前回からかなり時間がたってしまいました。すみません。
前回同様、酷評もお待ちしています。
化け物からの電話を切った後、私はため息をついた。
6年電気屋をやっているが、あんな客は初めてだった。
気がつくと手がある番号を押していた。
3コールとちょっとで相手は出た。
「なんだ?いきなり電話なんか」
驚いている相手の声をさえぎるように声を出す。
「すまないね」
「で、何の用だ?」
息を吸う。だが口から出た台詞は考えていたこととは違うものだった。
「なんで、あの日私に声をかけたんだ?」
「それは...」
とまどっている声が、でも、迷いなく答えた。
「それは、困っていたから」
「迷っているみたいな、いや、戸惑っている感じがしたから」
優しいなぁ。でも...
「私がどういうものか、知っていたのかい?」
これにも迷いなく答えてくれた。
「そりゃ、知ってたよ。でも化け物だからって見捨てられるわけないじゃん、困ってるやつのこと」
嬉しかった。
「で、何のようなのか?」
鋭いやつだ。だてに二周りは年上の私を二十歳で救ったやつじゃないな。
「助けたいやつがいるんだ」
しばらく間があった。
「そいつは困っているのか?」
頷いた。だが電話だったことを思い出し、口に出して言った。
「ああ」
今度はすぐに次の返事があった。
「助けてやりたいと思ってるんだろ?だったら助けてやれ」
「ありがとう、じゃあな」
切ろうとするとまだ声がする。聞き返すと笑えるほどくだらないことだった。
「なあ、そいつは女か?」
相変わらず懲りないなあ。
「いや、男だ。それに化け物だぞ?いいのか?」
「へえ、お前と同じ化け物か...そのこと、伝えたのか?」
痛いところを突かれた。
「いや、まだだ」
間髪入れず返事が来た。
「早く伝えたほうがいいぞ」
フッと笑う声がした。
「しかし残念だな」
どちらからともなく別れの挨拶をして、通話を切った。
いつのまにか握り締めていた受話機は温かくなっていた。
そのとき、何か液体が私の頬を伝い、手に落ちた。
それは生暖かかった。
“それ”は涙だった。
ここに逃げ出してきてから初めて泣いた。
自分が情けなかった。
私を頼ったあの化け物はきっと私がどういうやつか知らないのだろう。
自分の住む世界で嫌な目にあったからって逃げ出したなんて。
あの化け物のように、抗いもせず、ただ嫌だから逃げ出した。
カッコ悪い。サイテーだ。
せめて、マシになりたい。
名も知らないあの化け物を助ければ、帳消しにならないだろうか。
ならないとしても助けてやりたい。
もうその資格はないかもしれないが。
あの化け物は私を人だと思っている。まだ実は化け物だということを教えたくないな。
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