学戦都市の“元”ボッチ   作:生焼け肉

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10年後……

ーーーーーー

 

 

「専務、メシに行くって言ってましたけど、此処って外縁居住区ですよ?こんな所に食べるところなんてあるんですか?」

 

「あるんだよ。今から行く所は俺が10年前からお世話になってる人でな。お前も店主と副店主の名前くらいは知ってると思うぞ。何せ超がつくくらいの有名人だからな。」

 

「ホントですか?」

 

「ホントだ。ほれ、あの店だ。」

 

 

社会人2人の前には小洒落たお店があった。黒がメインの外観で看板には【喫茶 ランベリ】と記されていた。

 

 

「ランベリ……聞いたことないですけど、人気なんですか?」

 

「人気はない。むしろ穴場スポットだ。知る人ぞ知る隠れ名店ってヤツだ。入るぞ。」

 

 

カランッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上司が扉を開けて中に入ると、中はクラシックをイメージとした内装で落ち着いたインテリアや雰囲気だった。そしてその雰囲気を台無しにするくらいの美人がいた。

 

 

「いらっしゃいませ。あら、また来てくれたんですか?」

 

「えぇまぁ、今日は後輩を連れて。」

 

「リピーターを増やしてくれるなんて嬉しいです。あっ、申し遅れました。私、副店主の比企谷シルヴィアと言います。よろしくお願いしますね。」

 

「…………………………」

 

「おい、いつまで黙ってるんだよ?」

 

シルヴィア「いいんですよ。初めて来た人はだいたいこんな反応ですからね。」

 

「………っ!!!せ、専務っ!!どういう事ですか!?専務が言ってたのって、シルヴィア・リューネハイムさんの事ですか!?」

 

「あぁ。前にも言ったろ?10年前からずっとお世話になってるって。俺がまだ課長補佐の頃からずっとだ。今でもこの人や店主の比企谷八幡さんに美味い料理を食わしてもらっているからお世話になってる。」

 

シルヴィア「昔は恥ずかしい思いをしながら記事を読んでましたよ。今ではそんな思いをすることはなくなりましたけど、あのランキングはなんとかならないんですか?」

 

「いえいえ、やめるわけにはいきませんよ。永遠の1位はお2人なんですから。」

 

シルヴィア「もう……ふふっ、ご自由な席へどうぞ。」

 

 

2人は窓際の席へと座った。後輩はまだ落ち着かないみたいで辺りを見回していた。

 

因みにシルヴィアが言っていたランキングは《六花のベスト夫婦ランキング!》という名のテレビにも出ているくらいのランキングコーナーで10年前から不動の1位に居座り続けているのだ。

 

 

「こちらお冷です。」

 

「あっ、はい。ありがと……う…ございます?」

 

「なんで疑問形なんだ?」

 

「専務……こんな美人、六花に居ましたっけ?」

 

「お世辞でも嬉しいです。」

 

「いやいや本当に!」

 

「お前は出会って早々に何を口説いているんだ。すみませんが、教えてやってください。」

 

「はい。元レヴォルフ黒学院序列1位、オーフェリア・ランドルーフェンです。」

 

「……………へぇ?」

 

 

暫く固まって、ようやく再起動した。因みに注文は専務さんが決めてくれた。

 

 

「せ、専務!このお店どうなってるんですか!?何で元序列1位が2人もいるんです!?」(ボソボソ)

 

「学生時代から仲が良かったみたいだ。それともう1つ言っておくぞ。この店のスタッフは店主以外全員女性で全員が容姿、実力共に破格レベルだ。無闇に手を出すなよ?その時はお前の頭が飛んでるかもだからな。」

 

「き、肝に命じておきます……あっ、なんか凄い良い匂いが……」

 

「店主が作る料理は絶品だからな。腹が減ってる状態で食うとさらに美味いんだ。」

 

 

ーーー10分後ーーー

 

 

「今日も来てくれてありがとうございます。」

 

「いえいえ、私が来たくてきてるんです!こんな美味しい料理が食べられるのなら、喜んで足を運びますよ。」

 

「それは嬉しいですね。後輩さんですか?」

 

「は、はい!」

 

八幡「なら自己紹介を。店主の比企谷八幡です。元界龍第七学院序列1位でした。よろしくお願いします。」

 

 

(序列1位のフルコースだ。)

 

 

ーーー食後ーーー

 

 

「いやぁ……流石は比企谷さんの作る料理だ。今日もすごく美味しかったです。」

 

八幡「いつも来てくださいますからね。今日は少しだけ量を多くしました。」

 

「そうだったんですか!ありがたいです。では5,000円で。お釣りはいらないです。増量のお礼だと思ってください。」

 

八幡「それだともらい過ぎなくらいなんですが……」

 

「良いんですよ!比企谷さんにならこのくらい安いものですよ。」

 

八幡「……すみません。ありがたく頂戴します。」

 

「はい、また来ますね。」

 

「ご馳走様でした!」

 

3人「ありがとうございました。」

 

 

ーーーーーー

 

八幡side

 

 

この喫茶店、ランベリはそんなに人気のある店ではない。いや、人気がないというよりはあまり人に知られていないというのが正解だ。

 

開業したのが結婚して半年、秋だったので新年に入った春頃に開業した。2人の希望で『0から始めたい。』という理由だったので告知も何もせずにここまでやって来ている。お客の人数も全く悪くない。むしろ良い数になっている。

 

因みにランベリのスタッフはというと……

 

 

店主

比企谷八幡

 

副店主

比企谷シルヴィア

 

ホール

オーフェリア・ランドルーフェン

梅小路冬香

プリシラ・Z・ウルサイス

連城寺柚陽

索冥(擬人化に成功)

パーシヴァル・ガードナー

 

オーフェリアは開業して1日目に雇って欲しいと言ってきた。何処から情報集めたって思ったが、断る理由もないから採用した。

 

冬香は俺についてくるためやむなしといったところだ。ここだけの話、彼女のお腹には子供がいる。勿論、俺との間の子だ。一応言っておくがしてないからな。

 

プリシラは料理が出来るし、接客にも向いてそうだから俺が勧誘した。そして意外にも材木座と結婚した。彼女が言うには『彼の弱くも優しい所に惹かれた。』らしい。

 

連城寺はお店の雰囲気が気に入って、こんな場所で働いてみたいという純粋な思いがあったから採用した。

 

ガードナーも連城寺と同じ理由だ。彼女も接客はできる方だから問題はない。銃さえぶっ放さなければ。

 

 

その1年後と3年後には2人の子が誕生。今では立派に成長して13歳と10歳になっている。男の子と女の子だ。女の子はクインヴェール女学園でシルヴィと同じ。母親を超える実力とアイドルを目指すそうだ。男の子で入学してのは父親と同じ界龍第七学院。今では学問、武術、星仙術、陰陽術共に勉強中だ。

 

 

 

 

 

ここからは界龍の皆がどうしているかを記していこう。

 

 

星露はまだ界龍の大学部に所属している。3代目として弟子たちの教育も欠かしてはいないようだ。彼女は史上初の《王竜星武祭3連覇》を達成した。

 

暁彗は本国へと戻り、武館を開いて弟子たちに武術や星仙術を教えている。弟子が界龍に入学する際には必ず六花に来る。

 

陽乃は5年前に六花テーマパークを開業して六花や外からのお客の集約に励んでいる。シーズン中には沢山のお客が来るが、それ以外の季節にも来る為、結構大忙しだ。

 

セシリーと虎峰は界龍で一緒に教師をしている。虎峰は落星式学(数学)、セシリーは落星工学を担当している。俺の息子も分かりやすいと言っている。

 

沈雲と沈華は界龍専属の特別講師をしている。授業参加はできないが、放課後の稽古では生徒を指導している。特に水派派閥の教えに力を入れている。

 

川崎は保育園の先生になっている。うちの子も小さい時は世話になったんだ。まぁあいつは小さい子を相手するのが得意だからちょうどいい職業だと思う。

 

 

次は界龍以外の奴らを簡単に記そう。

 

 

星導館学園

 

 

戸塚…治療院の先生。

 

海老名…大手編集企業の主任。

 

戸部…煌式武装専門店の店員。

 

雪ノ下…雪ノ下建設の事務局。

 

小町…商業エリアの観光案内所のスタッフ。

 

 

レヴォルフ黒学院

 

 

材木座…煌式武装開発部門の主任。

 

イレーネ…カジノの受付。

 

ころな…レヴォルフの教師(必要あるか?)

 

 

アルルカントアカデミー

 

 

キューネ…煌式武装開発部門の責任者。

 

パレート…煌式武装設計部門の責任者。

 

 

クインヴェール女学園

 

 

ルサールカ…現役続行中。

 

 

聖ガラードワース学園

 

 

フェアクロフさん…家の当主。

 

ブランシャール…当主の代表代理。

 

 

とまぁ、俺が知ってる現状はこんな感じた。葉山についてはシルヴィの引退ライブでの俺の宣言を認めた事で終身刑に決まったみたいだ。それも仮釈放無しの。

 

由比ヶ浜は分からない。あれから一切関わりがないからだ。雪ノ下や小町に聞いても分からなかった。どこで何をしているのやら。

 

 

っと、それよりも今は夕方だ。そろそろ店が混むな。張り切ってやるか。

 

 

ーーー閉店時間ーーー

 

 

八幡「じゃ、今日もお疲れさん。」

 

オーフェリア「お疲れ様。」

 

冬香「お疲れ様です。」

 

 

シルヴィは子供の世話があるから、早めに帰らせている。あの店の責任者は俺とシルヴィだけだから鍵は俺たちしかかけられない。故に俺は遅く帰ることが多いのだ。まぁ偶に俺が早く帰る日もあるけどな。

 

 

ガチャッ

 

 

八幡「ただいまぁ〜。」

 

シルヴィア「お帰りなさい、あなた。今日もお疲れ様。」

 

八幡「あぁ、ただいま。」

 

「お帰り、父さん!」

 

八幡「おぉ奏斗(かなと)、ただいま。」

 

奏斗「父さん、今度はいつ学院に来てくれるの?学院の皆が父さんに稽古をつけてもらいたいって。

 

八幡「はははっ、参ったな。俺は別に特別講師ってわけじゃないんだからな。まぁお店が休みの日には出向いていくか。」

 

シルヴィア「あなた、無理はしないでね?」

 

八幡「あぁ、分かってる。」

 

 

家族団欒で話をした後は奏斗が眠り、俺たちは少しだけ起きて話をする。これが今の楽しみだ。

 

 

シルヴィア「……あぁ〜幸せだなぁ。」

 

八幡「それ何度目だよ。」

 

シルヴィア「だって本当の事なんだもん。良いじゃん♪何回言ったって!」

 

八幡「……そうだな。」

 

 

シルヴィは毎日のように幸せだと言う。実際俺もその通りだと思っている。

 

 

シルヴィア「八幡くん。」

 

八幡「ん?どうした?」

 

シルヴィア「ううん、何でもない。そろそろ寝よっか。」

 

八幡「あぁ、そうだな。」

 

 

ーーー寝室ーーー

 

 

シルヴィア「明日も良い日になるといいね。」

 

八幡「なるに決まってる。シルヴィがいて奏斗がいるんだ。それだけで俺は幸せだ。」

 

シルヴィア「……うん、私も。お休み、八幡。」

 

八幡「あぁ……お休み、シルヴィア。」

 

 

明日の俺。今日よりも幸せな1日を送れるように頼むぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜学戦都市の“元”ボッチ〜『完』




皆様……長きに渡って書きました、【学戦都市の“元”ボッチ】は完結いたしました。

今まで読んで下さった皆様、本当にありがとうございました。皆様のおかげで無事に書き切ることができました。これでこの作品は余程の修正点がない限りは今後動く事はありません。

さて、皆様が気になっている今後の事や次回作の事なのですが、一応考えてはあります。俺ガイルのキャラ路線で行く事は事前に知らせておきます。ただ、原作に沿ってやるかどうかはまだ決めていません。

そこで、皆様にアンケートを取りたいと思っております。
詳しくは活動報告にてお願い致します。

改めまして、今日まで当作品を読んで頂きありがとうございます。
次の作品でお会いしましょ

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