めたるぎあ IS   作:プレゼントすこってぃ君

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遅くなってすみませんでした


あくとすりー 邂逅とご挨拶

 一時間目終了後の休み時間

 

 

「あー.......」

 

 一夏は一人悩んでいた。  無理もない。学園全体が女子で成り立っている。そんな女性であふれ返っている中に男子一人放り込まれてみろ。相当心にクるものがある。ISを動かせるのは女性だけ。今の世の中は女尊男卑の思想が中心的だ。

 そのご時世にIS学園入学、距離感がカンストしていた。この異様な空間に一夏はおしつぶされそうになっていた。

(参った。これはマズイ。今すぐ実家に帰りたい。)

 

「………」

 

 一夏は人見知りはせず、他人ともすぐ仲良くなれる性格だが 教室全体が話しかけにくい空気と緊張感で満ちておりこちらからも向こうからも話しかけるのが困難だった。

 話しかけたくても環境がそれを阻む。奇しくもそれを作り出しているのが人類の無限の叡智でもあるISだった。人類の大きな発展となる技術が人間の性との間に大きな壁を作っていた。

 それを打破するかもしれない一筋の光、織斑一夏。壁を壊すのは彼の手にかかっているといっても、過言ではない。

 

 横目で隣にいる女子に目をやると、あわてて目をそらしてきた。『話しかけないで!」

 

(あのー 途中から声に出てますよ)

 

 肩を落とす孤独な男。一筋の光とも考えられる青年は目も当てられないほど暗く小さくなっていた。

 

(本当に俺ここでやっていけんのかな......)

 

 ふと、旧友のことを考えた。 羨ましいとかなんだか言っていたが、代われるならばぜひ代わってやりたい、とにかく男でも誰でもいいから交代して欲しい。 滝のように思いを解放する。一夏の精神はそろそろ限界を迎えていた。

 そんなとき、彼は思いついたかのように顔を素早く上げた。隣の女子が驚き、チラチラ見ている。

 

(そうだ! もうひとりいるじゃないか男は!)

 

 もう一人の男性IS操縦者、デイビット。 自己紹介もインパクトはあるもののすんなり決めていて、千冬という大物との対話にも臆せず堂々としていた。まさに、味方にしたら頼もしいタイプだと。

(日本語もペラペラだったし、なにしろ俺と同じ境遇なんだ。すぐに打ち解けあえるはず!)

 思い立ったが吉日。善は急げ。

 一夏は後先考えず行動に移した。

 

 教室の大半が女子で構成されている中、一人異質な存在がいた。 

 デイビットは一人ほくそ笑んでいた。 無理もない。学園全体が女子で成り立っている。そんな女性であふれ返っている中に男子一人放り込まれてみろ。相当股間にクるものがある。

 性欲がぶっちぎりでカンストしていた。彼はここを天国かと錯覚していた。

 

(おお.........おぉ~)

 

 彼が疑似天国を堪能していると、突然声をかけられた。

 

「デイビット......君?ちょっといい? か?」

 

「お前は」

 

「あぁ俺、織斑一夏。さっきも聞いたと思うけど、まあ一応ね」

 

「ああ、さっき聞いたぞ。かなり緊張気味だったな」

 

「いやーお恥ずかしいところを見せた。まあこれからよろしくな」

 

「ああ......」

 

 さきほどから一夏の話を聞いているのいないのか、どこか目線は外れていた。

 

「さっきから何見てるんだ?」

 

「向こうだ。向こうをよく見てみろ」

 

「向こう? ......」

 

 一夏が振り返り、デイビットが指差した方向に目を凝らす。

 

 

 ある女子生徒の脚が目に入った。

 

 

「おまえ....どこ見ているんだ」

 

「見てみろあの太い太もも、キュッと上がったふくらはぎ、引き締まった足首。惚れ惚れするを脚をお持ちのようだ。お前もそう思うだろう?」

 

「ちょっ! こんな女子だらけの中でそんな恥ずかしいこと言う必要ないだろ!」

 

「そうか? 美しいと思うならば心の中ではなく、口に出すべきだと思うのだが。誰だって褒められるのは嬉しいだろう?」

 

「それはそうかもしれないな~じゃなくて! 心の中に留めといてくれよ! 一緒にいる俺も恥ずかしい奴として見られそうだ.....」

 

「その点に関しては問題ない。お前はすでに自己紹介もろくにできない恥ずかしい奴として認知されてるはずだ、あの時にな」

 

 

(『織斑一夏です。よろしくおねがいします』『えっと....今のでおしまいですか?』『はい、....以上です』)

 一夏の脳裏にずっこけた生徒や不満げな顔が廻る。

 

 

「あー、そういえば.....そうだぁ」

 罵倒されているような気がしてきたが不思議と怒りは湧いてこなかった。むしろ一夏はこの会話を楽しんでいた。まるで旧友と話しているかのような感覚を覚えた。

 

「おい、さきほどの美しい脚を持った女性がこちらに来るぞ。もしやバレたか?」

 

「あーあ。骨は拾っといておくよ」

 

「おい....!物騒なこと言わないでくれ」

 

 一夏は菩薩のような笑みを浮かべ、デイビットの裁きの時を静かに待った。 しかしその矛先は。

 

「.......ちょっといいか」

 

「え? 俺?」

 

「俺じゃないのか? にしても美しい顔立ちだ。」

 

 デイビットの褒め言葉に耳を貸さず、一夏に声をかけた。何故自分が声をかけられるのかさっぱり理解できず困惑する一夏。

 

「あの、さっきあなたの足を見ていたのは俺.....って箒!?」

 

 目の前にいたのは、六年ぶりの再会となる幼馴染だった。どこか頬に赤みがさしている。否、赤みどころじゃない顔全体真っ赤である。後頭部から湯気のような気体が立ち上っている。

 

「いあっ/// あの/// わたっ私の脚 いちかが.....みて....た?」

 

「え、どうした? 熱でもあるのか?」

 

 そういって一夏は箒の額に手を当てる。

 

「ひゃっ!? ち....チベタイ....」

 

「すごい熱だ...! 45.6℃くらいあるんじゃないか!?」

 

「なんでそんな正確なんだ」

 

 デイビットは羨ましそうな顔で突っ込みを入れる。

 

「とりあえず俺保健室に連れて行く! デイビット、また後で! ほら、歩けるか?」

 

「だっ.....ダイジョブデス///」

 

 2㎞離れた先でもお似合いに見えるカップルは教室を出て行った。

 

 

(あれは恋をした女の目だ。どうやら織斑に気があるようだな)

 

 デイビットは一夏の鈍感さに呆れ、これから先に待ち受ける受難を無事乗り越えるかどうか危惧していた。

 

(ああいうタイプには女が多くつくぞ。味方が多い分、内部に敵を作りやすい。 どのように切り抜けるのか、お手並み拝見というわけだな)

 

 

 デイビットは一人クールに笑っていた。女子は一人も近寄ってこなかった。

 

(しかし誰も話しかけてこないな。そんなに俺、顔おかしかったか?)

 

 デイビットはイケメンの類に入るのだが、自己紹介時の発言で近寄りたがらない雰囲気がでていた。

 

 まさに恥ずかしい変態である。

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 

「まさか電話帳と間違えて捨ててしまうとはな。そのうち姉からも捨てられてしまうんじゃないか?」

 

「うっ....いつか本当になりそうで怖い」

 

 二時間目にて一夏は再三、関羽の一撃をお見舞いされた。参考書を捨ててしまうという失態。いくらなんでも見分けはつくだろう。だが一夏はそういうとこにもちょっぴし鈍感であった。

 

「で、でもデイビットだって参考書持ってきてなかったじゃないか! なんでおまえは千冬姉から一発ももらってないんだ!?」

 

「まああの内容なら初歩的なものでな。しっかり理解しているんだ。」

 

「じゃあ貸してくれてもよかったじゃないか!」

 

「道中でひったくられてしまった」

 

「嘘っ!?」

 

 大きくため息をつく一夏。このところため息つくのが多いなとも感じていた。

 

「誰に盗られたんだよ.....」

 

「それが球体に三本の手が生えた妙な機械でな」

 

「も...もういいです」

 

 デイビットの話は信憑性に欠けるが、実に真剣に話すのでつい信じてしまうのであった。

 

「はあ、やはり卑しい男性は会話のレベルも低俗ですわね」

 

 突然二人を乏しめる声が聞こえた。罵倒に内心憤りを感じた一夏はゆっくり振り向いた。

 

 

「いきなりなんですか? 偉そうに」

 

「まあ! そちらこそなんですの、その返事は。わたくしに話しかけられるだけでも光栄ですのよ? それ相応の態度というものがあるでしょう?」

 

「ああ、あんたみたいな絹のように白く美しい女性に話しかけてもらえるとは。男冥利に尽きる光栄だ」

 

 デイビットが急に立ち上がり元気に話し始めた。

 

「そちらの男性は立場というものをよく理解していらっしゃるのよ? あなたも習ったらいかが?」

 

「いや俺は悪いけど君のことよく知らないんだよ君のこと」

 

「ああ、だからこそ君のことをもっと知りたい。名前を聞かせてくれないか」

 

「ず、ずいぶん強く出ますのね。わたくしはイギリスの代表候補生セシリア・オルコットですわ。勿論ご存じでしょう?」

 

「代表候補生って何?」

 

「セシリア いい名前だ。今度ディナーにでもいかないか?」

 

「なっ!? 知らない!? あなた本気でおっしゃってますの!?」

 

「なあ、ディナー....」

 

 セシリアが信じられないという形相で呆れかえる。

 

「本当に信じられませんわ。全く男の方って....」

 

「それに関しては俺も同意だ。全く一夏は」

 

「あなたもですのよ。さっきからその妙なアプローチ、正直不快ですわ」

 

 心に深い傷を負ったデイビットをよそに一夏はさらに尋ねる。

 

「なんとなーく候補生とやらは理解したけど、そのエリートさんが一体何の用だ?」

 

「そうでしたわ。あなた方、ISについてなにも知らないでしょう? 男性で操縦できるというので少しは聡明さを感じさせるかと思ったのですが、とんだ期待はずれですわね」

 

「なんだよ? 嫌味を言うために俺たちには話しかけたのか?」

 

「ふぅ....本当呆れますわね。それでもあの世界最強と謳われるあの方の弟なんですの?」

 

「おまえあの暴君の弟だったのか!?」

 

 デイビットが跳ね上がるように驚く。

 

「あ、ああそうだよ。おまえこそあの鬼教官の弟だったんだな。」

 

「ああ、子供のころにたっぷりしごかれた。サバイバルやら雪山遭難の対処やらな」

 

「さすがだなぁ。俺もあの人にたくさん世話になった。」

 

「ちょっと! わたくしを無視するとはいい度胸ですわね!」

 

「なんだよ思い出話に花咲かせてんだ。水差さないでくれよ」

 

「お、なんか上手いなそれ」

 

 また二人だけの世界に入り込もうとしたがそれをセシリアは許さなかった。

 

「だから無視しないでくださいまし!わたくしの要件は」

 

「おう、なんだ」

 

「あなた方ISについて全く分からないでしょう? 泣いて頼み込めば教えて差し上げてもよくってよ。何せ私、入試で唯一教官に勝利したエリート中のエリートですから」

 

「あれ? 俺も倒したぞ?」

 

「は?」

 

 セシリアは急に焦り始めた。

 

「そこのあなたは! どうなんですの?」

 

「俺もまあやっとのことで勝ったって感じだが」

 

「わたくしだけと聞きましたが!?」

 

「女子の間ではってことじゃないか?」

 

「そんな!? つまり、わたくしだけでない.....と?」

 

「そういうことに.....なるね。多分」

 

「そ、そういうことって....」

 

 セシリアが落胆していると、チャイムの鐘が鳴り響いた。

 三時間目の授業が始まる。

 

「ま、また後で来ますわ! 逃げたりしたら承知いたしませんので!」

 

「あ、待ってくれ」

 

「なんですの!? 急いでくださる!?」

 

「泣いて頼み込めば、ディナーに来てくれるのか?」

 

「どういう聞き間違えしてるのですか!? わたくしが言ったのはISについてです!」

 

 セシリアが小走りで席に向かう。

 

「ダメなのか....いや、ISについて聞くついでに誘えば....?」

 

「まだあきらめないのか....あんな奴と飯食いに行って何が楽しいんだ.....」

 

「一夏、お前もじきにわかるだろう。もう青年期に入ってるからな」

 

「そうか? まあまた後でな」

 

「ああ」

 

(青年期ってあれだろ? 精神的動揺がうんたらかんたらって時期だろ? なんでディナーに結びつくんだ?)

 

 

 一夏の青年期はまだ来てないのかもしれない。

 




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