星露side
星露「本日の見学はこれで以上じゃ。皆ご苦労じゃったな。これを期にこの学院に入ってくれる事を祈っておるぞ。」
この学校には鍛錬以外で見せるものなど何もないからのう。これくらいで充分じゃ。
それにしても、あの川崎とかいう
星露「……虎峰、先の青髪の女子、妾はあの者なら八幡の事を話してもよいと見たがお主はどうじゃ?」
虎峰「僕も同意です。彼女の声からは迷いが無かったですからね。その辺は八幡からも教わりましたから。」
星露「ほう?何をじゃ?」
虎峰「人間、何かを隠す時には決まって何かの仕草をするそうです。簡単に言えば、身体を左右に動かしたりなど……」
星露「なるほどのう。八幡はそういうやり方か。妾は勘じゃからのう。八幡の方が余程凄いと思うぞ。良い師を持ったのではないか虎峰よ?」
虎峰「は、八幡が僕の師なんですか!?僕の師は師父以外に居りません!」
星露「冗談の通じぬ奴よのう。ほれ、早よ行くぞ。早くせんとあの青髪が帰ってしまうではないか。」
虎峰「は、はいっ!」
八幡には連絡しておくとするか。『川崎沙希は白じゃ。』これでいいじゃろ。
星露sideout
沙希side
ーーー界龍校門前ーーー
沙希「此処には居なかったか……戸塚や材木座たちの方はどうかな?」
もしかしたら本当にここには居ないとか?だとしたら本当に無駄足になる。でも、あのマークは六花のものだったし。
虎峰「お待ち頂けますか、川崎沙希様!」
ん?さっきの女の子?
虎峰「申し訳ございませんが、今1度戻っては貰えませんでしょうか?師父の方からお話があるようでして。」
……師父って会長の事?まぁ行ってみれば分かるしいいか。
沙希「……分かりました。」
虎峰「では、案内致します。こちらです。」
ーーー応接室ーーー
虎峰「師父、連れて参りました。」
沙希「………失礼します。」
星露「おぉ、重ね重ね済まぬのう。ちょいとお主に話したいことがあってのう。」
沙希「は、はぁ……」
星露「じゃが、その前に1つ聞きたい。お主は人探しと言っておったが、お主の学校とやらから来た者は全員そうなのかえ?」
沙希「……全員ではないですけど、殆どがそうです。中学生の比企谷小町を合わせて9人、その中で6人がさっき言った人物を探してます。後の3人は分かりません。」
星露「苗字だけでも教えてはくれんかのう?嫌じゃったらよいのじゃが……」
この人……なんか凄く警戒してるような感じだけど、何で?でも、頼りになりそうだし知ってることは全部教えておくか。
沙希「この際ですから、こっちの現状を全部言います。どうですか?」
星露「おぉ!それは助かるえ!」
そしてあたしは六花に来てる総武高の事について出来るだけ細かく説明した。すると会長さんは満足したかのように頷いた。
星露「そうか……もうその3人はお主から見ても危険と見えるのじゃな?」
沙希「はい。あたしと戸塚、材木座はあくまでも、比企谷との和解のために此処に来ました。少しの可能性に賭けて。」
星露「健気じゃのう。うむ。お主の心情はよく分かった!それで妾が今から言うことじゃが、この話は戸塚と材木座以外には絶対に話してはならぬぞ。話すにしても辺りを必ず警戒するのじゃ。よいな?」
沙希「っ!……は、はい。」
何これ?すごい威圧。
星露「お主の言う比企谷八幡じゃが、確かにこの界龍第七学院に在籍しておる。」
え?比企谷が……ここに居る?
星露「無論、正体を隠してじゃ。本名ではあるが、まだ正式な発表はしておらん。なぜか分かるかえ?」
沙希「…っ!情報を漏らさないため……ですか?」
星露「その通りじゃ。まぁ結果は意味がなかったがのう。八幡はもう縁を切ったと言っておったが彼奴の事じゃ、誠意を見せれば許してくれると思うがのう?その3人以外ならばの話じゃが。」
沙希「……はい、此処に入学してからそうする事にします。」
星露「ほう?此処に入る事は決めてたのかえ?随分殊勝な事じゃのう。」
沙希「比企谷が此処に居ると分かったなら、もう此処に入る事は決定事項みたいなものです。教えてくれてありがとうございました。あたしの高校の奴らには上手く言っておきます。」
星露「うむ、くれぐれも用心するのじゃぞ?敵の目を欺くにはまず包囲を崩す事じゃ。見られているのは、目前の人間だけではないからの?」
沙希「はい。」
この会長さん………凄く良い人だ。
星露「こうして見ると、何だか密偵のようで面白いのう!」
………そしてやっぱりまだ子供だ。
沙希「では、失礼しました。」
星露「付き合わせて悪かったのう。」
よしっ!戸塚や材木座には良い報告が出来る!ホテルに戻ったら慎重に行動しないとね!万が一聞かれたらマズイからね。
沙希sideout
星露side
虎峰「……よかったのでしょうか?本当に話しても……」
星露「彼奴は信頼出来ると見た。妾の目を侮るでないぞ?」
八幡『静観してみりゃ、言いたい放題言ってくれたな。星露。』
応接室のソファの影から八幡がスーッと出てきた。これも影の能力の一部だろう。
虎峰「は、八幡!?」
星露「ほほう、そんな事も出来るのかえ?お主の能力は本当に多彩じゃのう。心配するな。彼奴は信頼出来る、保証するぞ。」
八幡「だといいがな。」
此奴……やはり心配のようじゃの。
虎峰「やはり心配ですか?八幡?」
星露「案ずるな。奴は一見口が堅そうにも見えた。大丈夫じゃ。」
八幡「随分肩を持つな?」
星露「話をしておればそれなりに相手の人となりは分かってくるものじゃ。それとも何か?柄にも無く見張りにでもつくつもりかの?」
八幡「……虎峰、今日は青椒肉絲1人前しか作れねぇから食ってくれるか?」
虎峰「え?は、はい。構いませんが………」
な、何!?青椒肉絲じゃと!!?
星露「は、八幡!?妾には無いのか!?」
八幡「人をからかうような奴に作る飯なんてねぇよ。食堂の飯でも食っとけ。」
星露「い、嫌じゃ〜!妾も青椒肉絲を食べたいのじゃ〜!八幡頼むのじゃ!もうお主をからかったりせんから妾にも作って欲しいのじゃ〜!」
それから10分も八幡の足にしがみつき、やっとの事で許してもらえた。門弟からして見れば、その光景は驚愕ものであった。
P.S.一応星露は青椒肉絲を食べられました。
威厳の“い”の字も無かったですね。