした!!」
シルヴィア「あはは♪ありがとう♪」
八幡「ありがとうございます!」
観客 女1「あっ!界人さん、それまだ着ていたんですね!嬉しいです〜!」
八幡「ということは貴方が?」
観客 女1「はいっ!職種と趣味で作ってるんです!凄く似合ってます!」
八幡「ありがとうございます。」
観客 女1「これからも頑張って下さい!」
俺は芸能人でも歌手でもないんだがな。歌うのはこれっきりだと思うぞ?
それと今更だが疑問に思った、何でこの服持ってきてたんだ?
虎峰「シルヴィアさん!いつもテレビで見てますが、今日のライブも良かったです!八代さんも凄く良い歌声でした!」
シルヴィア「ううん、こちらこそありがとう!いつも応援してくれて!」
八幡「私からもお礼を言わせて下さい。あの時、庇ってくれて助かりました。何かお礼をしたいところですが、生憎私は一般人。出来ることは限られています。」
虎峰「い、いえそんな!?気にしないでください!会場の時にも言いましたが、僕の学院にも八代さんに似たような人がいるんです。八代さんとは正反対ですけど、何処と無く雰囲気が似てるというか……」
八幡「……そうですか。私も会ってみたいですね。私に似ているというその方に。」
虎峰「あ、でも彼はめんどくさがり屋でして、会うのを拒むかもしれませんね。」
……すいません、その本人が目の前にいます。めんどくさがり屋ですいません。
虎峰「とにかく、今日のライブは素晴らしかったです!また機会があったら、2人で歌ってほしいです!ではっ!」
そう言って虎峰は会場から出て行った。
シルヴィア「……前から思ってたけど、良い人だよね。」
八幡「それは本人が居る時に言ってくれ。あいつステップしながら帰るぞ絶対。」
八幡「っ!!」
めぐり「こんにちは〜!初めて来たんですけど、凄く良いライブでした〜!わ〜、間近で見るとすごく綺麗ですね〜!」
シルヴィア「ありがとう!」
八幡「あ、ありがとうございます。」
めぐり「これからも頑張って下さい!」
八幡「わ、私は代役なので、出られるか分かりませんが、ありがとうございます。」
めぐり「はいっ!」
八幡「……………」
めぐり「……………」
な、何だろう?スゲェこっち見てる。
………とても悲しそうな目で。
八幡「あの……何かご不満でもありましたか?目がとても悲しそうですが?」
めぐり「……あの、すごく失礼な事なんですけど、聞いてもいいですか?」
八幡「?私にお答えできる範囲でなら。」
めぐり「………私、千葉の総武高校の城廻めぐりっていうんですけど、貴方は比企谷八幡さんですか?」
シルヴィア「っ!?」
八幡「…………」
八幡「………何故そうだと?」
めぐり「喋り方とか雰囲気とか彼にそっくりで……」
八幡「その八幡さんは、今も総武高校にいるのでは?何故私がそうだと?」
めぐり「………1ヶ月前、急に転校しちゃったんです。1つ下の後輩だったんですけど、色々助けてもらってたのに何も言えないまま何処かに行っちゃって……」
めぐり「私の顔を見ても、きっとすごく嫌な顔をすると思います。でも、それでも会って言いたいんです。ごめんなさいって。」
八幡「何か悪いことでもしたのですか?」
めぐり「………彼の気持ちを分かってあげられなくて、比企谷くんは学校で凄く虐められてて、私は生徒会長なんですけど、分かってあげるどころか理解すらしてなかったんだって気付かされたんです。転校したのを知ったすぐ後に。」
めぐり「全部の事情を知った時には、あの時言った言葉をすごく後悔しました。私……彼のこと……グスッ……凄く…酷いこと言って………それっきり…グスッ……何もないまま……何処かに行っちゃって。」
2人「……………」
めぐり「八代さんの……歌を聴いて…今の雰囲気とか……喋り方とか見て、もしかしたらって………比企谷くんなんじゃないのかって!」
シルヴィア「………」
八幡「………」
八幡「………期待を裏切るようで申しわけありませんが、私は比企谷八幡さんではありません。ショックを受けるでしょうが、私はその名前をこの
まぁ、暫くは俺の身を隠すために情報を出していないだけなんだがな。
めぐり「………そうですか。ありがとうございました。シルヴィアさん、これからも頑張って下さいね。それでは。」
おぼつかない足で行ってしまった。
シルヴィア「いいの?」
八幡「あぁ、今ここにいるのは比企谷八幡じゃなく、八代界人だからな。
八幡「今はもう関係ない。昔高校が同じだったってだけのただの他人だ。」
シルヴィア「………そっか。」
その後は何事もなく、握手会は無事に終わった。城廻先輩が居たことには驚いたが、それだけだ。今の俺には関係ない。
たとえ、
お次はどうしようかな?