あら、と大蛇丸が嬉しそうに笑みを浮かべた。
.....不気味、それしか言えない。
「私を知ってるみたいね、嬉しいわぁ。あなたみたいな若い子に知られてるなんてね」
「不老不死を盲信する狂人、としてだがな」
「つれないわね、でも嫌いじゃないわ」
とりあえず今は大蛇丸を振り切り、逃げるしかない......クソッ、イタチさんといい大蛇丸といい何でこんなに化物染みた奴との遭遇率が高いんだ?
トカゲは自分の不運に舌打ちしつつも顔には出さず、大蛇丸の方に顔を向けた。
「それで?里を抜けたアナタが今さら木の葉に何のようですか?」
人体実験や禁術に人生を捧げるような奴だ。理由もなく戻ってきたとは考えにくい。話すとは思えないが、少し聞いてみた。例え駄目でも時間稼ぎになるから別に問題ない。
「観光、かしら?」
「危険を犯してまで木の葉に観光に来た、と?」
ふざけたことを。
「そう、そしてその途中でアナタを見つけたのよ。」
「....いつから見ていたんですか?」
「水龍鞭を使った辺りからよ。それにしてもアナタ、スゴいわね。水遁の術も雷遁の術も中忍クラス。おまけに」
大蛇丸の目が獲物を捉えた蛇のように鋭くなる。
「写輪眼も開眼しているようだし、サスケ君もいいけど、アナタもいいわね」
「.........」
サスケを知っている?それに俺にも興味がある?
.....まさか。
「.....狙いは、この眼ですか?」
俺の答えに大蛇丸がそれもあるわ、と腕を組む。
「でも、まだサスケ君には手を出すつもりはないわ?それよりもやらなくちゃいけない事があってね。だけど、近いうちに少しちょっかいをかけるかもしれないわ」
そう言うとしゃがれた声で大蛇丸は笑う。
「でも.....アナタなら手を出しても問題なさそうね。開眼してるし、サスケ君に万が一、ということがないとも限らないしねぇ」
今のうちに唾、付けとこうかしら?という大蛇丸の言葉にトカゲは少しずつ後退する。
状況は明らかに不利。
アカデミー生と伝説の忍、雲泥の差どころか天と地程の差がある。まともに戦えば確実に殺られる。いや、命だけは助かるかもしれない。だが、そうなったら人体実験に使われる事は眼に見えている。
つまり、つまり残された道は.....
トカゲは自分の中で最速と言える速さで印を組む。
「雷遁・地流しの術!」
大蛇丸に向かって手から這いずるように電撃が放たれる。
先手必勝。.......今ので運よく煙が上がった、今のうちに森に出なければ。
逃げるも勇気。戦うだけが正義じゃない、時に逃げることも必要だ。
それができない忍びは長生きできないだろう。現に無駄に正義感を振りかざし、英雄になろうと無駄死にした奴は数知れずいる。
トカゲは木を駆け、森の外に走った。俺はそんな馬鹿にはなる気はない。
「暗部を警戒して奥に来たのが仇になったな。全然出口が見えない......」
「風遁・大突破!」
「前からか!?」
前で印を組む大蛇丸が見えたが、時すでに遅し。
後ろに気を配っていたトカゲは対処できず、突風で木に叩きつけられた。脳が揺れ、トカゲの視界が揺れた。
気を持て.....ここで気を失えば、終わりだっ。
そう自分を叱咤し、トカゲは立ち上がろうと両手に力を入れる。右腕に鋭い痛みが走る。
「ぐっ!?......腕が.....」
右腕が折れているようだ。痛みはそれほどでもないが、これで状況が最悪から絶望的に変わった。
片手が使えない。つまり、印が組めない。
木から大蛇丸が降りてきた。
「その歳でここまでやれるとはね。でも、相手が悪かったわ.......草薙の剣」
大蛇丸の口から両刃の剣が現れた。例えるなら手品で剣を飲み込む芸と逆のような感じだ。
「安心しなさい、死んでも眼だけは生きるわ。私の、としてね!」
大蛇丸が草薙の剣を突きの構えで走ってくる。
立てるか......いや、間に合わない。立つ前に殺られる。
トカゲは両目を閉じた。
無論、諦めた訳じゃない。ぶっつけ本番だが、切り札の1つ、左目の瞳術を使うためだ。
一度使った事があるが、その時は気絶した。
「どれだけ使えるか分からないが、今のチャクラで何とかなるよう、祈ろう」
眼を閉じているため、大蛇丸がどこにいるか掴めないがもう数秒で目の前に来るだろう。
「終わりよ!草薙の太刀っ」
今だ。
トカゲの左眼がいきおいよく開かれ、写輪眼の三つ巴の斑点から十字架のような形に変化する。
悠久と続く《無》を味わえ。
「無明!」
グサッ!
トカゲが呟くと同時に草薙の剣がトカゲの胸に突き刺さった。
トカゲの瞳術はオリジナルです。今回は幻術ですが、次は物理の方を出したいと思います。
基本、イタチと同じような左は幻術、右は物理、みたいになります。予めご了承ください(>_<)>