ーーー崩れた校舎、燃える学生寮。神聖な学舎は、いまや戦場と化していた。
その上空で交差する二つの影。
一つは白い鎧を纏った、黒髪の少年。全身傷だらけで、その目には悲しみの色があった。
「三春…どうして!どうしてこんな事を!」
少年がもう一つの影に叫ぶ。
「『どうして』だって?…何を今更。『それ』ができてから、この世界は狂ってしまった。そんな事は此処で暮らしてた兄さんが一番わかっているだろう?」
そう返す、もう一つの影。その姿は、まるで黒い装甲を纏った恐竜だった。
「っ!…それでも、こんな事をしていいはずがない!今すぐ止めさせろ!」
「兄さん、何か勘違いしてないか?彼らは僕の命令に従っている訳じゃない。彼ら自身が望んで戦っているんだ。僕はそれを手助けしたに過ぎない。今更僕が何を言おうが止まらないよ。」
「三春っ!」
「ぐっ!?」
白い鎧の少年が、恐竜の頭を斬りつける。それにより頭部の装甲が破壊され、その中身が露わになった。
ーーーその髪の毛は真っ白で、顔立ちも姉や兄には似ていないけれど。頑固なところは皆そっくりで。
「なんで…こうなっちゃったんだろうな。俺達…兄弟なのに。」
家族のためなら自分がどうなろうと構わない程の兄弟愛も、全員同じだと。
その瞳から流れ落ちる雫が物語っていた。
*****
ーーー此処はどこだろう?
確か僕は死んだはずなのに、気が付くと此処にいた。
何も見えない、真っ暗な世界。だけど何だかとても暖かくて、怖くはない。
ふと、手が何かに触れる。どうやらこれも手のようだ。けれど僕のじゃない。だとするとこれは誰か他の人のものだろう。
誰かの手を握る。特に理由は無いけど、何となくそうしたくなった。
誰かが握り返してくる。それを頼もしく感じたのはなんでだろう。
暫くそうしていたら、ふいに誰かが離れて行く。
ーーー待って。行かないで。置いていかないで。
誰かの後を追うように、身体が運ばれていく。そしてーーー
突然、暖かい世界を追い出された。外のあまりの寒さと驚愕で思わず泣いてしまう。
周りでは何か話す声が聞こえたけれど、上手く聞き取れない。自分が泣いているんだから当然だとは思っても、感情が泣き止むのを許してくれなかった。
ーーーふいに抱きしめられる。すると不思議と落ち着いて、少しだけ泣くのを止められる。
ーーーふと、手に何か触れる。迷わずにそれを握った。間違いない。これはあの誰かの手だ。『もう大丈夫』そう言われている気がして、思わず顔が綻んだ。
これが僕の産まれた日の記憶。
駄文ですが読んで頂けたら幸いですm(_ _)m