よかったらコメントください!どこが悪いっていう理由付きならば、酷評もお待ちしています。
理由は必ずつけてください。こちらも直したいので。
是非、読んでください。
ふぅ、と息をはいた。
疲れたのだった。疲れたから、息をついたのだった。 まるで人に似ている。
そのことを考えて、つい嬉しくなってしまう僕がいた。
「人になりたい。」
それが僕の夢だった。そして絶対に叶わない夢でもあった。
たらふく美味いものが食いたい、などという願望とは違うのだった。
だが、仲間たちは理解できないことなのだった。
「人間など、なれるわけがない。」
そう言って友人は、また一人、また一人と減っていき、とうとう僕には友人がいない。
まず、人間にはなれない、とだけ言われ続けた。僕はどうしても諦められなかった。
人間になりたい。
人間は優しくて、弱いのに強くて…
だから人間になりたかった。どの仲間達を見ても何かが足りないと思った。
優しくないわけでもない。困っている仲間には大概助けの手を差し伸べる。
弱くはない、決して。
強い。だが冷酷なのだった。
人の優しさにはほかほかとした、暖かさがあると思った。だから人になりたいのだった。
けれど決してなれないのだった。
人に憧れていても、仕方がないと思った僕は、何かをしようと思った。
人の住むところに行くと太陽の熱でやられてしまうので、夜にしか行けないのが嫌だった。
でも夜になれば行けるのだった。
僕はそれを利用しようと思った。
電話なら、人の世界にもつながる。誰もやらないからわからないけど、多分。
夜、日が暮れた時刻になり僕はいそいそと出掛けた。
電気屋が閉まる前に着かないとならないのだ。僕は久しぶりに焦って走った。電気屋は、閉まる直前だった。店のおじさんは締めかけていたシャッターを慌てて開けてくれた。
「す、すみません。あの…電話、売ってもらえませんか?」
おじさんは驚いたように言った。
「化け物がかい?てっきり殺しに来たのかと思ったよ。」
僕は驚いてかぶりを振った。
「いいえ…僕、人のことが大好きなんです。」
おじさんの顔が恐怖で埋め尽くされたのを見て、僕は慌てて付け加えた。
「仲良くなりたいんです。人のことをもっと知りたいんです。」
おじさんはもともと人がいいのか、顔をくしゃくしゃにして笑った。
「ありがとよ。そう言ってもらえると嬉しいよ。電話だったかい?この棚にあるよ。」
僕は笑ってうなづいた。
「どれが僕の世界とつながると思いますか?」
おじさんは少し考えてから言った。
「これなんかどうだい?かなり古いけど、大抵つながるかと思うよ。」
おじさんが笑って指差したのは真っ黒な電話だった。
「これはなんですか?」
おじさんは丁寧に説明してくれた。
これは、黒電話というものだということ、今では使う人がめっきり減ったが便利だということ。ダイヤルの回し方なんかも教えてくれた。
僕は黒電話をレジに持って行った。
「これ、ください。いくらですか?」
おじさんは困った顔で頭をかいた。
「どうしようか、いくら持ってる?」
僕は持っていたお金を全て出した。薄っぺらい紙が十枚ほどだった。
おじさんは驚いた顔をした。
「十万円は多いよ!そのうちの一枚をもらってお釣りを出そう。」
僕は笑顔でうなづいた。そうか、多すぎたのか。ちゃんとお釣りを出してくれることが嬉しかった。
「はいよ。」
渡されたお釣りはやはり薄っぺらいが書いてあることが違う紙が数枚と、幾つかの小銭だった。
小銭のたてるチャラチャラとした軽い音が僕を楽しくした。
「ありがとうございます。よかったらまた来てもいいですか?」
おじさんは嬉しそうにうなづいた。
「おうよ。よかったらコレ…うちの番号だ。できたら電話してくれよ。それとわからないことがあったらいつでも来いよ。」
僕は笑顔でうなづいた。
「ありがとうございます!完成したら、やってみます。」
僕は手を振って別れた。帰り道を駆け出した。ポケットで小銭が楽しげに音を出した。
僕は、うちに着くとコードの先をコンセントにさして見て、ニヤッと笑ったらしい。僕はニコニコしたつもりだったのだけど、近くを通った仲間にはそうは見えなかったらしい。
「よし、これでいけるかな?」
おじさんの番号を、ジーコ、ジーコとゆっくり回して電話をかけた。つながるといいと思った。僕には、初めての電話だ。受話器に耳を当て、ワクワクとして待つと、少しして眠そうなおじさんの声がした。
「どなた様ですか?」
僕はいそいそと答えた。
「えっと、先日お邪魔した、ば、化け物です。」
おじさんの笑い声が聞こえた。
「そうだった、そうだった。黒電話を売ったっけ。」
僕は嬉しくなった。僕のことなんか、忘れてしまったかと思った。
「ええ。黒電話、買いました。これ、一番目の電話なんです。僕の人生と、この電話の。」
おじさんは嬉しそうに答えた。
「よかった。気に入ってくれたようで嬉しいよ。それで、この電話、どうするんだい?」
僕は少し迷ってから答えた。
「実は…お悩み相談室を開こうと思うんです。」
おじさんは電話越しにしばらく黙っていた。僕は変なことを言っただろうか。しばらくして、おじさんは口を開いた。
「いいと思うよ。どうやって宣伝するんだい?」
考えていないことを正直に伝えた。
「どうすればいいと思いますか?」
おじさんはしばらく黙っていた。
「僕が宣伝してあげようか?」
本当にいいのだろうか。僕が宣伝したほうがいいのではないか。だが、ここはおじさんに頼もうと思った。何かの縁だし、やっぱり人が宣伝したほうがいいと思った。
「じゃあ、お願いします。」
「わかった。宣伝文句はこっちで自由にしてもいいかい?」
「おまかせします。」
おじさんはまた電話すると言って電話を切った。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。
これは前編です。続きは今度書きます。
よかったら読んで下さい。
本当にありがとうございます。