森の開けた場所でトカゲは足を止めた。
ここらなら術を使っても外にはわからないだろう。暗部の監視も撒いたことだし、そろそろ始めよう。日付が変わる前には帰りたい。
「水遁・豪水腕の術!」
手早く印を組むとトカゲの手に水が絡み付き、大きな水の腕に変化する。これは水を使うことにより使用者を一時的に怪力にする術だ。
これは唯一父が教えてくれた水遁であり、そして最も父が好んでいた術だった。
「まずはあの大岩を砕くか。....はっ!」
ドォン!ガラララ......
水を纏った腕はいとも簡単に大岩を破壊した。手はもちろん無傷だ。
「いい調子だ。」
あと五、六個位はいけるな。
トカゲは辺りを見渡し、手頃な石を探していると茂みがガサガサと音をたて、中から全長2メートル程のムカデが現れた。
「またお前か.....まぁ、いい。ちょうどこの術を生きている物に試してみたかった所だ」
ムカデは真っ直ぐ突っ込んできた。好都合だ。トカゲは水の腕を大きく後ろに引くと
「消えろ」
ムカデの顔を目掛けて突きだした。一瞬拳がめり込むがすぐに奇声をあげ、ムカデは森の彼方に飛んでいった。
失敗した、これじゃあムカデがどうなったか確認できない。そう思い、ムカデの消えた方向に向かおうとしたが、まだ他の術があることを思いだし、足を止めた。
「仕方ない、また今度にするか.......今はそれよりも次の術だ」
トカゲは印を組み始めた。
「水遁・水龍鞭の術!」
腕に水でできた鞭が現れた。この術は主に捕縛することに使う。戦闘でも使えるが、俺はあまり使わないだろう。
そのため、トカゲは数回振るうと術を解いた。時間は限られている、効率よくやらないとな。
再び別の印を組む。
「雷遁・地走りの術!」
言うと同時に地面に手をつける。
バチバチバチッ!
手を経由して地面に雷が流れ、地面を経由して辺りの草や木を燃やす。気がつけば辺りは既に軽い山火事になっていた。
トカゲは水遁・水龍鞭の術の印を組みながらため息をついた。
「やはりこの手の術は森には向かない。雷遁の場合、何もない場所でで修行した方がよさそうだ。.....少し遠いが次からは砂隠れの里近くの砂漠でする方がいいかもしれない」
水龍鞭で全ての火を消し去った後、ふと腕時計に目を向けると針は11を指していた。そろそろ潮時だ、明日もアカデミーがあるし、これで最後だ。
「術はこれくらいにして最後に本命の練習を始めるか。......写輪眼」
トカゲの目が黒から赤に変化し、三つ巴の斑点が現れる。
「最初は写輪眼から......!!?誰かいる」
それから万華鏡に変えようとしたが、草影からチャクラの流れを感じとり、写輪眼のままクナイを構える。万華鏡を開眼する前だったのが幸運だった。
「誰だ?ここにいるのは分かっている。出てこい」
しかしまさか、この距離で気配を感じさせないとは....かなりの手練れだな。
トカゲの額にうっすらと汗が浮かぶ。
何にせよ木の葉の忍びだとやっかいだ。写輪眼でも不味いが、もし万華鏡をを知られたら......シャレでは済まない。
トカゲの問いかけにくぐもった笑いが草影から聞こえてきた。
「まさか、気づかれるとはね。流石はうちは、と言った所かしら」
草影から現れたのは、顔が真っ白で長髪の.....男?だった。少なくとも木の葉の忍びではなさそうだ。
「木の葉の人間.....でもなさそうだが、何者だ?」
依然とクナイを構えたままトカゲは聞いた。素性は知れないが、手練れだということは気配で分かる。だからこそ油断せず、構えを解かないのだ。
そんなトカゲの心中を知ってか知らずか長髪の男は余裕のある笑みを浮かべ、答えた。
「伝説の三忍の1人、と言えば分かるかしら?」
.......不味い。
トカゲの脳裏に昔、父が話してくれた三忍の話が蘇る。
(伝説の三忍の中に、里を抜けた男がいたんだ。その男はあろうことか木の葉で禁術を開発、人体実験など言葉にするのも憚るような事をやっていた。え?男の名前は何だって?それは_____)
「大蛇丸.....」
場所は死の森です。
ネタバレっぽくなりますが、トカゲは水変わり身の術、水鉄砲の術、雷鼠激震なども出します。