生徒会の一存 -アイドルは生徒会長(補佐)!?-   作:あこ姫

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前回のあらすじ

会長・桜野くりむはご立腹の様子でいきなり、副会長・杉崎鍵の更生させると宣言します。
そして何故か、杉崎鍵は臨死体験することに。
その様子を聞いていた綾瀬麻里奈はトラ●ザムで生徒会に駆けつけます。
だが、生徒会役員の対応のひどさに杉崎鍵は無事に生き返りました。
例のごとく、その後の扱いは酷く・・・・。
自分でマトモと言って会長に否定され、他の役員からは目を逸らされ・・・・。
そして、ガチで凹む杉崎鍵。

そもそも何故、そんな事を桜野くりむはこんな事を言いだしたのか・・・。
それは「杉崎鍵、二股疑惑」と書かれた新聞部の壁新聞でした。


第八話   更生する生徒会 ②

 まさか、()()()()()が記事されているとは…………。

 

 深夏は私と同じく驚愕し、知弦さんは「あらあら、大変ねぇ、キー君」と大変と言いつつも滅茶苦茶楽しそうだった。この人は相変わらずブレないよね! 

 

 真冬ちゃんは最初、フォローはしてみたものの、「杉崎君は女性問題に対しては信用出来ない人間」だったことに気付いたらしく、杉崎君に謝っていた。

 全員の反応を伺った杉崎君に会長は件の新聞を机に置いて憤慨していた。

 私は改めてその新聞の内容を読んでみる。

 …………。

 見出しは派手なのだが、それ以上の内容は皆無だった。

 

 その事実に対する詳細はまるで書かれてはいない。全文記事を読んでみても、見出しに書かれていることの事実のみしか情報は得られなかった。

 

 それを上手い事、「証言者A」とか「友人B」とか根拠のない曖昧な情報でそれっぽく書いてあった。ゴシップの塊である事の象徴と言っても過言ではなかった。

 そして、その手法は新聞部部長・藤堂リリシア(先輩)が常套手段としてやりそうなものでもあった。

 リリシア…………先輩は生徒会役員と放送部に所属する私とはそこそこ面識があり、

 彼女曰く、

 

「事実を伝えるのなんて、誰かに任せればいいのですわ! 事実を基にしたエンターテイメントで皆を楽しませてこそ、学校新聞というものではなくて? おーほっほっほっほ!」

 

等と平然に言ってのけるお人だ。

 そんな彼女が手がける新聞は東●ポを軽く凌駕するほどのゴシップ記事の塊だった。

 そんなわけで、容姿はいいのだが、性格面で大きくマイナスされるという、残念美人な先輩である。

 

 しかし、いつもは軽く流せそうな新聞記事も今回ばかりはそうもいかなかった。

 何故なら、会長がとてもご立腹という一番マズい状況に陥っていたからだ。

 

「杉崎! まずは、その記事の内容がハッキリして貰いましょうかぁ!」

 

 会長の言葉に杉崎君は会長を弄って話題を逸そうとしたが、「会長モード」の会長にはそれは通用しなかった。

 通用しないとわかった杉崎君はその出来事の全貌とその真実を知る数少ない人物である私に(勿論、会長は気づかれないよう)アイコンタクトを求めてきた。

 

 私はそれに(会長に気付かれぬよう)応じる。

 

「(なぁ、麻里菜。俺はこれを話すべきなのか……?)」

「(まぁ、会長の執念深さにもよるけど……)」

 

 私は、スッと知弦さんの方を見る。

 それに気付いた知弦さんは少し困った顔をしていた。

 察した私は杉崎君に返す。

 

「(やっぱり話すべきね。まぁ、この問題はあなたにとって最大の禁忌(タブー)だし、詳しく話す必要はないと思う。真剣に話せば、会長もわかってくれると思うわ)」

「(やっぱり、そっかぁ……。そうだよな……)」

「(頑張って……!)」

「(サンキュな、麻里菜。色々と)」

「(いえいえ。どういたしまして)」

 

 こうしてアイコンタクト会議は終了して、

 

「結論から言って、事実です。俺は、昔、二股かけてました」

 

 杉崎君は何時にもなく真剣な表情で事実を言った。

 何時もの軽いノリで言っていたら間違い無く突っ込まれることだろうが、今回はそんな風になる事はなかった。

 それは、知弦さん、椎名姉妹も然りで誰も何時ものノリで杉崎君を責めることはなかった。

 

「そう。で、杉崎は、詳しい経緯を話す気があるの?」

「いえ、今はちょっと、勘弁して下さい」

 

 当然だ。この事については前述のとおり、杉崎君にとっての最大の禁忌(タブー)な問題だもんね。

 杉崎君の言葉に、会長は嘆息し、話を続ける。

 

「でも、事実なのね」

「はい」

「弁解する気は?」

「ありません」

「そう」

「はい」

「ん、わかった。じゃ、この件はおしまいっ!」

 

 会長はそう言って、んっと背伸びをしてから、スッキリとした表情をする。

 そして、いつもの元気モード(命名→私)な会長に戻って、杉崎くんに突っかかっていた。

 

「さて、杉崎! 早速更生するために色々するわよ! こんな記事何度も書かれちゃ困るんだからねっ!」

 

 それに私は笑顔で賛同する。

 

「確かに。こんな記事何度も書かれちゃ、たまったもんじゃないですね。まぁ、更生というか、せめて表面だけでも取り繕う努力はしてもいいんじゃない、杉崎君?」

「……そうですね。では、麻里菜の言う通り、表面を取り繕う努力はしましょうかね」

 

 杉崎君もそう言って微笑む。

 …………全く、桜野くりむ。貴女ほど、生徒会長に相応しい人物はいない。

 私は強くそう思う。

 過去のことは一切攻めたりはせず、今と未来の為に全力で行動する。

 単純な能力だけなら知弦さんや私。その器と成りうる人物はいくらでもいた。

 だけど、生徒の大半は「桜野くりむ」に「生徒会長」の票を入れた。

 その票を入れた生徒の理由・感情…………。それらが貴女の傍にいるだけで嫌というほどわかってしまう。

 そして、その魅力は、知弦さん、深夏、真冬ちゃん……他のメンバーもまた同様だ。

 気付けば、皆、何時もの表情に戻っていた。

 そして、メンバー全員が会長の提案に賛同していた。

 そして、皆はもう、杉崎君の二股については触れようともしなかった。

「気を遣っている」とは若干違う。彼女達は杉崎君が「イヤだ」と言ったら、本気で、その事について触れることはない…………。いや、()()()()()()()()()

 その選択肢さえ、即座に潰してしまっているのだから。

 

 ……つまるところ、この生徒会は

 

「本人が拒絶すれば、深く入り過ぎない。それがこの生徒会にとっての暗黙の了解」…………。

 

()()()()()()()()()

 そうやってこの居心地のいい空間は出来ている。

 周囲にしてみれば「微温(ぬるま)湯のような環境」と揶揄(やゆ)されてしまうかもしれない。

 

 だけど、それの何が悪い? 

 微温湯、現実逃避…………。それでいいじゃないのよ。

 それで救われる事だって沢山有るんだしさ…………。

 厳しい世の中だけど、この生徒会くらいは微温湯くらいで丁度いい。

 私はそうつくづく、そう思う。

 そしてそれは杉崎君も同様に思っていた。

 私は軽く杉崎君と微笑み合い、会議に戻っていった。

 うん。やっぱり生徒会はこうでなくちゃ、面白くない。

 

 それから、「生徒会役員による杉崎鍵改造計画」が幕を開けたが、色々な意見が交錯し、迷走して混沌(カオス)だった。

 

 そして、「更生以前に、生徒会役員全員が変人」という結論に辿り着いたのであった。

 私自身、少し自覚はあるけど、改めて言われるとショックで、誠に遺憾である。

 会長に至っては完全K.O.だった。

 

 このままだと埓があかないので、私が言った。

 

「個性をなくす事が更生というのであれば、しなくていいんじゃないかな。ずっとこのままの生徒会メンバー……。それが一番いい」

「ちょっと、何を言っているのよ、麻里菜……」

 

 会長は死んだ目で、知弦さんは教科書から視線を上げ、椎名姉妹も暴走を止めて、杉崎君は無言で此方を見ていた。

 

「私もそうですけど、此処に居る生徒会メンバーってぶっちゃけ、全員、ちょっと頭が可笑しいところがあるでしょ?」

「ちょ、だから、私はマトモだって―」

 

 会長が立ち上がって反論するが、私はそれを無視して満面の笑顔で続ける。

 

「だけど私、此処に居る頭の可笑しいメンバーが大好きですから!」

「…………」

 

 会長は勢いを殺され、黙ってしまっていた。

 こうして、円満な感じに会議は終わりを告げ…………なかったんだなぁ。杉崎君が私の直後に言った発言によってね! 

 

 クラッシャーもいいところだよ。全く。

 こうして杉崎君の更生についてはそれ以降、触れられる事はなかったのであった。

 

   ✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽

 

 翌日の休み時間、壁新聞を張り替えているリリシアさんにあった。

(呼び方が「さん」なのは本人に指摘・訂正されたから)

 前述のとおり、残念美人なリリシアさん。生徒会役員選挙の時は票を誰も入れなかった。

 本当に残念美人という言葉が似合うお人だ。

 

「なにか、凄く失礼なことを考えてますわね? 貴女」

 

 何故、見破られた!? エスパーかっ! 中の人つながりもあるし(CV:能●麻●子さんだし)……

 

「イエ、ソンナコトハアリマセンヨ」

 

 そう返す私。

 

「明らかな棒読みじゃないですの!」

 

 突っ込まれた。

 まぁそらそうかwwww

 

「で、今日はどんな記事なんです?」

「これですわっ!」

 

 そう言って壁新聞を観る様に促すリリシアさん。

 その壁新聞には

 

「保健室で目撃!? 看病したがるナースの幽霊!」

 

 と記されていた。

 

「保健室なのに、ナースの幽霊っておかしいよねぇ!?」

 

とか突っ込むところはあるが、まずは一つ言わせて欲しい。

 

「東●ポかっ! まんま東ス●じゃねぇか!! 何時から新聞部は●スポ碧陽支社と化したんだよっ!?」

 

 と。

 

「どう? 面白いでしょ? この藤堂リリシアにかかれば、こんな新聞など、一晩で作ることなんて朝飯前というものですわ!」

「……全く、すごいですね、リリシアさんは」

 

 その言葉は私の本心だった。只でさえ、学生レベルを凌駕しているのに、しかもそれを一晩で作るとは…………。

 

「そうでしょ? これも私の実力ですわ!」

 

 そう言ってリリシアさんは高笑いしていた。

 その後、この新聞はリリシアさんが徹夜で一人で作った事を聞いたり、暫く話をした。

 

 主に

 

「人間って可笑しいから面白い」

 

という事について。

 その時、私はリリシアさんの言葉に共感できるものを感じた後、リリシアさんは

 

「明日の朝を楽しみにしている事ですわ!」

 

と台詞を残して去っていった。

 

 改めて、新聞を見る。

 

「さて、と…………。私は何をすべきかしらね…………」

 

 そう言って掲示板の前を立ち去る。

 

「私が大切にしている人の不快感は誰も気づかれずに裏で解決する」

 

 それがポリシーなのが、私、綾瀬麻里菜という人間なのだから。

 

  ✽✽✽✽✽✽✽✽✽✽

 

 そのまた翌日、幽霊騒動を鎮火した私はフツーに登校していた。

 その幽霊だが、琴葉・亜梨沙・養護教諭の同級生だったらしく、保健室に養護教諭のヘルプとしてナース服ではない格好でこの世に留まることとなった。

 

 更に、四人とも元・生徒会役員で学園近くの居酒屋の店主もそうで、生徒会役員が勢ぞろいした訳で、昨日の夜は盛大な飲み会が催され、当事者四人はその影響をモロに受けて、二日酔いで休んでいた。

 

「なんだこれ…………」

 

と呆れてしまう私がいる。

 そう思いつつ、掲示板に人だかりが有るのに気づく。

 

 新聞部の新しい記事だろう。相変わらず、更新速度が早いものだ。

 

 そう思って、新聞を見に行く私。

 だけど、私を見る周囲の目が気のせいか、いつもと違う気がする。

 そして、新聞記事を見た時、私は愕然とし、頭が真っ白になった。

 

「う、うそ……でしょ……」

 

 そう、言葉を発するのが精一杯だった。

 そして私は気づけば、無言で、こみ上げる気持ちを抑えつつ、今来た道を引き返していた。

 

「お、おはよう、麻里菜」

「………………」

 

 杉崎君はすれ違った私に挨拶をしてくれたけど、今の私にはそんな余裕なんてあるはずもなかった。

 

「あ、おい! どこいくんだよ!」

 

 明らかに教室とは反対方向に向かう私を杉崎君は肩を掴んで止めた。

 

「…………離して」

 

 私はそう低い声で言って、自分の肩を掴んでいる杉崎君の手を払い除け、逃げるように走っていった。

 

 -Side Out-

 

 

 

 -Side Ken_Sugisaki-

 

 何時もと同じく登校した俺は麻里菜とすれ違った。

 

「お、おはよう、麻里菜」

 

 何時もどおり挨拶をする。

 

「………………」

 

 だけど、今日は麻理菜は挨拶を返さなかった。

 何時もは挨拶を返してくるのに……。

 

 そう俺が疑問に思っていると、麻理菜は明らかに教室とは反対方向、即ち、玄関へ向かっていた。流石に疑問に思った俺は先ず、(悪いとは思うが)麻里菜の肩を掴んで、走り出すのを止める。

 

 そして「何があったのか」そう聞こうとした。だが、

 

「…………離して」

 

 麻里菜はそう低い声で言って、自分の肩を掴んでいる俺の手を払い除け、俺からも周囲に居る誰からも、逃げるように走っていった。

 

 麻理菜はおそらく、あの新聞を読んでから様子がおかしくなった……。

 

 そう推測した俺は、新聞部の新聞を見に行くことにする。

 

「これは…………」

 

 新聞を見た俺は愕然となった。

 無理もない。だって、

 

「生徒会長補佐 綾瀬麻里菜の正体はアイドルの伊万里綾だった! 知られざる彼女の過去!」

 

 と、見出しに大きく書かれていたのだから。

 

 To Be Continued……

 

 

 

 




はい。次回はオリジナル回となります。
無事に麻理菜は立ち直ることができるのでしょうか?

投稿間隔はかなり空くと思いますが、期待して待っていてくださいね。

それではまた次回お会いしませう。
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