学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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卒業式 ②

 

 

八幡side

 

 

これでこの学院ともお別れか……来るきっかけなんて本当に些細なものだったし、友達も作る気なんて無かったが、いつの間にか俺の周りには人が集まって賑やかになっていた。千葉に居た俺とは大違いだな。

 

………もう見る事も無いかもしれないから、借りてた部屋とか見に行くか。

 

 

ーーー序列2位の部屋ーーー

 

 

まだ俺の名前だったんだな。この部屋の前は最上階の最端だったからな。この部屋になった時、どれだけ楽になったか。

 

この部屋になってからは来る奴等も増えてなぁ……術を教えて欲しい奴、武術について教えて欲しい奴、話をしに来る奴、タダ飯を食いに来る奴、色んな奴等が来たもんだ。

 

 

八幡「……今まで世話になったな。彼女が出来てからは殆ど使ってやれなかったが、居心地の良い部屋だった。7年間ありがとな。」

 

 

ーーー校門前ーーー

 

 

「宗師はまだいらっしゃらないのか?」

 

「さぁ……もう殆どの人が出て来たというのに宗師だけ出てこない。一体何をしておられるんだ?」

 

「過去を思い出しながらゆっくりこちらに向かっているんじゃない?宗師にとっては家みたいな場所だもの。」

 

「それもありえるな。」

 

 

………俺が来るのを全員待ってるのか、これ?いや、自意識過剰に思われたくないんだが、なんかそう思わざるを得ない。稽古始まる前とか、俺が来るまでは全員稽古しないで待ってたしな。

 

八幡「………」

 

 

「っ!!宗師がお見えになったぞ!!」

 

『ご卒業おめでとうございます!!』

 

八幡「おう、ありがとう。それと、此処に居る在校生に問いたい。最後の稽古をつけると言ったらどうする?やるかやらないか。」

 

 

まぁ向上心の高いコイツ等なら、答えなんて分かりきってるけどな。

 

 

『ご教授、お願いしますっ!!』

 

 

在校生全員が包拳礼をした。まぁそこまで凝った事はしないんだけどな。

 

 

八幡「稽古っつっても簡単な内容だ。俺を捕まえてみろ。それだけだ。所謂鬼ごっこだ。俺を捕まえた奴には、この羽織をやる。今後の俺が持っていても仕方ない代物だからな。捕まえた奴に献上しよう。」

 

 

〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!

 

 

八幡「んじゃ俺を捕まえてみろ!スタートだ!」

 

 

在校生が一気に八幡の方へと向かって走り出した。

 

 

虎峰「……最後の最後に何をするかと思いきや、鬼ごっこだなんて………」

 

セシリー「でもさーあれも八幡らしくていいじゃーん。あたしはああいうの好きだけどなー。」

 

沈華「遊びを入れた稽古なんて、比企谷はよくやっていましたもの。今に始まった事ではありませんわ。」

 

沈雲「そうだね。どちらかといえばよくしていた方だと言えるね。息抜きしながら稽古をする、なんて意味の分からないような言葉を言いながらやっていたのを思い出すよ。」

 

沙希「アイツらしいね。ホント、総武高とは大違いだよ。楽しそうにしてる。」

 

セシリー「おっ?サキサキも八幡に惚れた?惚れちゃった?」

 

沙希「サキサキ言うな。それと惚れてないから。けーちゃんも居る前でそういう話はやめて。」

 

柚珠奈「大丈夫だって。京華ちゃんはそういう話大好きかもしれないし、興味無いかもしれないから!」

 

沙希「それ、全然大丈夫じゃないから。」

 

京華「さーちゃん、はーちゃんが好きだから全然大丈夫だよ。大好きなお友達って言ってたから。」

 

セシリー「外堀はもう埋められてたかー。これはもう弄れないねー。」

 

沙希「弄られてきた私の身にもなりなよ……」

 

 

ーーー20分後ーーー

 

 

「はぁ……はぁ……くそっ、なんて素早さだ。流石は宗師だ。」

 

「捕まえたと思ったら、間をすり抜けて行く……羽織にさえ触れさせてもらえないなんて。」

 

「本当に追いつける気がしないな、あの方には。」

 

 

………諦めてはいないようだが、もう潮時だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クイクイッ

 

 

八幡「ん?」

 

 

俺が後ろを見ると、川崎の妹のけーちゃんが居た。

 

 

京華「はーちゃん鬼ごっこ終わった?」

 

八幡「………あぁ、たった今捕まっちまった。」

 

京華「?」

 

 

すると校門の方角からは次々と在校生達が疲れた様子で帰ってきた。

 

 

八幡「お前等情けないぞ、中から大の奴等が初等部に負けてどうする。終わりって言おうと思った矢先に捕まっちまったよ。」

 

 

おぉ、全員驚いてるなぁ。まぁ信じられないだろうな。俺を捕まえたのが、序列2位(仮)の初等部なんだからな。大学部にとっては年の半分も来ていない子に負けたんだしな。

 

 

八幡「んじゃ、約束だしな。俺を捕まえたんだからこの羽織はけーちゃんの物だ。」

 

 

俺は羽織を脱いでけーちゃんの肩にかけた。流石に今の年と背を考えると、着るなんて無理だから肩にかけるだけで充分だろう。

 

 

八幡「じゃあお前等、鍛錬に励めよ。」

 

 

………学院を去る前に礼はしてくか。

 

 

八幡は校門で包拳礼をしながら膝を着いた。そこから深々と頭を下げて5秒くらいしてから元に戻り、再び立った。

 

 

八幡「んじゃ、行くか。」

 

虎峰「はい。」

 

セシリー「はーい!」

 

沈華「えぇ。」

 

沈雲「うん。」

 

柚珠奈「はいっ!」

 

 

あっ、ちなみに川崎はけーちゃんの面倒とかもあるから学院に残るそうだ。星露に言ってそれは了承済みたいだ。

 

 

「宗師!!師兄師姉方!!今までありがとうございました!!」

 

 

『ありがとうございましたっ!!!』

 

 

こうして俺たちは界龍第七学院を卒業して、界龍第七学院から去って行った。

 

 

ーーー界龍入り口前ーーー

 

 

八幡「………早かったな。」

 

シルヴィア「そんな事ないよ。八幡君の事だから、在校生と何かしてたんじゃないの?」

 

セシリー「当たりー!鬼ごっこしたんだよー!」

 

シルヴィア「お、鬼ごっこ?」

 

沈華「捕まえたら羽織をプレゼントするって。」

 

シルヴィア「あぁ〜だから羽織が無いんだ。八幡君を捕まえるなんて凄いね。」

 

八幡「あぁ、やられた。まさかあんな奇策で来るとは思わなかった。」

 

虎峰「何を言ってるんですか。単に羽織の裾を掴まれて呆気なく終わったじゃないですか。」

 

八幡「そういうのは言わないでとっておこうぜ……未来ある子供に託したんだからさ。」

 

虎峰「そういう事にしておきましょう。」

 

 

コイツ、いつからこんなに生意気になっちゃったの?

 

 

八幡「……まぁいい。じゃあ帰るか、俺達の家に。」

 

シルヴィア「うん。」

 

 

 





終わりみたいな感じになりましたが、他学園のキャラも出したいので、次で最後にします。
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