覇竜決戦最終回です。
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シルヴィアは立ち上がったが足はガクガクに震えていて、銃型煌式武装を杖にして身体を支えている状態だった。剣型煌式武装は何処かへ飛ばされてしまい、手元には無い。
しかも身体は毒に侵されており、地面もまだ毒でいっぱいだった。既に息も上がっており、視界もボヤけていた。
シルヴィア「はぁ……はぁ……」
シルヴィア(どうしよう……もう何分も持たない。一気に決めなきゃやられちゃう。でも、私には一撃必殺の攻撃なんて持ってないし………どの道八方塞がりなのは変わらない。考える事は出来ても身体が追いつけないし……………
どうすれば………)
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八幡side
八幡「………」
祢々『ハッチ……大丈夫?凄く辛そうな念を感じるよ?』
八幡「………」
………どうすればいい?今すぐシルヴィを助けたくて仕方ない。この映像を見てるだけの俺が無力に感じて仕方ない。
ドガッ!!
八幡「?」
いつの間にか、無意識にテーブルを殴って壊してしまった。俺は今……それ程感情が昂ぶってるのか?だが、俺には何も出来ない。
祢々『ハッチ、応援してあげたら?』
八幡「………何?」
祢々『だってさっきから食いつくように見てるだけで、声掛けなんて1回もしてないんだもん。君の声なら通じると僕は思うんだけどなぁ。』
八幡「………またこの前の雷みたく、なんとなくで言ってんじゃねぇだろうな?」
祢々『ううん、確信だよ。これは100%そう言えるね。もし間違っているっていうなら僕の事を壊してくれたっていい。』
八幡「………」
正直分からん。言ってる事は嘘に感じられないが、本当にそれだけでシルヴィが強くなれるとは思えない。
シルヴィア(力を………………貸してね……………八幡くん。)
八幡「っ!!!」
………なんだ?今のは?幻聴か?………いや違う。シルヴィだ……絶対にシルヴィだ。
祢々『今何か感じたんだね?』
八幡「………あぁ。シルヴィの………シルヴィの声が聞こえた。力を貸してくれって。」
祢々『貸してあげなよ。ハッチ(大好きな人)からの声援はどんな障害にも勝る強さに繋がるんだから!言ってあげなよ!頑張れって!』
八幡「俺はそんなストレートには言えないが、あいつの声を聞いたからには、インチキ妖刀の声にも傾けねぇとな。」
八幡(シルヴィ、辛いとは思う。だが、俺の声だけでよければいくらでも貸してやる。だから………頑張ってくれ!)
八幡sideout
シルヴィアside
シルヴィア「っ!!」
………今、八幡くんの声が………
何でだろう。こんな状況下なのに勝てる気がしてきた。なんか身体も急に軽くなった気がする。
………うん、やろう。
まだ試作段階の技だけど、今なら出来る気がする。八幡くんの声も乗ってるから!
シルヴィアsideout
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シルヴィア「
銃口を下向きにすると、何処からともなく曲が流れ出して、シルヴィアの周りを五線譜が包んでいた。
そして、毒が消え失せていってるのだ。身体や床の毒がみるみる溶けるようになくなっていた。毒が残っているとすれば、オーフェリアの周りだけだった。
オーフェリア(私の死の国が……消されている?どういう事?)
シルヴィア「貴方と出会った日 何かを感じた 今までにはない 胸のときめき♪〜♪〜」
シルヴィア「君に触れた手は 今もまだ熱い 叶うのであれば ずっと握っていたい♪〜」
シルヴィアは歌っているだけで何もしていないが、オーフェリアは手出しをしていなかった。いや、出来ないのだ。
今も毒の手で攻撃はしているが、いくつもの五線譜がシルヴィアを守っているかのように攻撃を受け止めて、毒を浄化していた。
オーフェリア「っ!」
オーフェリア(………【戦律の魔女】まで攻撃が届かない。さっきまでは私が有利だったはず……なのにあの五線譜は何?)
オーフェリアにも焦りの顔が出てきた。今までにない表情だった。
シルヴィア「What should I do now? 貴方はいつも澄ました顔で 私がこんなに悩んでいるのに♪〜♪〜」
五線譜が広がり、シルヴィアの元を離れて今だとばかりに攻撃を仕掛けだが、またも新しい五線譜が出てきて攻撃を防ぐ。
オーフェリア「くっ……」
シルヴィア(索冥!お願いっ!この歌の攻撃範囲を最大まで伸ばしてっ!)
索冥(承りました。シルヴィア様。)
すると、五線譜がまた拡大した。さっきまでとは比べ物にならない量と範囲で。空間全域をシルヴィアの星辰力と五線譜で包み込んでいた。こうなってしまっては、オーフェリアも毒が出せなかった。
オーフェリア「っ!……毒がっ!」
シルヴィア「I love youって伝えたいのに 声が出ないの♪〜♪〜♪〜」
シルヴィア「この想いだけが 空回りしているの 君のせいだからね♪〜♪〜♪〜」
サビが始まった瞬間に五線譜が攻撃を開始した。五線譜は攻撃の手を緩めなかった。まるで攻撃の隙さえ与えないかのように連続で攻めていた。
オーフェリアは魔法は使えなくなり、煌式武装で対応していたが、攻撃は消滅せずに逸れていくだけで数が増えていく一方だった。オーフェリアが不利となっていて、完全に形成逆転だった。
オーフェリア(……魔法を使おうにも星辰力が練れない。連続攻撃がここまで厄介だなんて。しかも数が増えてる。)
シルヴィア「今君に伝えたいよ♪〜♪〜」
シルヴィア「I love you forever♪〜」
シルヴィアが歌い終わった瞬間、五線譜がオーフェリア目掛けて全方位から一気に襲う。オーフェリアも防御姿勢に入っていたが、全てを防げるわけでもなく攻撃を食らうかと思ったら、五線譜が身体を貫通しただけで痛みは無かった。
だが………
『校章破壊』
オーフェリア「っ!!」
『End of duel』
校章が6当分に切れていた。
梁瀬『………』
チャム『………』
会場全体が静寂に包まれていた。おそらく誰も予想していなかったのだろう。史上最強の魔女、オーフェリア・ランドルーフェンが負けるとは。
梁瀬『し、し、し、試合終了〜〜!!!!ついに決着!!!!この激闘の中戦いを制したのは、大大大大逆転した、クインヴェール女学園シルヴィア・リューネハイム選手〜〜〜!!!!」
紙吹雪と共に観客からは大歓声が響き渡った。とてつもない激音だった。
シルヴィア「………」
シルヴィア(勝ったんだ……私……勝てたんだ………)
オーフェリア「………【戦律の魔女】。」
シルヴィア「あっ……【孤毒の魔女】。」
オーフェリア「………私の負けよ。最後の技、お見事だったわ。」
シルヴィア「あ、ありがとう。(彼女に褒められるってなんか変な気分だなぁ。)」
オーフェリア「………でも、次は負けないわ。今度は私が貴女を倒すわ。」
オーフェリアがそう言うと、ステージから去っていった。
シルヴィア「……勝ったんだ。私……本当に勝ったんだ。」
索冥(えぇ、八幡様も大変お喜びでしょう。本当におめでとうございます。)
シルヴィア(索冥もありがとう。)
梁瀬『この10日間に渡る熾烈な戦いを制したのはクインヴェール女学園のシルヴィア・リューネハイム選手ですっ!!』
シルヴィア(早く八幡くんに会いに行かないと!もう嬉しさが爆発だよっ!!)
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八幡side
八幡「……………」
祢々『……ハッチ。』
八幡「………あぁ、そうだったんだな。」
祢々『え?何が?どうしたの?』
俺のモヤモヤはこれだったのか。
八幡「いや、心のつっかえが取れただけだ。今はすげぇスッキリしてる。」
祢々『………そっか。』
こういう事なんだな。
相手に恋をする、好きになるってのは。
早くシルヴィに会いてえなぁ。
ついに決着!!
八幡もようやく自覚する!!
この後が楽しみになってきました!!
※自分で作った曲なら問題ないですよね?