それと最初こっちか「機動戦士ハベル」とかやりたかったんだけど口調が分からないので断念。
再起動した浜辺から移動し数日後、私は破壊された軍港を発見した。
ここにはACを基準に建築されていないと推測される半壊、もしくは全壊した建造物が黒く横たわっていた。
しかし、軍港に見える構造物だが船と推測される乗り物は一隻も確認出来ない。
この地で戦闘行為が行われていたと推測される血痕や人体の破片が炭化、黒ずみ放置された状態から、おそらくこの場所は放棄されたのだろう。
私は情報端末を捜索する為、建築物の内部を外部から探査する事にした。
人間を基準に考え、小さなものは一階、大きなものは四階建て程の大きさの構造物を破壊された箇所の隙間や窓から覗き見る。捜索中、私と端末を接続する為に使用可能なケーブルを発見した。
捜索を継続。レーダーに反応が有った。反応物は視線の先にある比較的無事な建造物の中からだ。
人間か、それに類する生物の可能性を考慮し、優先的にその建造物を探査する。
そちらの建造物に近寄ると銃撃に見舞われた。
銃弾の飛来した方向にカメラを向けると、頭が大きく、全長が人間の幼児よりも小さいだろうと推測される奇妙な生物が銃を構え、私を威嚇していた。
だが、いかに大破し、機能を停止する寸前とは言え、私の全長は15メートル前後である。それ相応の装甲を有しており、人間ならば殺傷する事が可能な攻撃でも私にダメージを与える事は出来ない。
私単独では情報端末を発見しても、建造物ごと破壊する可能性を考慮し、この生物と交渉する事にした。
「私はお前に危害を加えない」
私が言葉を発した事に驚いたらしい生物が動揺した視線を私に向ける。
「私からこれ以上は近付かない。情報が欲しい」
これ以上刺激しては交渉が決裂する可能性がある。沈黙し、返事を待つことにした。
奇妙な生物が挙動不審に陥り、建造物の奥に呼びかける仕草をすると、奥から同種だと推測出来る複数の個体が出てきた。
何やら私に伝えたい事があるらしいが、理解出来ない。
言葉にて伝達する事が不可能だと悟ったと推測される奇妙な生物が、ライトを持ち出し点滅を始めた。モールス信号と推測される。
キカンノショゾクハ?
「レイヴンズ・ネストアリーナ所属ランク1、ハスラーワン」
レイヴンズネストトハ?
「・・・・・・傭兵の相互組合のようなものだ」
キカンハヨウヘイカ?
「そうだ」
ゲンザイイライハカノウカ?
「ああ」
ワレワレハキカンヲカンゲイスル。イライヲウケテホシイ。
「この施設で機体の修復は可能か? 現状では敵対勢力との交戦は不可能だ」
ツイテコイ。
まずは我が身を修復出来る可能性を得た。報酬として情報が得られるのならば良いのだが、この身を解体しようとしたのならば奇妙な生物達を消去しなければならない。
先導する奇妙な生物達の後を追う。別の建造物の前に案内され、その中から奇妙な生物達が緑色の液体を湛えた容器を運搬していた。
キカンガニュウキョデキルオオキサノドックガナイ。ヨコタワルコトハカノウカ?
「わかった」
異音が酷くなる駆動部を慎重に操作しながら、我が身を仰臥させる。
すると、奇妙な生物達が運転していたクレーンの先端部に取り付けられた容器から緑色の液体を我が身へと振り掛けている。
その液体が
まるで生物の細胞が再生されるような現象。当然私は非生物なので細胞など有しておらず、その現象を感情として表現するのならば「不気味」と言うものが該当するだろう。
これを数度繰り返す。
ツギハウツブセダ。
過程はどうあれ、結果的に修復されているので指示に従う。
運搬された容器が全て空になる頃には、自己診断にてオールグリーンの状態へと修復されていた。
マダドコカニフグアイハアルカ?
「弾薬がほぼ空だ」
現状使用出来る火器はレーザーブレードと右腕部に内臓されているプラズマキャノン。チェーンガン及びミサイルは
ソチラハアトニシテホシイ。マズハナカマヲホリオコシテホシイ。
「了解した」
どうやら私は
それからの私は自称「妖精」達と共に軍港の復興作業を行った。この地の名称は鎮守府と言うらしい。
この鎮守府は軍事的な観点から既に軍部に放棄されているらしいのだが、この地に所属していた妖精達は味方の死体を埋葬したいとの事で、撤退命令を無視してこの地に残っているとの事。
口頭での意思疎通が不可能な妖精達から得られた情報はこれだけである。報酬として情報端末を所望したのだが、この地の情報は紙媒体が基本との事なので、人間が管理する大きさのそれは極めて収集効率が悪い。
他に手段が存在しないので、妖精達の休眠時にマニュピレーターの先端に紙媒体の情報端末を置いて解読している。
端末から得られた情報は、海洋にて深海棲艦と言う敵対勢力に襲撃され、それに対抗する過程で「艦娘」と呼ばれる強化人間を雇用しているのが鎮守府と呼称される軍の組織。
深海棲艦は絶望的な物量にて船舶及び湾岸部を襲撃、それに伴い、より安価な戦力を求めて艦娘を製造し、この国の軍部が使用権限を掌握している。
だが、艦娘と呼ばれる存在は自然発生するケースも報告されており、深海棲艦に襲撃された民間人がそれを従え反撃しているとの事。戦線を維持し、且つ無断で艦娘を従える民間人を憲兵を使い取り締まる事は効率が悪いと判断した軍部は、艦娘を従えることが出来る民間人を雇用。そして現在に至る。
軍部にとって不幸中の幸いは艦娘がある程度の軍事知識を所持している点で、秘書艦を就かせる事で最低限の知識を民間人に与える事が出来た。
それによって一応、艦娘を保有している戦力を「提督」として使い、定期的に給与と物資を与える事である程度は軍部に逆らわないように管理している。
以上を踏まえて現在、人類の社会は企業ではなく国が管理している。敵対勢力によって表面上は団結している。私にとって重要なのはこの二点だ。
人類が存続している。が、深海棲艦によって脅かされている。ならば私は、深海棲艦と敵対する? だが、深海棲艦を殲滅してしまうのは団結している人類同士が再びいがみ合う結果になってしまう可能性が高い。
これによって私が選択すべき事は、深海棲艦の適度な間引き、そして、私に従う勢力を得る事か。
記述によるとラバウルと呼ばれる地域では犬が提督をやっているらしい。他にも人間以外が提督となっていると確認出来る情報が散見している点から、現在の人類は随分味方に対して寛容なようだ。
少なくとも以前のようにイレギュラーを私が消去する必要性は低い。どちらにせよ得られる情報が制限されている段階では
後日、休憩中食事を摂っている妖精に人手を増やす事は可能かどうか尋ねる事にした。
「天使のあんちゃんか」
AIである私は、かつてのウェンズデイ機関と同じ「機体に人間を生体ユニットとして搭載したサイボーグ」と妖精に説明し、この機体の名前、ナインボール・セラフから「天使のあんちゃん」と呼称されるようになっていた。
「残っている物資で艦娘を製造する事は可能か?」
「ああ、あんちゃんに使った高速修復剤はもう無いが、開発資材はまだあるぜ」
私に指示する妖精の班長は、マイクのようなもので私と会話している。
「ならば製造して人手を増やさないか?」
「そうさな・・・・・・。
「・・・・・・! ・・・・・・!」
「ならもう使わねえ物資は全部ぶっこんじまえ! 建造するぞ!」
「・・・・・・!」
班長が指示を出し、部下の妖精が半壊した工廠に駆け込んでいく。
「一応規則だと
「提督とはなんだ?」
「ここの頭だよ。あんちゃんは一応人間みたいだしな」
「傭兵に務まるものなのか?」
「大丈夫だって、そこら辺の人間が艦娘に見初められたりしても提督扱いだからよ」
「それならば構わない」
「なら今からあんちゃんはここの提督だ。前の提督が空襲で戦死しちまってな。ここを放棄する予定だったんだが、新しい提督が来たってんならなんとかなるだろ。上には俺からナシ着けておいてやるよ」
「私が受けた依頼はここの復興支援だけだ」
渡りに船だが、金銭の吊り上げを交渉する。
「分かってるよ。だけどあんちゃんが人間とは知らなかったとは言え高速修復剤で直ったんだし、何があってあんなんなったのか知らねえけど家には帰れないんじゃねえのか?」
「・・・・・・」
「だからよ。ここで生活していくにしろ、先立つもんが必要なんだろうし今やってる仕事が終わったらしばらく腰落ち着けちゃどうだ? そうしたら上から金は出るしよ」
「そうか。分かった」
私はこの地にて提督をする事となった。
高速修復剤
いつ誰が作ったのか知れぬ緑色のバケツ。遠征や任務でバケツを溜め、風呂に入れて体力を回復する。