プロ棋士はスクールアイドル   作:フユニャン

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Chapter2 決意の時

次の日の朝

 

「「「行ってらっしゃい」」」」

「行ってきますわ」

「二人共、対局頑張ってね!行ってきます!」

僕と千尋と義母さんは、ダイヤちゃんとルビィちゃんを、玄関先で見送った。

 

今日は、義母さんとの対局の日。千尋も、別の相手との対局があった。

 

30分後

「じゃあ、行ってきます」

「行ってきまーす」

僕と千尋も家を出た。義母さんは後から来る。

 

東京に行く為に、沼津駅に向かう。

 

ドンッ

 

「うわぁっ⁉」

「わっ⁉」

誰かとぶつかってしまった。

「大丈夫ですか?」

見るとその人は、髪型は右側頭部にシニヨン、サングラスを掛けていて、薄い水色のコートを着ている。

「だ、大丈夫です!失礼しました!」

その人は走り去ってしまった。

「何処かで見たことあるような・・・・・?」

「僕も、凄く近しい人でそんな人がいたような・・・?」

「あっ、急がないと!電車行っちゃうよ!」

僕等は急いで駅に向かった。

 

 

 

東京 千駄ヶ谷(せんだがや)

僕等は何時も此処(ここ)から将棋会館に向かう。将棋会館に着くと対局室に行くのだが、その前に自販機でお茶とレモンジュースを買う。

「姉さん、何時もそれ買うよね」

千尋はお茶とコーラを買う。

「千尋だって、同じ様なものじゃないか」

「そうだね」

 

「じゃあ、頑張ってね、姉さん」

「うん、千尋も頑張ってね」

対局室に入ると、互いに隣の将棋盤の前に座った。

 

 

 

暫くすると、義母さんが対局室に入って来た。千尋の対戦相手も入って来たようだ。

「お待たせ。じゃあ、始めましょうか」

「宜しくお願いします」

僕と義母さんの対局が始まった。

先ず、お互いに歩を一つ前に出す。そうして、勝負が進んでいく。

 

 

夕方になる頃、勝負がついた。

「うーん・・・・、無いわね」

義母さんはそう言うと、僕の方を向いてこう言った。

「負けました」

僕の、勝ちだった。

「強くなったわね」

 

 

 

対局室を出ると、先に対局を終えた千尋が待っていた。

「姉さん、どうだった?」

「勝ったよ。千尋も勝ったみたいだね」

「うん!凄い・・・・、強いね、ママに勝っちゃうなんて。そう言えば、ママは?」

神宮司(じんぐうじ)会長と話してくるって。先に帰ってなさいってさ」

「そう。じゃあ帰ろ!」

「うん」

僕等は千駄ヶ谷駅に向かった。

 

 

 

「「ただいまー」」

「お帰りなさい」

「お帰りなさい、二人共!」

家に帰ると、ダイヤちゃんとルビィちゃんが出迎えてくれた。

「お母様は?」

「神宮司会長と話してくるってさ。今日の夕飯は千尋と僕で作るよ」

「ちーちゃんの料理久しぶりだなー、楽しみしてるね!」

「そう言われると嬉しいな。頑張って作るね」

僕達は料理に取り掛かった。と言っても、僕は千尋の手伝いをするだけだけどね。

 

 

1時間後

 

 

「出来たよー!今日はハンバーグ!」

「わぁ、美味しそぉぉぉ・・・・!」

「相変わらず、千尋さんの料理は美味しそうですわね」

今日の晩御飯はハンバーグだった。千尋の料理はとっても美味い。幼い頃から母さんに教わったり、自分で味付けを研究をしていて、年を追う毎に美味くなっていった。店を出しても良い位だ。

「「「「頂きます」」」」

皆で手を合わせて、食事開始のお決まりの挨拶をする。

「美味しぃぃぃぃ・・・・・・・!」

「とても美味しいですわ」

「えへへ、有難う」

美味い、とても美味い。これなら何時嫁に出しても大丈夫だな。

 

 

「有難う、何時も手伝ってくれて」

「妹に任せきりにするわけにはいかないからね。それに、僕に出来るのはこれ位しかないから」

食事後、僕と千尋は食器を洗っていた。ダイヤちゃんは勉強、ルビィちゃんはお風呂に入っている。

「今度色々教えてあげるよ。もしも姉さん一人、何てことがあってもいいように」

「有難う。僕もそろそろ一人暮らし出来る位の力は身に付けないと」

「姉さん、浦女を卒業したら、この家を出るの?」

「うーん・・・・、今は特に考えてはいないけど、行く行くは出なければいけないからね」

「そうだね、私達は居候だからね。最近ダイヤちゃんやルビィちゃんと姉妹になれたなって思ってたけど、今居候だって思い出したよ」

「いくら二人に、「二人は姉妹だよ」って言われても、やっぱり赤の他人なんだよ、僕達は」

「姉さん、その言葉・・・・」

「うん、あの時言われた言葉」

「まだ覚えてたんだ」

「こんな素敵な言葉、忘れられるわけないよ」

僕達は食器を洗いながら、そんな話をしていた。

 

 

 

「ダイヤちゃん、話って?」

お風呂から上がった後、ダイヤちゃんに話があると言われた。それで今は、ダイヤちゃんがお風呂から上がってきて、僕の部屋に入って来たところ。

「実は、浦の星に転校生が来たのですわ」

「えっ、そうなの?何年生?」

「2年生ですわ」

「でも、どうして態々(わざわざ)伝えに?」

「こんな事は滅多に無いので、報告しておこうと思いましたの」

「そっか、有難う」

「いえ、明日は学校に来れるんですの?」

「うん、行けるよ。千尋も行ける」

「そうですか。それと、おめでとうございます。お母様に勝てて良かったですね」

「うん。それじゃあ、明日も早いし、おやすみ」

「ええ。おやすみなさい」

ダイヤちゃんが部屋から出て行った後、部屋の電気を消してベッドに入った。

「2年生・・・・、千歌ちゃん達のクラスだな」

僕は、さっきダイヤちゃんが話していたことを思い出した。

「どんな子なんだろう・・・・、会ってみたいな・・・・」

僕は学校で会えることを祈り、眠りについた。

 

 

 

「お断りしますわ!」

僕はあの時と同じ様に、ダイヤちゃんの隣に座って話を聞いていた。

「こっちも⁉」

「やっぱり・・・・」

二人共そんなことを呟いた。多分、スクールアイドルの事で色々苦労してるんだろうな・・・。

「5人必要と言ったはずです」

ダイヤちゃんは、申請書を指で叩きながら指して言った。

「それ以前に、作曲はどうなったのです?」

「それは、多分、(いず)れ、きっと・・・・・、可能性は無限大!」

千歌ちゃん・・・・、それはいい加減過ぎるよ・・・・・。

「で、でも、最初は3人しかいなくて、大変だったんですよね"ユーズ"も」

その時、ダイヤちゃんの眉が動いた。ああ、不味い・・・・。何か嫌な予感。

それに、ユーズって、間違ってるよ。

「知りませんか?第2回ラブライブ!優勝、音ノ木坂学院スクールアイドル"ユーズ"!」

ダイヤちゃんの指を叩く力が強まってる!ああ、キレちゃうよ!

あっ、止まった。ヤバイ。

「それはもしかして、μ’s(ミューズ)のことを言っているのではありませんですわよね・・・・?」

ダイヤちゃんは席を立ち、窓の方に向きながら言った。

「あっ、もしかして、あれミューズって読むーーーーーーー」

「おだまらっしゃーーーーい!!」

ダイヤちゃんが叫んだ。これは、語りだすな。

「言うに事欠いて、名前を間違えるですって!はぁ⁉」

ダイヤちゃんは千歌ちゃんに迫った。

「μ’sはスクールアイドル達にとっての伝説、聖域、聖典、宇宙にも等しき生命の源ですわよ!その名前を間違えるとは、片腹痛いですわ・・・・・」

「ち、近くないですか?」

ダイヤちゃんは、千歌ちゃんの眼前にまで迫っていた。それは流石に近すぎるよ・・・・。

「ふん、その浅い知識だと、偶々見つけたから軽い気持ちで真似をしてみようとか思ったのですね?」

「そんなこと・・・・」

「ならば、μ’sが最初に9人で歌った曲、答えられますか?」

ダイヤちゃんはμ’sについてのクイズまで出してきた。語りだすと止まらないんだよなぁ・・・・・。

「え、えっと、はっ」

「ブー!、ですわ。『僕らのLIVE 君とのLIFE』、通称『ぼららら』。

次、第2回ラブライブ!予選で、μ’sがA-RISE(アライズ)と一緒にステージに選んだ場所は?」

立て続けに問題を出すダイヤちゃん。もうやめさせた方が・・・・・。

「ダイヤちゃん、もうその辺で・・・・」

「聖さんは黙っててください!」

「うん・・・・・」

「ステージ?」

「ブッブー、ですわ」

ダイヤちゃん、腰振っちゃってるよ・・・・。

「秋葉原UTX屋上、あの伝説と言われるA-RISEとの予選ですわ。

次、ラブライブ!第2回決勝、μ’sがアンコールで歌った曲は、」

「知ってる!『僕らは今の中で』!」

千歌ちゃんは答えを言った。だけど、ダイヤちゃんは千歌ちゃんの方を向いて不敵な笑みを浮かべた。え、違うの?

「ですが、曲の冒頭スキップしている4名は誰?」

「えー⁉」

「ブッブッブー!、ですわ!」

ダイヤちゃんが千歌ちゃんに再度迫った時、放送用のマイクの電源が入る音がした。だけどダイヤちゃんは気付いてない。

「『絢瀬絵里』、『東條希』、『星空凛』、『西木野真姫』、こんなの基本中の基本ですわよ」

「す、凄い・・・・」

いや、それ基本じゃないから!

「生徒会長、もしかしてμ’sのファン?」

「当たり前ですわ。私を誰だと・・・・、っ、っん、一般教養ですわ!一般教養!」

いや、一般教養でもないから!

「「えー?」」

千歌ちゃんと曜ちゃんは、二人揃って「ホントにー?」とでも言いたげな顔をしている。

実際にガチファンなんだけどね・・・・。

「と、兎に角、スクールアイドル部は認めません!」

ダイヤちゃんはそう、言い切った。

 

 

 

 

「「すいませんでした!」」

あの後、当然職員室に呼び出されて、事情を説明し、先生方に謝罪した。何で僕まで?

「まあ、誰にだって失敗はあるさ。次は気を付けろよ」

「はい、以後気を付けます・・・・」

「あっ、桐山は残れ。黒澤は戻って良いぞ」

「はい、失礼しました・・・・」

ダイヤちゃんはしょげながら職員室を去った。

「それで先生、何でしょうか?」

「ああ、出席日数の事なんだが、今年は3年生だ、行ける日は来いよ。以上、戻って良し」

「はい、有難う御座います」

「なあに、生徒の心配をするのは当然のことだ」

先生はそう言って、二カッと笑った。

 

 

 

僕の担任の林田高子(はやしだたかこ)先生は、1年の時からの担任で、孤立しがちな僕を支えてくれている。砕けた口調で生徒と接し、生徒からは話しやすいと人気がある。

「頑張んなきゃ・・・・、将棋も、学校も、ダイヤちゃん達のことも・・・・」

僕は秘かに決意を固めた。

「まずはダイヤちゃんを慰めないと・・・・」

僕は教室に向かって歩き出した。

全部やってやる、将棋も学校も、そして、ダイヤちゃん達に、

 

 

 

 

 

また『スクールアイドル』をやってもらう・・・・・!

 

 

 

 

 

 

 




厳密にはこれ、オリジナル回と言うより、元の話にオリジナルの話を追加しただけですね。
決意を固めた聖、果たして、幼馴染達に無事、またスクールアイドルをやってもらえることはできるのか?
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