では、どうぞ!
シルヴィアside
八幡くんに誘われて、今日も八幡くんの部屋に泊まることになった。私としても断る理由もないからいいんだけどね。
食事も終わって今私はお風呂に浸かっている。なんか今日はいつも以上に八幡くんが優しい気がする。
シルヴィア「ふぅ〜、いいお湯だなぁ。疲れた身体に染みるよ〜。」
それにしても、なんで八幡くん急に泊まってもいいなんて言ったんだろう?普段ならあんな事絶対自分から言わないのに。
シルヴィア「ん〜、分からないなぁ。でも、何かを隠してるような素振りも無かったし、本当に私の疲れを癒したいだけなのかもね。それくらいなら素直に言うと思うけど、どうなんだろう?」
………………
シルヴィア「んー考えてもダメだなぁ。それよりも、今日はチャンスだよ!八幡くんに好きだって言わなきゃ!」
そして私は覚悟を決めてお風呂から上がった。よしっ!頑張れ私っ!!
シルヴィア「八幡くん、お風呂空いたよ。お次どうぞ。」
八幡「ん?あぁ、ありがとな。」
もしかしてずっと椅子に座りながら考え事してたのかな?だとしたら、30分もジッと動かないままでいたって事?
八幡「じゃ、入ってくるわ。シルヴィはゆっくりしてていいぞ。」
シルヴィア「う、うん。」
な、なんか緊張するなぁ。
ダメダメ!こんな事じゃ告白なんて出来ないよ!気をしっかり持たなきゃ!優勝したら告白するって決めてたんだから!1回しかない初告白は成功させなきゃ!!
シルヴィアsideout
八幡side
八幡「……………」
やっぱ顔が見れないな。意識すると、こうも感情を制御出来ないものなんだな。
八幡「けど、これが本気で『好きになる。』って事なんだな。中学の時とはまるで違う。マジで心臓の鼓動がデカくなってる。」
いつから惚れていたんだろうな?やっぱり信じたいって言われた時か?あの時から俺の目や人生が変わったって言っても過言じゃないからな。あの時からかもな。
2ヶ月って短い期間だが、彼奴は俺の事を裏切ろうなんて言動や態度、行動なんて全くしなかった。むしろ俺を助けてくれた。
………シルヴィなら、俺は信じられる。シルヴィなら、全てを預けられる。
俺はそんな気がする。
八幡「………どう思う、索冥?俺はシルヴィと釣り合うと思うか?」
索冥『釣り合いなど問題ではありません、八幡様。問題はその者と、共に生きていけるかです。中途半端な気持ちや覚悟などでは相手も自身も幸せになどなれません。相手を信じ、共に愛し合う事で結ばれるのです。』
八幡「……そうか。」
索冥『八幡様なら大丈夫です。シルヴィア様ならきっと受け止めて下さいます。』
八幡「別に受け止めてくれなくてもいいさ。俺の気持ちを知ってくれればそれでいい。シルヴィにも、好きな奴がいるかもしれないしな。」
気持ちを伝える分にはいいよな。
そして俺は、風呂から上がった。
ーーー2時間後、リビングーーー
俺とシルヴィはココアを飲みながら、何も話さずに過ごしていた。この後告白するのに、ムードを上げたくないからな。
こいつを飲み干したら、告白だ。
ーーー5分後ーーー
俺は飲み終わったが、シルヴィはどうだ?
八幡「シルヴィ、あんま美味しくなかったか?なら無理して飲まなくてもいいぞ?」
シルヴィア「う、ううん平気!美味しいよ!すっごく!」
八幡「……ならいいんだが。」
シルヴィア「……ふぅ、あったまった。ありがとう八幡くん。」
八幡「気にするな。さて、そろそろ寝「八幡くんっ!」……なんだ?」
シルヴィア「……ちょっと話があるんだ。寝る前に聞いてくれないかな?」
八幡「………分かった。寝室に行くか?その方が落ち着いて話せると思うが……」
シルヴィア「うん………お願い。」
ーーー寝室ーーー
八幡「……………」
シルヴィア「……………」
………………………
シルヴィア「……私、八幡くんが好き。」
八幡「………え?」
シルヴィア「一目惚れだったのかな。私ね、八幡くんと最初に会った日からずっと、八幡くんの事を考えなかった日が1日も無いくらい。確信したのは、1ヶ月前のデートの時に最後にお互いの事を話し合って、学園で別れた時に気付いたの。それから段々気持ちが大きくなって、ずっと八幡くんの側にいれたらって思うようにもなった。八幡くんから話しかけられた時も、心配された時も、頭を撫でられた時も、抱き締められた時も、全部嬉しかったし、幸せだった。だから…………比企谷八幡くん
私と………付き合ってください。」
シルヴィ………そうだったのか。俺はなんて大バカ野郎だ。2ヶ月も前から気持ちに気付かずに過ごしてきたのか。
八幡「ありがとな、シルヴィ。今度は俺の気持ちを聞いてくれないか?」
シルヴィア「え?」
八幡sideout
シルヴィアside
八幡「お前も知ってるとは思うが、俺は今までの人生碌な事が無かった。それこそ、本当にこの先幸せなんてモンがある訳ないなんて考えるようになるまでな。中学では告白の暴露、高校では文化祭での罪被り、修学旅行の嘘告白、俺はもう幸せなんて信じてなかった。」
八幡「でも、此処に来て変わった。界龍が新しい居場所になってくれた。俺に今まで出来なかった友達も六花に来てから大勢出来た。この16年間が嘘みたいに華やかになった。俺は初めて手放したくないと思えた。今は治ったが、前の俺の目を見ても顔色1つ変えずに付き合ってくれる仲間も出来たし、俺の事を慕ってくれる人達も出来て、何よりも、俺なんかと一緒に笑ってくれる奴らが一緒に居る。」
シルヴィア「………………」
八幡「俺、
八幡「でも、俺の心を1番激しく動かしてくれた存在は………シルヴィだった。」
シルヴィア「っ!」
八幡「最初の印象はただの可愛い女の子ってだけだった。そっからは別に何も変わらなかったが、確か2回目のデートだったか?最後に言ってくれた一言を、俺は今でも鮮明に覚えてる。信じたい……お前はそう言ってくれた。」
八幡「俺にとってあの言葉は凄え心に響いた。俺の中にある何かを壊してくれた。だから俺の目は治ったんだと思う。俺はお前のおかげで此処に居たいって思えるようになった。」
シルヴィア「………」
八幡「けど、そん時の俺はまだ、ライブやホテル、昨日の泊まりだって俺にはなんでこんな事俺に頼るのかって思うくらいだった。正直俺よりも適任者がいるだろって思っていた。俺はまだシルヴィの事がよく分かってなかった。」
八幡「でも、今日の《王竜星武祭》で気付いた。お前が傷ついている時、俺無性に自分に腹が立ったんだ。何も出来ない自分に腹が立って仕方なかった。1対1だから仕方ないとは理解していたが、それでも自分が情けなかった。そして、お前の声を聞いた時や歌を聴いた時にやっと気付いた。
俺はお前が好きだ。」
シルヴィア「っ!!」
八幡「この気持ちは嘘でもなければ、お前の阿呆面を楽しむために考えた言葉でも無い。俺の本心だ。何度も自分に問いかけてみた、けど答えは変わらなかった。俺はシルヴィが好きだ。大好きだ。」
シルヴィア「………」
八幡「俺はシルヴィの為なら何でも出来る。何でもしてやる。この気待ちに嘘偽りなんて無い!神にだって誓ってやる!だから言わせてくれ……」
八幡「俺は……シルヴィア・リューネハイムを愛する事を誓う。だから………俺と付き合ってくれ。」
………………………ずるい。
シルヴィア「ずるいよ………大好きな人からそんな事言われたら、断れる訳ないよ。」
八幡「………じゃあ!」
シルヴィア「不束者ですが、よろしくお願いします!」
八幡「………シルヴィ。」
今日は凄い日だよ。1日に3つもお願いが叶っちゃったんだから。
オーフェリアさんに勝って《王竜星武祭》に優勝する事。
八幡くんに告白する事。
八幡くんと恋仲になる事。
シルヴィア「今日は本当に良い日だよ。私、今までで一番幸せな日だよ。」
八幡「俺もだ。最高な日だ。」
シルヴィア「やっと……叶ったよ。八幡くんと恋人同士になるって夢が。」
八幡「長い間待たせちまって悪かったな。これからはどんどん甘えてくれ。」
シルヴィア「……じゃあ、早速欲しいものがあるんだけど、いい?」
八幡「あぁ、言ってみろ。」
シルヴィア「………キスがしたいの。」
八幡「……奇遇だな、俺もしたかったところだ。俺からも頼む。」
シルヴィア「……うん。」
あぁ……八幡くんの顔が段々近づいて……やっと出来るんだ。好きな人とのキスが。
そして………
チュッ
シルヴィア「んっ………」
八幡の唇がシルヴィアの唇に重なり、夜に浮かぶ2人の影が1つになった瞬間だった。
八幡「………はぁっ。」
シルヴィア「………んっ。」
八幡「大好きだ、シルヴィ。」
シルヴィア「私も大好きだよ、八幡くん。」
そして2人は恋人になった。
竜覇凱旋編 完
如何でしたか?
やっと結ばれました。良かった良かった。
次は閑話に入ります。