「とんだ
「まあまあ、そんなに落ち込むことないって」
「流石の私でも、これは大いに落ち込みますわ・・・」
「ダイヤちゃん・・・・」
今僕は、落ち込んだダイヤちゃんを励ましていた。
さっきの放送で、ダイヤちゃんがμ’sの大ファンであることが、学院中に知れ渡ったのだ。でも、さっきから「黒澤さんて、スクールアイドルが好きだったんだ。以外」等という声が聞こえているから、
「ダイヤちゃんのイメージが、とても良い方向に変わったと思うんだけどなぁ」
「いけませんわ!黒澤の娘たるものが、こんなことでは生徒達に示しがつきませんわ!」
「うーん・・・・、でも、そのお陰で、『近寄り難い』っていうイメージが
「っ・・・・・・」
僕の言った事は正論だったのか、ダイヤちゃんは黙り込んでしまった。
数日後
夕方、気分転換に島郷海水浴場を散歩していた。
「ん?この声は・・・・」
よく見ると、先の方に3人の女の子が居た。
「あれは・・・・、千歌ちゃんと曜ちゃん?と・・・、えっ?」
あれって・・・・
すると、千歌ちゃんがこっちに近づいてきた。
「ひーちゃん!」
「あっ、千歌ちゃん。こんな所で何してるの?」
「ダンスの練習だよ。今、曜ちゃんと『梨子』ちゃんでやってたんだ」
その時、僕の頭の中の記憶が呼び覚まされた。
「梨子、ちゃん?」
「あっ、梨子ちゃんていうのは、この前転校してきた子でね。とても可愛くて、ピアノが出来る子なんだ!」
「そ、そうなんだ・・・・」
話していると、向こうから曜ちゃんと、梨子ちゃんがやってきた。
「あっ、聖ちゃん!どうしたの、こんな所で?」
「散歩だよ。ずっと部屋に籠って将棋を指しても疲れるしね」
「へえー」
「待ってよー、曜ちゃん・・・・」
後ろから、赤茶色の長い髪の子が走ってきた。
その子は僕の顔を見るなり、驚いた顔をした。
「ひ、『ひーちゃん』?」
「梨子ちゃん?」
「やっぱり!ひーちゃんだ!久し振り!」
再会を喜んでいると、曜ちゃんが問いかけてきた。
「二人共知り合い?」
「うん、東京に居た頃の幼馴染なんだ」
「「えっ、そうなの⁉」」
千歌ちゃんと曜ちゃんは、驚きの余り全く同じタイミングで、同じ
「そういえば引っ越す前に、静岡の知り合いの所に行くって、言ってたよね」
「うん。まさか2年の転校生が君とは思わなかったよ」
「えっ、知ってたの?」
「友達に聞いたんだよ。2年に転校生が来たって」
「そうなんだ。これからも宜しくね」
「うん、宜しく」
「あの・・・・」
「何?」
梨子ちゃんが話し終えた所で、千歌ちゃんが話し掛けてきた。
「ひーちゃんって、東京の人だったの?」
「そうだよ。ごめん、言ってなかったね」
「
「ひーちゃんと千歌ちゃん達は、どういう関係なの?」
「ここに来てからの幼馴染だよ」
「そうなんだ。よかった、友達がいて」
「どういうこと?」
千歌ちゃんが聞く。えっ、それ聞く?
「ひーちゃんと千尋ちゃん、東京に居た頃は将棋ばっかりで、私以外に友達がいなかったのよ」
「聖ちゃんとちーちゃん、東京に居た頃も友達がいなかったんだ・・・・」
曜ちゃんが苦笑いで言う。
「ハハハ・・・・、どうも人付き合いが苦手でね。気軽に話せるのは、梨子ちゃんしかいなかったんだ」
「そうだったんだ・・・・・。そうだ!ひーちゃん、練習見ていかない?」
「えっ、いいの?」
「うん!ひーちゃんに見て欲しいんだ!」
「分かった。僕も、君達が今何をしているか見たいしね」
僕は、3人のダンス練習を見させてもらうことになった。
暫くして、ダンスが中断されて皆でスマホを見る。どうやら動きの確認らしい。
「どう?」
「大分、良くなってきている気がするけど・・・・」
「でも、ここの蹴り上げが皆弱いのと、ここの動きも!」
「うわぁ、ホントだ・・!」
「流石ね、直ぐ気付くなんて」
「高飛び込みやってたから、フォームの確認は得意なんだ。リズムは?」
「大体良いけど、千歌ちゃんが少し遅れてるわ」
「私かー!」
ふと、千歌ちゃんは空を見て、こんな声を出した。
「ん?」
空を見ると、ピンクのヘリが飛んでいた。
「何、あれ?」
「「小原家のヘリだね(だな)」」
「小原家?」
「淡島にあるホテル経営してて、新しい理事長も、
「へぇー」
驚きつつもヘリを見ていると、心
「何か、近づいてない?」
「気の所為よ」
「でも・・・・」
曜ちゃんがそう言った数秒後、ヘリは
「「「「うわぁ!」」」」
「何々?」
「(一体、何なんだ?)」
ヘリが地面に近くなり、ドアが開く。そこから見えたのは・・・・
「チャオ~☆、・・・・えへっ」
僕の幼馴染だった。
翌日 生徒会室
「何だって、鞠莉ちゃんが新理事長?」
「ええ、昨晩突然メールを
そう言って、ダイヤちゃんはスマホを見せてくれた。
差出人:小原鞠莉
宛先:黒澤ダイヤ
件名:久し振り
ハーイ、ダイヤ。元気にしてた?突然だけど、明日浦の星に転校するわ!
それと、明日から私が新理事長だから。宜しくね~。
「相変わらず唐突だな・・・・」
「聖さん、行きますわよ」
「うん」
僕
扉の前まで来ると、話し声が聞こえた。中からは千歌ちゃん達の声も聞こえる。
ダイヤちゃんがノックして「失礼します」と言って開けると、
「しかーし、この学校の3年生、生徒兼理事長!カレー牛丼みたいなものね!」
は?
「例えがよく、分からない」
其処は梨子ちゃんに同意だよ。
「分からないの⁉」
「分からないに、決まってます」
あれ⁉ダイヤちゃん、何時の間に其処に⁉
「生徒会長?」
「Oh~!ダイヤ久しぶり~!随分大きくなって~」
君は久しぶりに甥か姪に会った、親戚のおばさんか!
「触らないで頂けます?」
ダイヤちゃんは嫌がっているみたい。そりゃそうだよね・・・・。
「胸は相変わらずね~」
鞠莉ちゃんはダイヤちゃんの胸を触りながら言った。何でそういう事に抵抗が無いの?
「
「It'joke!」
鞠莉ちゃんは此方に振り向く。
「あっ、聖!聖も昨日振り!」
「えっ⁉あっ、うん・・・・」
「全く、一年の時に居なくなったと思ったら、こんな時に戻ってくるなんて、一体
「シャイニー!」
鞠莉ちゃんはカーテンを思い切り開けて、そう叫んだ。
鞠莉ちゃん、話し位聞きなよ・・・・・。
「人の話を聞かない癖は、相変わらずのようですわね」
ダイヤちゃんは鞠莉ちゃんのネクタイを引っ掴んでそう言った。
首を絞めないようにね?
「It'joke!」
何でもジョークで片付けちゃ駄目だよ・・・・。
「兎に角、高校3年生が理事長なんて、冗談にも程がありますわ」
いや、それが冗談じゃないんだよね・・・・。
「そっちはjokeじゃないけどね!」
鞠莉ちゃんは
それは、鞠莉ちゃんが理事長になったことを証明する任命状だった。僕は昨日千歌ちゃん達が帰った後、その場に残って少し話した。その時に見せてもらったので、驚いてはいない。
「は?」
「私のホーム、小原家のこの学校への寄付は、相当な額なの」
あのホテルを経営している小原家なら、十分そんなこと出来る。
「はっ・・・・!」
ダイヤちゃんは信じられない様子でその任命状を見る。
「嘘・・・・・」
千歌ちゃんも驚いてる。
「そんな!何で⁉」
「実は、この浦の星にスクールアイドルが誕生したという噂を聞いてね」
「まさか、それで?」
「そう!ダイヤに邪魔されちゃ可哀想なので、応援しに来たのです」
「ホントですか⁉」
「YES!このマリーが来たからには、心配ありません。デビューライブはアキバデュームを用意してみたわ」
鞠莉ちゃんはノートパソコンを持って、表示されている画像を見せた。
えっ⁉嘘だろ⁉
「はっ!そ、そんな⁉
「き、奇跡だよ!」
すると、鞠莉ちゃんはノートパソコンを閉めて言った。
「It'joke!」
「ジョークの為に、
「実際には・・・・、えへっ」
所変わって、此処は体育館。僕は、体育館の後ろの扉から覗いていた。
「ここで?」
曜ちゃんの一声が、体育館に響く。
「はい。此処を満員に出来たら、人数に関わらず、部として承認してあげますよ」
「「「はっ・・・・・!」」」
「ホント⁉」
「部費も使えるしね」
「でも、満員に出来なければ?」
そうだ、満員に出来なければどうなるんだろう?
「その時は、解散してもらう他ありません」
そりゃそうだよね・・・・。想像はついてたけど。
「えっ、そんな・・・・」
「嫌なら、断って貰っても結構ですけど?」
千歌ちゃんは困惑した表情を見せる。
でも、千歌ちゃんならきっと・・・・
「どうします?」
「どう、って?」
「結構広いよね、此処。やめる?」
出た!曜ちゃんの煽り!
「やるしかないよ!他に手があるわけじゃないんだし!」
「そうだね!」
「OK。行うということで、いいのね?」
鞠莉ちゃんはそれだけ言うと、体育館から去って行った。
さて、僕も行こうかな。
「待って」
え?
「ん?」
「この学校の生徒って、全部で何人?」
「えーっと・・・・、あっ!」
そういうことか!鞠莉ちゃんもやるね。
「何々?」
「分からない?全校生徒、全員来ても・・・・、此処は、満員にならない」
「嘘・・・・・」
「まさか、鞠莉さんそれ分かってて・・・・」
千歌ちゃん達は、途方に暮れていた。
「ただいま・・・・」
「お帰り、姉さん。遅かったね」
「うん。今日は、千歌ちゃんの家の前の砂浜に寄って来たんだ」
「姉さん、本当に海とか川とか好きだね」
「見ていると、心が落ち着いて、集中して将棋を指すことが出来るんだ」
「私は、山や林が好きだな」
「姉妹揃って、自然が好きなんだな」
「そうだね」
部屋に入ると、制服から私服に着替えて、将棋盤を出す。
そして僕は、一人で将棋を指し始めた。因みに今は、更に集中するために和服を着ている。これは母さんが着ていた物で、死後、母さんから受け継いだものだ。千尋も、色は違うが、同じ和服を持っている。
「(鞠莉ちゃんはあれだけ千歌ちゃん達に協力してるから、多分、いや絶対またやりたい筈!ダイヤちゃんにも果南ちゃんにも、またスクールアイドルをやって欲しい。だけど、如何すればいい?如何すれば、あの二人の頑なに閉ざした心を開くことが出来る?)」
考えていると、ノックの音がした。
「姉さん、入って良い?」
「うん。いいよ」
入って来たのは、千尋だった。
「どうした?何か用か?」
「姉さん、何か悩んでる?」
「うん。ダイヤちゃん達の事でね」
「ダイちゃん達・・・・・・?、あっ、もしかしてスクールアイドル?」
「何で分かったんだ?」
「入学式の日に、せんちゃんに勧誘されたんだよ」
「あっ、もしかして、あの日向こうに走って行った4人の内の一人って・・・・」
「うん、私だよ。よっしーを追い掛けて、はーちゃんが走り出して、それをルーちゃんが追い掛けるから、私も慌てて追い掛けたんだよ」
「えっ、ヨハネちゃんも入学してたの?」
「うん。大方、沼津の友人に会いたくないから入学したんだろうね」
「そうか、ヨハネちゃんも浦女に居るんだ・・・・」
「でも、今は来てないよ?入学式の自己紹介で失敗して、教室を飛び出したっきり来てないんだ」
「そ、そうなんだ。来れるといいね・・・・」
「話が逸れちゃったね。それで、ダイちゃん達にまたスクールアイドルをやってほしいんでしょ?」
「うん。鞠莉ちゃんは積極的に千歌ちゃん達に協力してるから、鞠莉ちゃんは良いとして、あの二人は頑固だからな・・・・」
「まーちゃんは分かるよ。一緒にやりたかったのに、急に冷たく突き放されて、その幸せを取り戻したいから、必死になってるんだと思うよ。だけど、ダイちゃんとかなちゃん、特にかなちゃんが厄介だね。誰よりもまーちゃんの事を思っていたから」
「僕も果南ちゃんが一番大変だと思う。ダイヤちゃんも、好きな物を好きと言えないから、辛いだろうな」
「私も分かるよ、ダイちゃんの気持ち。姉さんも分かるよね?」
「うん、分かる。僕達も将棋を否定されて、好きになれなかった時があったから・・・・」
「でも、ダイちゃん達のお陰で、吹っ切ることが出来た。今度は、私達がダイちゃん達を助ける番だよ」
「ああ、そうだな。そうだよな。大切な親友達が苦しんでる姿なんて、見たくない」
「姉さん、絶対助けようね。昔の誓い、忘れてないよね?」
「覚えてるとも、ダイヤちゃん達に言った、あの誓い」
「「僕(私)が助けられたから、今度は僕(私)が助けるよ」」
「覚えてたね」
「忘れないよ。絶対に」
「助けようね。姉さん」
「ああ、絶対に助ける」
「「親友達を!」」
僕と千尋は、昔の誓いを、もう一度固く誓い直す。
"絶対に親友達を助ける、何があっても"と。
親友達を守ると誓った聖と千尋、彼女達はダイヤ達を守ることが出来るのか?
次回は新キャラ登場⁉