超人SPは異世界でも余裕で守り抜くようです!   作:ほにゃー

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祝 超人高校生アニメ化
これを期に更新を再開していく予定です


第八話 次の護衛対象は実業家

とある酒場。

 

そこでは、ガラの悪そうな連中が昼間から酒を煽り、騒いでいた。

 

そんな様子を酒場の隅の席に座り、修斗は静かに見ていた。

 

(ちょっと裏路地に入っただけでこのガラの悪さ。領主の仕事ぶりが伺えるな)

 

そう思い、注文したミルクを一口飲もうとするが既に中身が空っぽなことに気づく。

 

すると、新たなミルクがコップに注がれる。

 

顔を上げると忍が笑顔でそこに居た。

 

「可愛い看板娘からのサービスでーす♪」

 

「看板娘って、雇われて数時間程度だろ、サーシャさん」

 

そう言い、修斗は新たなミルクを飲む。

 

今の忍の格好は、いつも着ているセーラー服ではない。

 

この世界に合わせた格好をしている。

 

情報収集なら酒場が鉄則と言う忍は、まず最初に服を調達し、その後人手を欲し駆ってる酒場で雇ってもらえるように働きかけ、こうして酒場で働く村娘を演じている。

 

サーシャとは、雇ってもらう際に名乗った偽名だ。

 

「それで、情報収集はどうだ?」

 

「やっぱお酒の力は凄いよね。皆、あれやこれやベラベラ話してくれたよ。まぁ、忍ちゃんが可愛いってのもあるけどね♪」

 

舌をペロッと出し、可愛くぶる忍に修斗は息を吐く。

 

「まぁ、情報収集となると忍が適任だから全てはお前に一任するつもりではいる。だが、あまり深入りだけはするなよ。こう言った連中はな」

 

「おい、お前」

 

高圧的に話し掛けられ、修斗と忍はそちらを向く。

 

そこには胸元をだらしなく緩めた酒臭い男が居た。

 

「……こんな風に面倒な奴らが多いからな」

 

「なるほどねぇ」

 

顔を見て、一瞬で興味が消えうせた二人はまた会話に戻る。

 

「随分と失礼じゃねぇかよ、優男さんよ」

 

男は喧嘩腰になり、修斗に絡んでくる。

 

「カワイ子ちゃんと随分親しそうじゃねぇか。お前さんのコレか?」

 

小指を立ててにやにやと笑ってくる男に、修斗は心の中で溜息を吐く。

 

「似たような者だ。それで、何の用だ」

 

「大したことじゃねぇよ。テメーの女、暫く俺らに貸してほしいだけさ。安心しろ、用が済んだらすぐにでも返してやるよ。いつになるか分からねぇけどな」

 

どうやら男の狙いは最初から忍だったらしく、修斗に絡んだのはついでだったらしい。

 

「俺の女に手を出すってなら、それを守るのが俺の務めだ。今なら怪我しないで済む。さっさと失せろ」

 

「威勢がいいな、兄ちゃん。だがな、怪我をするのはどっちだろうな」

 

すると、男の後ろで酒を飲んでいた強面の男たちが立ち上がる。

 

(俺らっと言った辺りから仲間がいるとは思ってたが、たった四人とはな)

 

「それじゃ、死にな!優男!」

 

男が手にした酒瓶で修斗を殴ろうとする。

 

修斗は素早く男の手首を掴むと捻り上げ、酒瓶を奪い取る。

 

更に胸ぐらを掴み、そのまま引き寄せながら地面へと倒し、地面と接触する瞬間に後頭部目掛け、酒瓶を叩きつける。

 

「この野郎!」

 

今度は別の男が掴み掛かろうと、修斗に襲い掛かる。

 

修斗は体を屈ませ、鳩尾に強めの一撃を打ち込む。

 

その一撃に、男は口から吐瀉物を吐き出し、痛みに悶絶し蹲る。

 

「くそがっ!殺してやる!」

 

残った男はナイフを抜き、走ってくる。

 

修斗はタイミングを合わせ男の腕を叩き、ナイフの切っ先を下へと向ける。

 

そして、左腕を相手の腕の内側から差し込み、そのまま外側から二の腕を抑え、右手で相手の頸を抑え前かがみにさせると、腹部に膝蹴りを入れ、相手の力が弱まった瞬間、間髪入れず地面に押し倒し、右腕を捻じりナイフを奪う。

 

「まだやるか?」

 

ナイフを机に刺し、修斗は男に尋ねる。

 

「うっ……!くっ……!覚えてやがれ!」

 

男は一目散に酒場から逃げ出し、他の二人も慌てて立ち上がり逃げる、

 

後頭部を酒瓶で叩かれた男は気絶したままで、修斗をナイフで襲ってきた男が担いで行った。

 

「さて……ちょっと暴れすぎたな」

 

「いいんじゃない?ほら、周り見てよ」

 

忍に言われ修斗が周りを見渡すと、酒場は先程まで修斗とゴロツキ共の乱闘で騒いでいたのに、乱闘が終わると何事もなかったようにまた飲み始めていた。

 

「なるほど。喧嘩なんて、日常茶飯事ってことか」

 

「まぁ、ゴロツキの溜まり場みたいな酒場だしね。そ・れ・よ・り♪」

 

忍はにやっと笑い、修斗に顔を近付ける。

 

「あの言葉……もう一回言って欲しいな♪」

 

「……どの言葉だ?」

 

「あれだよ!あ・れ!俺のって奴!」

 

「……言わない」

 

「もぉう!いけずぅ!」

 

不満そうにそう言う忍に、修斗はどう機嫌を取ろうかと考えていると、修斗のスマホに着信が入る。

 

「勝人か、どうした?」

 

『修斗、頼みがある。お前に俺の護衛を頼みたい』

 

「俺は構わないが、忍の護衛はどうする?」

 

『司の奴には連絡済みだ。それと忍に頼みたいことがある』

 

一旦通話を止め、修斗は忍に向き直る。

 

「忍、勝人から連絡だ。調べてほしいことがあるそうだ」

 

「まーくんから?」

 

「ああ。それと、勝人の護衛もすることになった。悪いが、お前の護衛はここまでだ」

 

修斗から淡々と調べ物の件に付いて伝えられ忍は、少し悲しそうな顔をする。

 

すると、修斗は忍の頭に手を置いた。

 

「ちゃんとしっかりやれよ。なんせ、お前は俺の女だったんだ。頑張れよ」

 

「…………だったって過去形なのが不満だけど、そこまで言われたら頑張らないとね!」

 

忍は元気になって立ち上がると仕事に戻り、戻る途中振り返って笑顔で手を振る。

 

そんな忍に、修斗も手を振り返し酒場を後にした。

 


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