修斗が目を覚ました時に最初に見たのは木の天井だった。
そして、自分のみに何が起きたのかを瞬時に理解した。
『超人高校生と言われる自分たちで特集記事を組みたい』
ジャーナリストである忍がそう言い出し、その取材の為に彼女を含む八人で林檎の開発したAIが操縦する飛行機で太平洋横断中、突然飛行機が巨大な雷雲に呑まれ、航行不能に陥った。
そんな中、修斗は咄嗟に司の手を取り、飛行機の後部にある脱出ポットに乗せようとした。
SPであり、総理専属特別護衛官である修斗は誰よりも司の命を守る為に行動した。
だが、竜巻の様な気流に呑まれ、機内に大きな衝撃が走り、その時修斗は強く頭を打ち付け、意識を失った。
「司は!?」
慌てて布団から起き上がろうとした修斗だが、身体を起こした瞬間激しい痛みが体を襲い、同時に頭にも頭痛に似た痛みが走る。
「くっ………!」
何とか痛みに耐え、布団から起き上がる。
「司は……無事なのか?皆は……?」
ふらふらとした足取りで入口に向かい、入口の前に着いた瞬間、扉が開く。
現れたのはセーラー服を着て首にストールを巻いた少女、猿飛忍だった。
忍の手には水の入った桶と布があった。
「しの」
修斗は忍が無事だったことに安堵の溜息を吐き、声を掛けようとするが、それより早く忍は修斗を抱きしめた。
水の入った桶が地面に落ち、その場を濡らす。
「お、おい……」
「しゅーくん………目が覚めてよかった……本当に……」
普段から元気だけが取り柄っと言わんばかりに笑い、明るく前向きな忍からは想像できないぐらいに弱々しくそう言った。
そのことに対して、修斗は面食らい困惑した。
「その……なんだ……心配掛けたな。悪い」
抱きしめられ痛いのを我慢しながら修斗はそう言い、忍の頭を撫でる。
「……ううん、もういいよ。ちゃんと起きてくれたからね」
そう言うと忍はいつもの調子に戻る。
「それで忍。皆は無事なのか?司は?」
「うん、皆大丈夫だよ。みっちゃんは最初に目覚めたし」
「そうか。悪いんだが、司を呼んで来てくれないか?」
「OK♪任して!……皆―!しゅーくんが目ぇ覚ました!」
忍は家を飛び出すと、そう叫びながら走る。
「………司だけでいいんだが」
そして、見慣れた七人が慌ててやってくるのが見えた。
「修斗!やっと目覚めたか!」
「修斗殿!目が覚めてなによりでござる!」
「もう目が覚めなかったらどうしようかと思いましたわ」
「本当によかったよぉ~!君が目覚めなかったら僕……僕……!」
勝人、葵、桂音、暁の順に駆け寄り修斗の目覚めを喜び、林檎に至っては涙目で修斗に抱き付いていた。
林檎に抱き付かれながらも痛みに耐える修斗は最後にやって来た司を見る。
「司……無事でよかった」
「修斗、君が目覚めてくれて本当に良かった」
司はそう言って笑うと、手を叩く。
「皆、修斗が目覚めて嬉しいのは分かるが修斗は病み上がりだ。あまり無理をさせない方がいい」
「わたくしも同じ意見ですわ。病み上がりに無理は禁物ですもの」
「と言う事だ。林檎君、修斗が目を覚まして嬉しいのは分かるが、放してあげてくれないか」
「………はう!?」
林檎はやっと今の自分の状況に気付いて、慌てて離れる。
「皆、少し大げさすぎるだろ。ちょっと目を覚まさなかった位で」
「何言ってんだよ?お前、二週間も目が覚めなかったんだぞ?」
「な!?二週間だって!?」
勝人の口から聞かされた日数に、修斗は驚くと同時に疑問も浮かんだ。
何故二週間もここにいるのか?
ここには総理大臣に加え、“超人高校生”が八人いるのにも関わらず、二週間も助けが来ないのはおかしい。
ましてや林檎と言う天才にして世界最高の発明家がいるのだ。
墜落した飛行機の残骸から救難信号を出す機械を作っていたっておかしくはない。
にも関わらず、未だに何処かもわからない場所に居る。
「……………司、教えてくれ」
修斗は司を真っ直ぐに見つめ、尋ねた。
「ここは何処だ?」
そして、司の口からにわかに信じがたい言葉が口にされた。
「ここは日本どころか、地球ですらない。ここは“フレアガルド”。私達が居た世界とは異なる世界、つまり異世界だ」
修斗の中での職業上の優先順位
司〉真人≧林檎=桂音〉忍〉暁=葵
修斗の個人的優先順位
司=真人=林檎=桂音=忍=暁=葵