シルヴィアside
シルヴィア「……ん……んん?あっ!元の世界に戻ってる。」
それに、朝の6時っていうのは本当みたい。でもまだ外も若干暗いし、八幡くんもまだ寝てるからもう少しだけ………
八幡「……ん……んんぅ……おぉ早いな、もう起きてたのか。」
うん、やっぱり起きてよう!
シルヴィア「おはよう八幡くん。」
八幡「おう。それにしてもまだ6時だぞ?眠れなかっ………いや、愚問だったな。」
シルヴィア「え?なんで?」
八幡「索冥に会ったんだろ?彼奴はこういうところ気がきくからな。初めて会った時もちょうどいい時間に起こしてくれたからな。目覚めも良くなる。」
へぇ〜そうなんだ。あっ、そういえば………
シルヴィア「ねぇ八幡くん。どうして私に索冥を?私じゃ勝てないから?」
八幡「いやそうじゃない。強いて言うなら、放っておけないからだな。」
シルヴィア「………え?それだけ?」
八幡「あぁ、それだけだ。」
……………
シルヴィア「……ぷっ!あっははは!何それ?可笑しいよ〜八幡くんっ!」
八幡「……悪かったな。」
シルヴィア「ううん!ありがとう、心配してくれて。」
こんな風にされて嬉しくない訳ないよ。こうやって抱き締められてるだけでも、こんなに幸せなんだから。
八幡「………7時になったら、俺は朝飯の準備をする。米とパン、どっちがいい?」
シルヴィア「普段はパンだけど、今日みたいに動く日は極力ご飯にしてるんだ。その方が身体が動くからね。」
八幡「なら日本食にするか。シルヴィは食ったことあるか?」
シルヴィア「食べた事はあんまりないけど、朝はご飯とお味噌汁、卵焼きに焼き鮭なんだよね?それとも違った?」
八幡「……まぁ間違ってはいないが……やけに詳しいな。」
シルヴィア「これでも世界中を飛び回ってますからっ!えっへん!」
八幡「なるほどな。それじゃそれまではゆっくりするか。」
シルヴィア「ならさ、その間このままでいてくれないかな?この方が落ち着くし、なんか居心地いいから。」
八幡「お、おぉ、分かった。」
ふふっ、八幡くんってば変なのっ!
それから1時間経ち、八幡くんは朝ご飯を作りにキッチンへ行った。私も手伝おうと思ったんだけど、きっと八幡くんはゆっくりしてろって言うだろうから大人しく待ってる事にしました。
八幡「なぁシルヴィ?聞いていいか?」
シルヴィア「ん?なーに?」
八幡「なんで俺の料理作業をそんな食い入るように見てるんだ?特に参考になるようなモンはないと思うが……」
シルヴィア「うん、それでね私思ったんだ。なんで八幡くんってあんなに美味しく料理が作れるのかな〜って。」
八幡「それでガン見してるってワケか。」
シルヴィア「気が散っちゃうかな?それならあっちで待ってるけど。」
八幡「いや、平気だ。気が済むまで見てればいい。大したモンはないがな。」
じゃあそうしようかな。
ーーー数十分後ーーー
八幡「さて、出来たぞ。」
シルヴィア「やっぱり八幡くんが作ると美味しそうだなぁ。でも、少しプライドが傷つくなぁ。こんなに料理が上手くて美味しいのが作れるって。」
八幡「まぁ誰かに美味いって言われたいから作るってのもあるな。自己満足で作ってる訳じゃないからな。」
シルヴィア「その前向きな姿勢……1ヶ月前まではあり得なかったね。」
八幡「………そうだな。」
言い方は悪いけど、あの時の八幡くんはまだ瞳が濁ってたからね。でも、あの時から変わっていったんだよね。
シルヴィア「じゃあ食べよっか。」
八幡「ん、そうだな。」
2人同時に手を合わせて
2人「いただきま『pipipi…pipipi…』……」
八幡「誰だ?こんな時に……」
八幡くんがウィンドウを開くと、
星露『おぉ、起きとったか八幡。今日のことについて話しに来たぞ。』
陽乃『おはよっ、八幡くんっ!入れてもらってもいいかな?』
星露と序列4位の【
八幡「あー……別に入ってもいいですけど、朝飯はないですからね?昨日と今のでもう食材切らしてるんで。」
え!?八幡くん!?今此処に私が居るんだけど!?
星露『なぬ!?そうなのか!?むぅ〜残念じゃ。またの機会にしよう。』
陽乃『まぁ今回はその為に来たわけじゃないから安心してよ。』
八幡「ならいいですけど……あと、部屋に入って来たとしても絶対に騒がないでくださいね?お願いしますよ?」
……もしかして分かっててやってるのかな?八幡くんって偶にタチ悪い時あるよ?
星露『何じゃそれだけかえ?』
陽乃『こんな朝からなんて私でもしないよ。いいから開けてよ〜。』
八幡「はいはい……じゃあどうぞ。」
すると八幡くんはドアのロックを解除して2人を中に入れた。
星露「なんなのじゃ八幡?入っても騒ぐな………とは………」
陽乃「私もう大学生だよ?幾ら何でもその歳になってうるさく……なん………て……」
シルヴィア「あ、あの……おはようございます。それと……お邪魔してます。」
とても奇妙な朝のご挨拶だった。
シルヴィアsideout
八幡side
陽乃「八幡くん?なんで【
星露「そうじゃのう?少し妾にも説明して欲しいのじゃが?昨日来るとは聞いとったが、歌姫殿は『泊まる』とは一言も言っておらんかったが?」
やっぱこうなったか。まぁこの2人の対処なんて簡単だがな。
八幡「別にいいじゃねぇか。なんか悪いことでもあんのか?」
星露「ほう?妾に口答えするか?」
陽乃「ちょっと正座してもらおうかな?」
八幡「別にいいですけど、星露には青椒肉絲作ってやんねぇが、いいか?陽乃さんには週3の紅茶とクッキーもう用意しませんけど、いいですか?」
星露「妾はそんな些細な事は気にせんぞ!歌姫殿、ゆっくりしていくと良い。」
陽乃「八幡くんの部屋に誰かいるのは当然だよねぇ〜!あっ!シルヴィアちゃん!ご飯はゆっくり食べてていいよっ!」
シルヴィア「は、はい……(八幡くん……既に2人を餌づけしちゃってるんだ。)」
チョロいな。
八幡「それはいいとして……星露、今日の事だよな?それならシルヴィの控え室に行ってそこで観戦する予定になってるが?」
星露「うむ、その通りじゃ。八幡、お主は歌姫殿と共にドームに入ってもらうが、影の中に入っていくのじゃ。その方が一番安全じゃろう。」
八幡「元からそのつもりだ。変装は無理があるし、そのままは論外だ。」
星露「分かっておるようで何よりじゃ。陽乃も界龍のVIPルームで彼奴らを監視させることにした。ちょうど正面じゃからのう。見張りやすくてよいじゃろう?」
陽乃「何か怪しい動きがあったらすぐに知らせるね。だから心配しなくていいよ。」
八幡「ありがとうございます。」
シルヴィア(対策が早いなぁ。それにこの入念さ。余程八幡くんが大切なんだろうね……違う意味でも。)
八幡「シルヴィ、ちょっといいか?」
シルヴィア「ん?」
八幡「あの2人に昨日のタルトやってもいいか?このまま帰すってのもあれだからな、お前さえよければなんだが……」
この2人には特に迷惑掛けてるからな。こんくらいじゃ足りないが、せめて今はこれだけでもしてやれるといいんだが。
シルヴィア「いいよ。星露はともかく【魔将天閣】が協力してるなんて思ってなかったけどね。それくらい私はいいよ。」
八幡「すまんな。」
星露「お主ら、何を2人でコソコソしておるのじゃ?」
八幡「いや、別になんでもねぇよ。」
八幡「それよりも、昨日作ったタルトがあるんだが、2人共食べるか?シルヴィから許可が出ているから、1切れならやるぞ。」
陽乃「じゃあ頂こうかな。」
星露「たると?聞かぬなぁ。気になるぞ!妾も食べたいぞっ!」
………陽乃さんはともかく、星露はもうちょい落ち着け。食いもんは逃げねぇよ。
だからチビって呼ばれんだぞ?