幻の郷の人造人間   作:古木

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 このカタツムリ……中々やりおるぞ。

 

 接近してやっと目を切り落とせると思ったら目から酸を吹き出しやがった。あれはビビった。シールド出てなかったら死んでた。

 

 それに動きは遅いだろうと践んでいたがそんなことはなかった。めちゃくちゃ速ぇ。

 

 あの腹足で何をどうしたらそんなに動けんだ。ホバーでもついてんのか?

 

 

「ハァ……ハァ……ハァ…………はぁ…………ふぅ。……こんなの無理ゲーだ……」

 

 

 影に隠れて相手の様子を見ているが、敵は油断も隙もない。

 斬っても再生するし、一発でももらえば死に、殻も攻撃したけど傷ひとつつかなかった。心臓はどうせ殻のなかだろうから一撃で殺すことも不可能。

 

 ……これ詰んでるわ。

 

 

「皿とかどうでもよくなってきた……」

 

 

 生きててなんぼの皿コレクションである。

 たかが100均の皿で自分の命を売った自分が恨めしい。

 ……いや。これは本気で不味いぞ。

 

 

「…………近くに仲間はいないな……」

 

 

 数人いたとしても勝てないだろう。アレはそういうバグだ。一人で倒せるバグじゃない。

 

 ここは素直に撤退だ。

 

 

「デコイ設置して……よし」

 

 

 手を使い、足にエナジーを集中させる。出力は全開。

 あの瞬間移動じみた移動速度から逃げるには足が壊れる限界までエナジーの出力を上げないと逃げれない。

 

 敵前逃亡は重罪だが、死ぬよりかはマシだ。

 

 

 

 

 

 

「…………で、逃げてきたと?」

「…………」

「ホムンクルスは死んでも相手を殺す兵器として生まれてきたもんなのよ?それを分かって逃げてきたの?」

「百も承知だ」

 

 

 俺の答えに親はため息をつく。敵はまだ生きていてホムンクルスは逃げてきた。プラマイゼロだが、バグが強くなってるかもしれないのだ。

 裏路地に迷い混んできた人間を食べて。

 ため息をつきたくなるのも分かる。

 

 

「……でも負けて当然な敵だろうなって思ったから、別に怒ってないわ。あんたが喰われて余計にパワーアップする方がめんどくさいんだし」

 

 

 皮肉な話だが、ホムンクルスとバグは調和する。互いに混ぜても問題ない存在なのだ。

 この時、バグがホムンクルスを取り込むと人間を喰った倍以上のエネルギーを得ることができる。

 例えばあのカタツムリ。人間20人でああなるのなら、ホムンクルス一体であのカタツムリができるのだ。

 

 

「私が出てもいいが…………ここはあいつらの性能を試すか」

「……またろくでもねぇもの作ったのか?」

「あんたからしたら嬉しいかもね」

「?」

 

 

 親はそう言うと、手元のコントローラのボタンを押した。

 

 

 ヴゥゥゥゥン………。

 

 

 テレビが壁に収納され、床かか大きなパネル……ってちょいちょいちょい!

 

 

「家になんて改造してんだコラァ!ローンもまだ払ってる途中なんだぞ?!」

「いいじゃない。こんな大きなパネルのテレビ欲しかったんでしょ?」

「お袋の研究所にいくらでもあるから飽きとるんじゃこっちは!」

「段々と石川弁に侵食されていってる子供を見て和んでる母なのでしたー」

「ほんまにどつくぞ!?」

 

 

 ヴゥン……

 

 

 突然パネルに映像が流れる。

 

 

「……はぁ?!」

 



 お袋の研究所にあるホムンクルスのトレーニングルーム。普通なら何人か自身の強化に勤めているが……

 

 

「…………マックス、ハンサム、シスター、チビ、ボンボン女」

 

 

 そこにいたのは壁島を初めとするあの五人だった。

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