超人SPは異世界でも余裕で守り抜くようです!   作:ほにゃー

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友達に教えられてすごく面白かったので書く事にしました。


第一話 八人の超人高校生

日本には、世界に名を轟かせる八人の高校生たちがいる。

 

一人目は、中東の紛争地帯で、弱き民のため刀を振るう現代に生きる侍

 

「くそッ!撃て撃て!撃ち殺せっ!」

 

「ダメです!速すぎて、あたりま、ぎゃあああ」

 

長い髪を靡かせた少女は風の様に戦場を駆け回り、兵士たちの戦列に斬り込むや、携えた日本刀を振るい、血の華を咲かせる。

 

混乱した兵士たちは少女目掛け銃を乱射するが、少女には掠りもせず、弾は仲間に当たる。

 

「……ば、ばかな……。全滅だと!?銃火器で武装した中隊が……、あんな刀一本しか持ってない小娘相手に……!?」

 

青ざめながら冷や汗を掻く指揮官に、少女は怒りに燃える双眼を向け、小さく叫ぶ。

 

「武器も持たぬ女子供を銃と暴力で嬲り者にする畜生ども、貴様らが如き外道を一条の剣は許しはせぬ」

 

「ヒ、ヒィィィ!」

 

「斬り捨て、御免!」

 

彼女の名は一条葵。

 

高校生にして世界最高の剣豪である。

 

 

 

 

二人目は、葵の居る戦場近くのキャンプで難民の治療にあたる医者

 

「いたいぃぃ!ああぁああ!しぬぅぅう!」

 

「痛っ!足、しっかり押さえて!」

 

「は、はい!」

 

「うふふ。撃たれてそれだけ暴れるなら大丈夫そうですわね。ですがこのままでは処置できません。麻酔で大人しくして貰いましょう」

 

「先生!このキャンプにはもうモルヒネはありませんが……!?」

 

「必要ありませんわ」

 

そう言うと、白い白衣を患者の返り血で鮮やかな紅い斑模様にしている少女は針を出し、それを診察台の上でのたうち回る患者の首筋に刺し、軽く指で弾いた。

 

瞬間、今まで痛みに暴れまわっていた患者が恍惚の表情を浮かべ、意識を失う。

 

「こ、これは……っ」

 

「針で脳内麻薬(エンドルフィン)の分泌量を操作しましたの。麻酔時間はキッカリ八時間。……銃弾の摘出と縫合は貴方たちでも処置できますね?」

 

「は、はいっ!」

 

「では軽症の患者には片っ端から針で麻酔を施していくので、後の処置はお任せします。重症患者はわたくしが処置しますわ。ああ、あと葵さんを迎えにいくついでに転がっている兵士の死体をいくつか持って帰ってきてくださいませ。輸血用の血と移植用の臓器が欲しいので」

 

「い、いいんですか先生。そういうのは倫理的に……その」

 

青ざめた顔で問いかけるNGOの職員だが、血塗れの少女は、血飛沫と悲鳴が木霊する地獄のような難民キャンプの中でも崩れない温和な笑顔で言葉を返す。

 

「いいに決まっているじゃないですか。倫理感よりわたくしのほうがずっと多くの命を救えますもの」

 

彼女の名は神崎桂音。

 

高校生にして世界最高の医者である。

 

 

 

 

三人目は、海を越えた自由の国、その象徴の前に浮遊する怪人

 

シルクハットとマントを纏い、ぎらつくアイマスクで顔を隠した怪人が、布で覆い隠された自由の女神像の上空を浮遊し、ステッキを振るう。

 

その動きに合わせ周りのヘリコプターが布を引き上げると、……そこにあるべき女神像がなくなっていた。

 

この事態に、ニューヨークに集まった観衆は騒然となる。

 

「お、おいおい嘘だろ!?」

 

「オーマイガ!自由の女神が、いなくなっちまった!」

 

『な、なんということでしょう!米軍と軍事衛星の警戒網をすり抜けて、プリンス暁、自由の女神を消し去ってしまいました!これには挑戦者オバラ大統領も茫然自失ッ!』

 

拡声器から響くナレーターの声に、怪人はマントを翻し、幼さの隠しきれない声音を無理に歪めた不敵な作り声で笑う。

 

「フーハハハ!我が魔術にはタネも仕掛けもありはしない!軍隊だろうが衛生だろうが我が魔術は止められぬ!なんならホワイトハウスも消してくれようか?」

 

彼の名はプリンス暁。

 

高校生にして世界最高のマジシャンである。

 

 

 

 

 

四人目は、薄暗い研究室ラボに引き籠る少女

 

『リンゴちゃんリンゴちゃん!」

 

「ん〜……なぁにクマウサ。今、生体金属の細胞分裂プログラムを最終調整しているところだから、集中させて欲しいんだけど……」

 

『そんなことしてる場合じゃないクマ!もう約束の日の二日前クマ?みんなを乗せる飛行機のチェックもあるからそろそろ地球に降りておかないと間に合わないクマ!』

 

「あ、そっか。ここだと昼も夜もないからうっかりしてた」

 

そう言うと少女は大きなゴーグルを外し窓の外を見る。

 

そこに広がるのは星の海と……大きな青い惑星、地球だ。

 

ここは衛生軌道上に少女が作った個人宇宙ステーションなのだ。

 

『しっかりして欲しいクマー。一つのことに夢中になりだすと周りが見えなくなるのはリンゴちゃんの悪い癖クマ。直した方がいいと思うクマ!』

 

「むー。いいじゃない。それが分かってるからマネジメントAIであるクマウサを作ったんだから。私がしっかりしたらクマウサはアンインストールだよ?」

 

『クマ!?そ、そそそれは困るクマ!リンゴちゃんはずっと今のままゆっくりしてていいクマ!」

 

「ふふ。冗談だよ。……じゃあクマウサ、日本の種子島に着港してくれる?」

 

『クマ!お安いご用クマ!』

 

AIの操縦で宇宙ステーションが大気圏突入形態に変形し、ゆっくりと動き始める。

 

「……司さん……元気かなぁ」

 

少女は恩人である少年の顔を思い浮べながら、一枚の手紙を取り出す。

 

かなり前に、自分宛に送られてきた手紙。

 

無意識にその手紙を胸に抱きしめる。

 

「修斗君……早く会いたいなぁ……」

 

彼女の名は大星林檎。

 

高校生にして世界最高の発明家である。

 

 

 

 

 

五人目は、ラスベガスの夜景を一望できるレストランで美女と会食する少年

 

「ケリー。全米が夢中になっている君の微笑みを独占できるなんて、ボクは幸せ者だよ」

 

「本当にそう思ってる?」

 

「もちろんさ。君の美しさに嘘なんてつけないよ。ハニー」

 

「……そう思うなら電話はやめてもらえないかしら」

 

ジロリと、今全米の男性を魅了している若手女優が不機嫌さを隠さずに少年を睨む。

 

それもそのはず、もうオードブルが運ばれてきているというのに、少年は幾つものスマートフォンを魔の前の机の上に並べられ、耳に付けたインカムで話しているのだから。

 

「オゥ、ソーリー。許しておくれよケリー。今ちょうど日本の市場が勝負所でさ。目を離すことが出来ないんだ、っと失礼。……あぁ、そうだ。東レゾは買いだ。心配すんな。荒巻頭取とまて。猿飛からだ。ああ切らなくていち。つないだまま少し待ってろ。……なんだ?あ?融資が決定した!?追加百億円?ハハッ!オーケーオーケー!何もかもこっちのヨミ通りでつまらねぇくらいだ!ん?ああわかってる。この礼はちゃんと例の企画で返す。予定もちゃんと組んでるから安心しろって。じゃあな。……よう聞こえたか?な?言った通りだろ?あたりまえだ。俺を誰だと思ってる。ああとりあえず二千までは吊り上げろ。そっからは……ああ、頼りにしてるぜ。せいぜい焦らしてやるこった」

 

そこで少年は長い会話を終わらし、インカムを外して彼女に白く輝く歯を見せて微笑む。

 

「ハニーいい知らせだ。たった今キリバスの別荘が転がり込んできたんだが、どうだろう。昨年の日の出を誰よりも早く迎えてみないかい?世界の先端を行くボク達二人には相応しいシチュエーションだと思うんだが……あれ?」

 

そこで少年は、先程まで目の前にいた女性がいなくなっていたことに気付いた。

 

「おーいウェイター。ここに女神がいたと思うんだが、どこに行ったか知らないか?」

 

「ケリー様なら『彼は私の笑顔より電話先のユキチフクザワに夢中な尻穴野郎なのよ』と、泣きながらお帰りになられましたよ」

 

「……そりゃひどい話だ。今日無理矢理予定を入れたのは彼女のほうなのに」

 

「失礼ながらケリー様はお試しになったのでは?」

 

「試す?」

 

「ええ。わがままを言うことで真田様が、自分をどれだけ愛してくれているかを」

 

「なるほど。それはそうかもしれないな。お互い仕事が忙しい者同士分かり合えると思ったんだが、そうもいかねぇか」

 

「ところで真田様。お食事は二人分お持ちしましょうか」

 

「……面白い冗談だ。大阪(ほんば)仕込みのツッコミ鉄拳が飛ぶ前に失せろ」

 

彼の名は真田勝人。

 

高校生にして世界最高の実業家である。

 

 

 

 

 

六人目は、車を降りた途端、銃を向けられた少年政治家

 

「愛と慈しみのある日本の為にィ!」

 

直後、乾いた音が大通りに響き、アスファルトに血と脳漿がぶちまけられる。

 

だが、ぶちまけたのは少年ではなく、少年に銃を向けた男のものだった。

 

襲撃者を撃退したのは、少年の傍らに立つ長身の男性。

 

所謂SPという彼は銃を懐にしまうと、淡々と周りの者に命令する。

 

「衆目がある。早急に片付けてくれ」

 

「は、はい!」

 

「迅速な対応ご苦労。張首席秘書官」

 

往来の通行人たちが悲鳴を上げる中、守られた少年は長身の男に労いの言葉をかけた。

 

「総理がすぐに私の後ろに避難し、射線を開けてくれたおかげです」

 

「優秀な教官殿の賜さ」

 

「ご謙遜を。この程度の襲撃者、総理一人で撃退できたはず。それに、あの方であれば銃を抜くまでもなく無力化できたはずです」

 

「ああ、だろうね。だが、今私の傍にいるのは彼ではなく君だ。私は彼と同様に君も信頼してる」

 

薄く笑うと、総理と呼ばれた少年は長身の男を引き連れて、車を止めたビルに入る。

 

「あの者は友愛党の者でしょうか?」

 

「だろうね。おそらく国防予算増額への抗議だろう。彼らの主張、平和憲法に基づく自衛隊の即時解体と真逆の方向に私は舵を切ったからね。これから二年前の就任時以上に、こういうことが多発するだろう」

 

「愚かしい話です。自分が悪意ある者に利用されている自覚はないのでしょうか」

 

「別に平和の為に武力を放棄しようという発想自体はそこまで的を外したものではないさ。それを我が国だけでなく、全世界全国家に対して主張するならね。だが彼らは日本にだけそれを要求している。それでは私としても彼らの熱意に応じようがない。……私たちは国民の生命に対して責任を負っている。有事の際に彼らを守る用意がありません、では話にならない」

 

「仰る通りです」

 

「……まぁ、私が彼らに言えることは、当たり前のような今日という日の平和の値段は、彼らが考えているよりもずっと高いということだけだ。ましてや彼らが望む恒久的な平和ならなおのこと。少なくとも、ベレッタ一丁と私の命一つで買えるような代物ではないよ」

 

そう言うと少年は一度、自分たちが入ってきた入り口を振り返り、“氷炎魔眼(ヘテロクロミア)”と称される左右で色の違うオッドアイの瞳を細めた。

 

そんな時、少年のプライベート用の携帯電話が鳴る。着信相手は彼の数少ない友人と呼べる者だった。

 

「もしもし。どうしたのかねシノブ」

 

少年の名は御子神司。

 

高校生にして総理大臣を務める天才である。

 

 

 

 

 

七人目は、東京スカイツリーの頭上に居る報道腕章をつけた少女

 

少女は人間離れした視力でスカイツリーの頭上から先ほどの襲撃現場を見下ろし、手にしたスマートフォンに語りかける。

 

「いやーなんか今また襲撃されてたから、大丈夫かなーって思って」

 

『風の音が強いな……。また勝手に登っているのかね』

 

「ここからだと東京全部が丸見えだからねぇ。スクープを探すには便利な訳さ、今みたいに」

 

『仕方のないやつだ。まぁ……優秀な秘書官のおかげで無傷だよ。君の企画に支障は出ないさ』

 

「にゃはは。そりゃーよかったよかった。うんそれが聞きたかったのさ。ところで、今日はしゅーくんは一緒じゃないの?」

 

『修斗は今日会う予定のとある国の大統領の護衛だ』

 

「あ、そうなの。でもいいの?総理専属特別護衛官を他所の国のトップの護衛をさせちゃって?」

 

『大統領直々からのご指名だ。仕方ないだろ。あの国とは常に友好的な関係でないとならない………もう会議場に着く。そろそろ切るぞ』

 

「ん。じゃあ明後日、成田空港に集合。忘れないでよね?」

 

『心得ている』

 

その一言を最後に司との通話を終え、少女は立ち上がるや否や、まるでプールに飛び込むような気安さで六三四メートル上空から飛び降りた。

 

だが、少女は首に巻いたストールをパラシュートのように広げ、それで風を掴み、空を飛び落下することは無かった。

 

「ニンニン♪集まるのは中学以来だよねー。楽しみ♪」

 

彼女の名は猿飛忍。

 

猿飛佐助を先祖に持つ忍者の末裔にして、世界最高のジャーナリストである。

 

 

 

 

 

某空港 ターミナル

 

到着したとある国の大統領専用機から一人の大統領が護衛二人を連れてターミナルに現れる。

 

彼等を出迎えたのはまだ少年と呼ぶに相応の容姿であるSPだった。

 

「ヘイ!イノウエ!久しぶりデース!」

 

「ええ、お久しぶりです、大統領閣下。お迎えにあがりました。日本語。大部お上手になられましたね。・・・・・・外に車を待機してあります。こちらへ」

 

大統領はその少年をまるで古くからの旧友のように接し、少年もそれに応える。

 

『いや、結構だ』

 

だが、お付のSPはそれを断る。

 

『素性の知れない、ましてや子供の様なSPに大統領(プレジデント)を任せられない。移動用の車は既に手配済みだ』

 

そう言い男は、ピンマイクで何かを呼びつける。

 

すると黒塗りの防弾性の車が現れる。

 

大統領(プレジデント)、こちらへ』

 

SPは大統領を自分が手配した車に乗せようとするが、それを修斗が止めた。

 

『何のまねだ、小僧』

 

『いえ、いくつか聞きたいことが。運転手も貴方が手配を?』

 

『そうだが。それが何だ?』

 

『運転手にはどのような人を?』

 

『無論、一流のプロだ。もういいだろ?会議に大統領(プレジデント)が遅れてしまう』

 

少年はSPの言葉も無視し、車のガラスを叩く。

 

運転手はそれに気づき、窓を開ける。

 

「何か?」

 

「・・・・・・プロの割には運転が下手だな。テロリストさん?」

 

「くっ・・・!ちっ!」

 

すると運転手はいきなり銃を取り出し、大統領にむけ引き金を引こうとする。

 

大統領(プレジデント)!?』

 

SPはすぐさま、大統領を守ろうと体を盾にし、もう一人のSPは懐の銃を抜こうとする。

 

そして、乾いた音が響き渡る。

 

テロリストが引き金を引くよりも早く、SPが銃を抜くより早く、少年は自身の銃を抜き、テロリストの頭を撃ち抜いていた。

 

頭を撃ち抜かれ、血と脳漿を車内にぶちまけたテロリストはハンドルに頭から倒れこみ、辺りにクラクションが鳴り響く。

 

周りにいた者たちは銃声と人の死に悲鳴を上げ、逃げまとう。

 

そんな中、少年は銃をホルスターにしまい、ピンマイクに話しかける。

 

「テロリストの襲撃に遭遇。第二波が来る前にマルタイを国会まで移動させる。車を正面エントランスに回してくれ」

 

『了解』

 

「人目につく。すぐに遺体と車を片付けてくれ」

 

「はい」

 

部下に指示を出し、近場に待機させていた車がやってくる。

 

『どうぞ。大統領。SPの方たちも』

 

『ああ、すまないな。これで、君にはもう三度も命を助けられたよ』

 

大統領はにっこりと笑い、車に乗る。

 

SPも少年の行動に唖然としながらも車に乗り込む。

 

大統領(プレジデント)・・・・・・あの男は一体・・・・・・』

 

『ああ、彼こそ、世界最高のSPだよ』

 

大統領はそれだけ言い、ただ笑った。

 

彼の名は井上修斗。

 

警視庁警備部警護課第零係の人間であり、政府からあらゆる特権を与えられ、様々な職務を遂行してきた、高校生にして世界最高のSPである。

 

以上、いずれも高校生レベルに止まらない才覚を持つ八人の少年少女。

 

人々はその卓越した能力への敬意と畏怖を込め、彼等を《超人高校生》と呼んだ。

 

 

だがある日、彼ら八人が乗り合わせた飛行機が、太平洋上で消息を絶った。

 

必死の捜索も虚しく、飛行機の残骸一つ見つからない。彼らは……海の水底深くへ消えてしまったのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

否、そうではなかった。

 

この時既に、一つの物語が動き出していたのだ。

 

遠く、太平洋の水底よりも遠く離れた場所で・・・・・・・・・・・・




Q:SPって発砲しないんじゃないの?

A:主人公はSPであってもSPじゃないので

警視庁警備部警護課は第1~第4までは存在しますが、第零係は私が作った架空の係です。
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