パシッ
トカゲはサスケの蹴りを片腕で防ぎ、目を細めた。
いい蹴りだ。アカデミー生にしてはだが、このまま鍛練を続ければすぐ下忍クラスになるだろう。
何といっても『天才』だからな。
「それなりに鍛練はしてるようだが、まだ足りないな.......イタチさんがお前位の時には中忍だったのに比べれば」
「あいつの話はするな!」
おっと、パンチの方も中々速いな、だがそんな単調な攻撃は俺には当たらない。
「怒ってるのか?いつもクールなお前はどうした?」
さぁ、この挑発にどう出る?
「てめぇ.....」
サスケは怒りのあまり肩を震わした。
後悔するなよとサスケは叫ぶと.....印を組みだした。予想通り。
「おい!何やってるんだってばよサスケぇ!?忍術は禁止だってばよ!?」
「ヤバイな。あいつ、マジでやる気だぞ」
「ちょっと!?先生早く止めてください!」
ギャラリーが騒ぎだす中、サスケは印を組み終えた。
「火遁・豪火球の術!」
ボォ!!!
サスケが大人位の大きさの火の玉をトカゲに放った。
火遁か.......外したな。
トカゲはサスケの術にため息をついた。
どうせなら水遁か雷遁だったら写輪眼でコピーして使えたんだが.....仕方ない。そんな使えないだろうが一応コピーしておくか......
炎がトカゲの目の前まで迫った所で、写輪眼を発動しコピー、そして解除。そこまでするのにかかった時間は僅か数秒だ。
これ以上時間をかけると危ないからな......できた。
「水遁・水流壁の術!」
トカゲが地面に手をつくとお馴染み、水の壁が現れた。
ジュゥゥゥ.....!
同時に炎の球は水の壁に激突し、煙を上げながら四散する。
遅れて教師が手を上げる。
「うちはサスケのルール違反により勝者うちはトカゲ!それとうちはサスケはこっちに来なさい!」
教師の呼び掛けにサスケは舌打ちしこっちを睨んだ。
「次は殺す」
「出来るかどうかは別として、気長に待ってるとしよう」
「......さっきはああ言ったがまだウスラトンカチの方がマシだ」
俺もだ。言葉には出さずに呟くとトカゲはギャラリーの輪の中に戻った。
午後の授業終了のチャイムが演習場に鳴り響いた。組み手をしていた生徒達が一斉に組み手を中断し教師の前に集まる。やっと帰れるな。
「それでは授業はこれで終わります。帰りは気を付けて帰るように」
教師はそれだけ言うとアカデミーの方に歩いていった。恐らくアカデミーで別の仕事があるのだろう。
.....俺も帰るか。森で鍛練をする時間も惜しい。森で鍛練するのは写輪眼を使うには人気のない場所である必要があるからだ。万が一見られると最悪生命に関わる事態に発展しかねない。
トカゲは演習場から出ようと出口の方に足を進めた。
「おーい!待ってくれってばよ!」
見覚えのある声に足を止めるとトカゲは振り返った。こんな独特的なしゃべり方は一人しかいない。
「何だ?うずまき」
案の定、そこにはうずまきナルトがいた。夕方の演習場に二人の影ができる。
「いや、あのさあのさ!サスケと戦ってた時の術教えてくれないかってばよ?」
「水遁の術をか?」
ナルトがうんうんと頭を上下させる。そうか.....面倒だ、断ろう。
「悪いが、自分の修行で手一杯でな。アカデミーの先生とかに教わってくれ」
トカゲの答えにナルトがやっぱりと顔を暗くした。
「.....そんなの無理だってばよ。」
「無理?」
先生に聞くのがか?
トカゲの問いにナルトは頷き、虚ろな目でこっちを見た。
「俺ってばみんなから煙たがられて誰もマトモに話をしてくれないんだってばよ」
「なぜ?」
「分からないんだってばよ。初めて会った人にも先生だって.......」
妙だな。
ナルトは少し馬鹿な所はあるが、極端に人に嫌われるような性格ではないと思うが。ましてや初対面の人間まで露骨に嫌われているとはおかしな話だ。
考えていると唐突にナルトが口を開いた。
「じゃあ、そろそろ俺帰るってばよ.....」
ナルトの後ろを眺めながらトカゲは頭をかきむしった。
.....ここまでナルトの身の上話を聞くとかなり気の毒だと思ってしまった。そのせいだろう、偽善心が働いた。仕方ない、少しくらいならと。
「待て、ナルト」
「何だってばよ?......」
「教えてやる、術」
「えっ?.....ええええっ!!?良いのかってばよ!?」
「ああ。ただし、俺もそこまで長い時間教えてやれない。それでもいいか?」
「全然いいってばよ!よっしゃあ!忍術練習、忍術練習!」
ナルトは満面の笑みを浮かべ頷くと今にも踊り出さんばかりに準備体操をしている。
こんなに喜ぶとは......余程人との関係に飢えていたのだろう。また機会があればたまに息抜きで相手してもいいかもな。
トカゲはまだ水遁や雷遁などの術は合わせても4、5個位しかないです。
だが、基礎的な忍術は一通りマスターしている。