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3月の中旬の終わり頃。この日だけは六花全体の空気が重みのある空気を漂わせていた。その理由が……各学園の校門の前に出されてある看板を意味していた。
【卒業式】である。
六花ではどの学園も共通の日に卒業式が行われる。それは六花園会議で打ち合わせ等をして決める。どの学園も校風が全くの別物である為、卒業式のやり方は学園によって様々だが、最上級生が学園を別れるという共通点はどの学園も一緒である。
今回は界龍第七学院の卒業式を覗いてみよう。
ーーー界龍第七学院ーーー
「はいっ!」
界龍の卒業式では証書授与を高→大の順番で行う。現在は高等部の中ぐらいであろう。どうして高等部からなのかというと、界龍の大学部に行かず、就職を選んだ者が居るからだ。大学部に行く者が殆どで、就職に希望する生徒は高等部の中ではあまり居ない。だから高等部の証書授与はすぐに終わるのだ。
そして界龍の証書授与は教室の名前順とか性別順ではなく、序列順で行われる。高等部なら高等部の最高序列保持者が1番最後なのである。
麗蘭「続いて、大学部卒業生。」
そして卒業していく者の名前が呼ばれ、徐々に序列が上がり、最後には【冒頭の十二人】になった。
麗蘭「序列6位、黎沈華。」
沈華「はい。」
麗蘭「序列5位、黎沈雲。」
沈雲「はい。」
麗蘭「序列4位、趙虎峰。」
虎峰「はい。」
麗蘭「序列3位、セシリー・ウォン。」
セシリー「はい。」
麗蘭「最後に序列1位、比企谷八幡。」
八幡「はい。」
麗蘭「卒業証書、比企谷八幡。貴方は当学院の全課程を卒業した事を証する。六花○○年△月◇日。界龍諜報機関【龍生九子】代表、
「以上を持ちまして、証書授与を終了致します。」
麗蘭は壇上から降壇して、自分の席へとついた。
「続きまして、在校生送辞。在校生代表、茫星露。」
星露「……卒業する者達よ、心から祝福の言葉を送る。妾から伝える事は何も無い。ただ、この学院を去って行く者達の勇姿をこの目に焼き付け、その姿に恥じぬ戦いをする事を誓おう。改めてもう1度言おう。卒業する者達よ、卒業おめでとう。在校生代表、茫星露。」
星露が礼をして壇上から降りた。会場からは拍手が沸き上がり、卒業生の中には涙ぐむ者も数名居た。
「続いて、卒業生答辞。卒業生代表、比企谷八幡。」
八幡が礼をしようとしたその瞬間ーーー
星露「起立っ!」
星露の呼びかけで在校生は椅子から勢いよく立った。
星露「礼!着席!」
その後は揃った綺麗なお辞儀に着席。全員が八幡に顔を向けていた。
八幡「学院に残る皆の者、このような盛大な式を挙げてくれた事を感謝する。俺から言う事は星露と同様で何も無い。今から俺が言う言葉はただの独り言だと思ってほしい。どう捉えるかは皆に任せる。俺がこの界龍第七学院に来るまでの人生は最悪と言っても差し支え無いくらい悪いものだった。元々通っていた高校の1年生の頃にはその最悪な事もあってか、自殺も考えた時期もあった。」
その一言で会場がざわついた。それもそうである。六花で1番強いであろう人が自殺を考えていたと言ったのだ。驚かない方が不思議だった。
八幡「ただの人間から星脈世代に目覚めて、この六花へと足を入れた。そして此処、界龍第七学院に転校した。そこからの人生は今までの不幸を覆す事が出来るくらい幸せなものだった。俺が元々居た千葉では出来なかった友人が出来、引きこもっていた休日には外に出かけるようにもなり、友と雑談をしたり、稽古を積んだり、色々な事をした。今の在校生の殆どは知らないと思うが、俺は過去にこう言った。界龍は俺の居場所であり、家族だと……今でも俺はそう思っている。血縁と同じ、またはそれ以上に固く結ばれた絆が確かにあった。そのおかげもあって、今では生涯愛し続けたいと思える大切な人も出来た。この学院からは色々なものを貰った。俺はこの学院に来て本当に良かった。最高の学院生活を送る事が出来た。それもこれも、目の前に居る在校生、後ろに居る卒業生、そして今はこの場に居ない界龍を卒業していった者達、界龍関係者全てのおかげだと思っている。今日まで俺を慕い、敬い、親しく、愛してくれてありがとう。今日、我等高等部、大学部、合わせて312名は界龍第七学院を卒業する!以上、卒業生代表、比企谷八幡。」
ここで礼をするのだが、八幡は礼をせずにまだ立っていた。
八幡「星露………皆を、家族を頼むぞ。」
星露「っ!!………承知しましたぞ。」
そして八幡は礼をして壇から降りた。そして今度こそ大きな拍手が起きた。
「在校生起立!卒業生退場。」
そして卒業生はレッドカーペットの上を1歩1歩噛み締めて歩きながら去っていった。
八幡(これで俺も、界龍を卒業か……長いようであっという間の学院生活だったな。色々あったけど、本当にあっという間だった。これからは、新しい奴等の時代だな。)
なんか八幡の答辞、イケメンくさいかなぁって思いましたけど、そもそもイケメンだからいっか!って開き直りながら書きました。