プロ棋士はスクールアイドル   作:フユニャン

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今回はルビィ達の加入回!


Chapter7 みんなの気持ち

ある日の夕方、何時(いつ)もと同じ様に将棋を指していると、千尋がやって来た。

「姉さん、ちょっといい?」

「何だい?」

「今日さ、ルーちゃんとひなと一緒にスクールアイドル部の様子を見てきたんだ」

「どうだったの?」

「承認されて、体育館の空き部屋に部室作ってたよ。それでさ、そのあと図書室に行って、はーちゃんにその事を話していたら、せんちゃん達が来て、また勧誘されたんだ」

「それで、何て?」

「ルーちゃんとはーちゃんは自分なんか無理だとか言って、断ってた。私とひなは入るって言った。(つい)でに二人も入れる約束をして」

「そうなんだ。ルビィちゃんが入らないって言うのも、無理ないよな。ダイヤちゃんを誰よりも思っているあの子の事だ、きっと自分も嫌いにならないといけないと思っているんだろ」

「だろうね。全く、二人揃って手の掛かる姉妹だね」

「だね。ところで、何で千尋は入るって言ったんだ?柄じゃ無さそうなのに。ひなちゃんは好きだからやるだろうけど」

「姉さん、私だって将棋と同じ位スクールアイドルは好きなんだよ。好きなことをやるのに、躊躇(ためら)う必要なんてないんだよ」

「へえ・・・・・・(し、知らなかった・・・・・、こんなに好きだったなんて)」

「μ’sの曲教えてあげるから、聞いてみなよ」

「有難う。ルビィちゃんと花丸ちゃんの入部、頑張ってね」

「有難う」

千尋は部屋を出ようとした所で、振り返ってこんなことを聞いてきた。

「姉さんも、スクールアイドルやってみない?」

その質問に対して、僕はこう返す。

「いや、遠慮しとくよ。対局で忙しいし、それに、僕こそ柄じゃないから」

「ふーん・・・・・」

千尋は真顔でそう言って、部屋を出て行った。

「本当は、一緒にやりたいんだけどね・・・・・、三人と一緒に」

そう呟いて、また将棋を指し始めたのだった。

 

 

 

客間に行くと、ルーちゃんが奥の方で雑誌を読んでいた。

「ルーちゃん、何読んでるの?」

「あっ、ちーちゃん。スクールアイドルの雑誌だよ」

「μ’sの特集だ。一緒に見てもいい?」

「うん!」

そうして読んでいると、突然ルーちゃんが思いを馳せる様に横を見た。そして、何かを掴むように手を伸ばした。

「ルーちゃん?」

「あっごめん。ちょっと、昔の事思い出してた」

「昔?ああ、ダイちゃんも居たね。この部屋に」

ルーちゃんが思い出していたことは察しが付く。多分、ダイちゃんとの思い出だろう。

「ごめんね、続き読も!」

「うん」

その時、(ふすま)の陰からダイちゃんが此方(こちら)を覗いているのを見たが、何も言わないことにした。ダイちゃんは直ぐに去って行った。

 

 

 

 

 

翌日

「ええっ⁉スクールアイドルに⁉」

私とひなは、遠巻きにルーちゃんとはーちゃんを見ていた。ひなも二人を入部させるのに協力してくれるらしい。

「うん」

如何(どう)して?」

「如何してって、やってみたいからだけど、駄目?」

「全然!(ただ)、花丸ちゃん興味とかあんまり無さそうだったから・・・・」

「いや、ルビィちゃんと一緒に見ている内に、いいなぁって・・・。だから、ルビィちゃんも一緒にやらない?」

「ルビィも⁉」

「やってみたいんでしょ?」

「それは、そうだけど、人前とか苦手だし、お姉ちゃんが嫌がると思うし・・・・」

「そっか、じゃあこうしない?」

ん?はーちゃん、一体何を言うつもりなんだ?

はーちゃんは立ち上がると、ルーちゃんの耳元で何か言った。

「体験、入部?」

そうか、そういうことか。

「体験入部か、成程(なるほど)ね」

ひなも納得している。

 

 

 

 

時間は進んで、今は放課後のスクールアイドル部部室。

「本当⁉」

「はい」

「宜しくお願いします!」

「やったぁ、うぅ、やったぁ・・・・」

せんちゃんは外に続く扉を開けて外に出た。えっ、せんちゃん?

「やったぁーーー!」

凄い跳躍力・・・・・。と思ったら、直ぐに部室に戻った。

「これでラブライブ!優勝だよ、レジェンドだよぉ」

あれ、何か勘違いしてない?

「千歌ちゃん待って、体験入部だよ?」

「あっ」

「要するに、仮入部っていうか、お試しってこと。それでいけそうだったら入るし、合わないって言うならやめるし」

「そうなの?」

「いや、まぁ、色々あって・・・・」

「もしかして、生徒会長?」

あれ、せんちゃん?

「あ、はい。だから、ルビィちゃんと此処に来たことは内密に・・・・」

はーちゃんの話を聞きながらせんちゃんを見ていると、ビラに何か書いている。

「よっ、出来たぁ」

ビラを見ると、二人の名前が書かれていた。せんちゃん・・・・・。

「千歌ちゃん、人の話は聞こうね・・・・」

「へっ?」

「へっ、じゃなくて、二人はまだ入部してないんだから、勝手に名前を書いちゃだめだよ、せんちゃん・・・・」

「あっ、ごめん・・・・・」

「じゃあ取り敢えず、練習やってもらうのが一番ね」

 

 

そして説明の時間。

「わぁ・・・・・!」

「色々なスクールアイドルのブログを見て、作ったの」

「曲作りは?」

「それは、別に時間を見付けてやるしかないわね」

「本物のスクールアイドルの練習・・・・・!」

ルーちゃんは感激してる、良かった。

「でも、練習何処でやるの?」

「あっ」

 

 

「中庭もグラウンドも一杯だね・・・・。部室もそこまで広くないし」

「砂浜じゃ、駄目なの?」

「移動の時間考えると、練習場所は、出来たら学校内で確保したいわ」

外に出て練習場所を探すも、何処(どこ)も他の部活が使っている。何処で練習すれば・・・・、

あっ。

「屋上・・・・」

「ちーちゃん?」

「屋上は駄目ですか?」

私が呟いた所に、ルビィがそう言った。如何やら同じことを思い付いたみたい。

「屋上?」

「そうだよ。μ’sは何時も、屋上で練習してたらしいし」

ルーちゃんの言葉に続いて、私も言う。

「そうか!」

「屋上かぁ」

「行ってみよう!」

 

 

「うわぁぁぁぁ!すっごぉぉぉい!」

「富士山くっきり見えてる」

「でも日差しは強いかも・・・・」

「それが良いんだよ。太陽の光を一杯浴びて、 海の空気を、胸いっぱいに吸い込んで・・・・・・、温かい・・・・・」

皆でしゃがんで、地面に手を付く。確かに温かい・・・・・。

「ホントだ・・・・・」

「んぅ~、気持ち良いずらぁ~」

「花丸ちゃん?」

ルーちゃんがはーちゃんの頬を軽く突くと、気持ち良さそうに身じろぐ。

「さぁ、始めようか」

そして皆で手を合わせる。

「じゃあいくよ、Aqours、」

「「「「「「「サンシャイーン!」」」」」」」

 

 

 

「ワンツッスリーフォー、ワンツッスリーフォー・・・・・・」

今はせんちゃんとルーちゃんが踊っている。この前のライブのダンスだ。

よーよーの手拍子が止まった。

「出来た・・・・・!」

「流石ルビィちゃん」

「出来ました!千歌先輩!」

「ほぉ・・・・・、あっ」

せんちゃんは全く違うポーズを取っていた。せんちゃん、何してんの?

「あれ?」

「千歌ちゃんはやり直し」

 

 

 

 

「今日までって約束だったはずよ」

「思い付かなかったんだもん」

部室に戻ると、せんちゃんとりーちゃんが何やら言い合っていた。

「何か、あったんですか?」

「ああ、新しい曲、今作ってて」

「花丸ちゃんも、何か思いついたら言ってね。あと、ちーちゃんとひなちゃんも!」

「はぁ・・・・・」

「ひっ、ひっ、ふっ。ひっ、ひっ、ふっ・・・・」

隣を見ると、ルーちゃんが軽くリズムを取って、小さくダンスの練習をしていた。

 

 

 

 

所変わって、淡島神社に続く石段前。

「これ、一気に上ってるんですか?」

「勿論!」

「何時も途中で休憩しちゃうんだけどねぇ」

「うっ、えっへへ・・・・・」

「でも、ライブで何曲も踊るには、頂上まで駆け上がるスタミナが必要だし」

「じゃあ、μ’s目指して、よーい、どーん!」

まぁ、何時もひなと休日に一緒に走ってるから、これ位余裕なんだけどね。

 

 

ルーちゃんとはーちゃんを見守る為に、ひなと後ろを走っていると、はーちゃんが途中から歩きになった。

「花丸ちゃん?」

上を見ると、心配したのか、止まっているルーちゃんが居た。

「如何したの?」

「あっ、ちょっと息が切れちゃって、先行ってて下さい」

「無理、しないでね」

よーよーは走って行ってしまった。

「ルビィちゃん?」

「一緒に行こう」

「駄目だよ・・・」

「えっ」

これは・・・・

私はひなの耳元でこう囁いた。

「ひな、先行っててくれ」

「えっ、何で?」

「多分、はーちゃん降りる。暫くは私も一緒に行って、少ししたらまた戻って後を付ける。せんちゃん達に、用事があるから、先に帰ったって言っといて」

「分かった」

会話を終えると、二人の話に耳を傾けた。

「ルビィちゃんは走らないと・・・・・」

「花丸ちゃん?」

「ルビィちゃんは、もっと自分の気持ち大切にしなきゃ・・・・」

それは君にも言える事じゃないのかい?

「自分に嘘ついて、無理に人に合わせても、辛いだけだよ」

「合わせてるわけじゃ・・・・・」

「ルビィちゃんは、スクールアイドルになりたいんでしょ?」

「っ・・・・・・」

「だったら、前に進まなきゃ」

「・・・・・・」

「さぁ、行って」

「で、でも・・・・・・」

「さぁ・・・・」

「・・・・・・、うん!」

ルーちゃんは決心したのか、笑顔になって走り出した。

「行こうか」

「うん」

私達も走り出した。

案の定、はーちゃんは付いて来なかった。そしてルーちゃんに気付かれないように戻りだした。

 

 

 

ちーちゃんが抜けた後も、私は後ろを走り続けていた。

「はぁ、はぁ・・・・・・、やった、やった・・・・」

「凄いよルビィちゃん!」

「見て」

(ほこら)の向こうを見ると、綺麗な夕焼けが広がっていた。

「わぁ・・・・・!」

「やったよ、登り切ったよーーーーーーーー!」

千歌ちゃんの声が淡島中に響いた。

 

 

 

石段の途中で、はーちゃんが止まった。こっちを振り向いたので、慌てて茂みに隠れた。

「何ですの、こんな所に呼び出して」

この声は、ダイちゃん?

私はスマホを取り出し、RECモードにした。後でまた見たいからだ。

「あの、ルビィちゃんの話を・・・・・・・・、ルビィちゃんの気持ちを聞いてあげて下さい」

「ルビィの?」

はーちゃんはそれだけ言うと、降りて行ってしまった。

「あっ・・・・・・」

私はそのまま隠れて録ることにした。

 

 

 

「そんなの、分かってる・・・・」

私はさっきまでの花丸さんとの会話を思い出していた。

『ルビィちゃんの話を・・・・・・・・、ルビィちゃんの気持ちを聞いてあげて下さい』

それに対する答えなんて、とっくに分かってる。あの子には、私という(しがらみ)所為(せい)で、辛い思いはさせたくないから・・・・・。

「お姉ちゃん?」

聞きなれた声に振り向くと、其処(そこ)にはルビィとあの2年生の生徒達、そして日向さんが居た。

「ルビィ?」

「ダイヤさん、何で此処(ここ)に・・・・・・」

「これはどういう事ですの?」

私は何時もの冷たい声で言葉を発する。

「あの、それは、その・・・・・」

「違うんです。ルビィちゃんは」

「千歌さん」

ルビィは千歌さんの言葉を遮ると、私の近くまで寄って来た。

「お姉ちゃん、ルビィ、ルビィね・・・・・」

 

 

 

翌日

「良かったね、やっと希望が叶って」

生徒会室に鞠莉ちゃんがやって来た。この言葉の意味は、察しが付く。昨日千尋から話とスマホのビデオを見せて貰ったのだ。因みにそのデータは、千尋からスマホに送って貰った。

「何の話ですの?」

全く、(とぼ)けちゃって。

 

 

 

一方その頃、スクールアイドル部では。

「宜しくお願いします」

「宜しくね」

「はい!頑張ります!」

「そういえば、国木田さんは?」

 

 

 

「はぁ、全く。外から部室覗いたけど、やっぱり居なかったな」

「花ちゃん、このままだと入部しないつもりなんじゃ・・・・・」

「それを私達で止めるんだよ」

「そうだね」

今私達は、図書室に向かっている。はーちゃんは何時もあそこに居るから。

図書室に入ると、案の定はーちゃんが居た。

「ちーちゃん、日向ちゃん⁉如何して此処に?」

「説得しに来たんだよ」

「説得って・・・・・」

「一緒にスクールアイドル部に入って欲しいんだ」

「む、無理だよ。オラは運動できないし・・・・・」

「じゃあその雑誌は?」

私は引き出しの中に入っている、スクールアイドルの雑誌を指差した。

「こ、これは・・・・・・」

「興味があったから、買ったんじゃないの?」

「・・・・・・・・」

「花ちゃん、自分の心に正直になりなよ。本当は、ルビィと一緒にスクールアイドルをやりたいんじゃないの?」

「べ、別にやりたいなんて・・・・・」

「ルビィは、花ちゃんと一緒にやりたいんだよ!ルビィにとって花ちゃんは、それだけ大切な存在なんだよ!何でその気持ちに応えてあげないの?花ちゃんにとってルビィは、大切な存在じゃないの?」

「ひな・・・・・・」

珍しい、普段はこんなに声を張り上げて怒ること無いのに。

「大切な存在だよ!」

「「!」」

「凄く大切だよ!でも、オラはそんなに可愛くないし、スクールアイドルになんて、向いてないよ・・・・・」

全然そんなこと無いのに・・・・・・。

「私は、十分可愛いと思う。(むし)ろ、私の方が可愛くない!でも、私は好きなことがしたいから、スクールアイドルをやる!」

「ちーちゃん・・・・・」

「それに、可愛いと思っているのは私達だけじゃないよ」

「えっ?」

扉の前には、いつの間にかルーちゃんが立って居た。

「ルビィちゃん⁉」

「ルビィね!・・・・・・、ルビィね、花丸ちゃんのこと見てた!ルビィに気を遣って、スクールアイドルやってるんじゃないかって、ルビィの為に、無理してるんじゃないかって、心配だったから・・・・・・」

ルーちゃんは、思いの丈をはーちゃんにぶつける。

「でも、練習の時も、屋上に居た時も、皆で話してる時も、花丸ちゃん、嬉しそうだった」

「・・・・・・・」

「それ見て思った、花丸ちゃん好きなんだって、ルビィと同じくらい好きなんだって、スクールアイドルが」

「マルが?まさか・・・・・」

「じゃあ、何でその本そんなに読んでたの?」

「それは・・・・・・」

そしてルーちゃんは、カウンターに回って来た。

「ルビィね、花丸ちゃんと一緒にスクールアイドル出来たらって、ずっと思ってた。一緒に頑張れたらって」

「それでも、オラには無理ずら。体力無いし、向いてないよ・・・・」

「そこに写ってる凛ちゃんもね、自分はスクールアイドルに向いてないって、ずっと思ってたんだよ」

「でも好きだった」

りーちゃんの声がしたので扉の方を向くと、何時の間にかせんちゃん達も来ていた。

「やってみたいと思った。最初はそれでいいと思うけど?」

そしてせんちゃんは、はーちゃんに手を差し伸べる。

「ルビィ、スクールアイドルがやりたい、花丸ちゃんと!」

ルーちゃんが極め付けの一言を言った。

「マルに、出来るかな?」

「私だってそうだよ。一番大切なのは出来るかどうかじゃない、やりたいかどうかだよ!」

それを聞いて、遂にはーちゃんもせんちゃんの手を取った。それに続いて、ルーちゃんや皆、私も手を重ねる。

そしてその上に、はーちゃんがもう片方の手を重ねた。

 

 

 

 

「じゃあ行くよ、せーの」

カチッ

 

部室にて、せんちゃんがパソコンのエンターキーを押した。

画面には、『浦の星女学院 アイドル部 Aqours』と書かれている。たった今、Aqoursをランキングに登録したのだ。

「4999位・・・・・・」

「上に5000組もスクールアイドルが居るってこと?凄い数・・・・・」

ルーちゃんがそんなことを言っている横で、はーちゃんは張り切っていた。

「さぁ、ランニング行くずらー!」

「「「おー!」」」

また一人、部室に輝きが増えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 




Aqoursに加入したルビィ、花丸、千尋、日向。どんな風に歩んで行くのでしょうか?
次回は3月のライオンメインの回です。
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