異世界召喚された俺の魔剣が美少女だった件   作:ゲキガンガー

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続きを読みたい方はそちらでよろしくお願いします。毎日更新を予定しています。


17話

「うっ……うう」

 気を失っていたエリスさんの意識が戻ってきたようだ。彼女は目を覚ます。

「……ここは? 私は一体」

 しかし。一瞬にして自分がどのような状況に置かれているのかを理解したのだろう。目に恐怖の色が宿る。

「さあ。この女の命が惜しければその魔剣を捨てろ」

 そう、レオンは言った。何とも悪役の台詞らしい台詞だ。

「……くっ」

 仕方ないのか。そうするしかないのか。しかし、そうすれば俺はただの無力な人間になってしまう。相手が魔剣を再び手にしたとするならば、素手で勝てる相手ではない。俺は死ぬだろう。瞬く間に殺されてしまう。しかし、このままいう事を聞かなければ、エリスさんの命はないだろう。

「ま、待ってください! 私に構わないでください! 私の事はいい! ですからどうか父の仇を!」

 エリスさんはそう言っていた。

「黙ってろ! 安心しろ。この女の命は保証する。だから俺の言う通りにしろ」

 そう、レオンは言った。

 ――俺は迷った。しかし、こうなったら奴のレオンのいう通りにするしかないのか。

 仕方なく、俺は魔剣を、魔剣ラグナロクを地面に置きかけた。

 ――と。その時だった。

「その辺にしとけよ」

「ぐあっ!」

 背後から、棍棒のようなもので痛烈な一撃を兵士の男は受けた。気配を立った背後からの一撃。完全な不意打ちだったという事もあり、男は一瞬で昏倒をする。その隙にエリスさんの身が自由になった。

一撃を放ったのは盗賊団の長である少年――ロバートだった。

「ロバート……どうしてあなたが」

「……お前の事が気になってついてきたんだよ。無茶するんじゃないかって。そしたらすげー闘いが始まって、俺なんかじゃ全く手も出そうになかったから。しばらく様子を伺っていたんだが……役に立てたようでよかったぜ」

 そう、彼は言った。

「く。くそっ!」

 計算外の事が起こった事に焦ったのか、レオンは慌てて、魔剣グラムを拾おうとした。

「させるか!」

 俺は剣で斬りつける。鮮血が迸った。致命傷ではない。だが、それで十分だった。

「ひぃっ! 血が! 血が! 痛い! 痛い!」

 レオンは喚き散らす。もはや戦意は喪失したようだ。

「……レオン。あなたには前国王。父の暗殺容疑で法の下に処罰をします。覚悟してください」

 そう、エリスさんは言った。

 こうして、彼女の因縁は一応の決着を見せたようだ。そして、俺達のこの国での目的も達成した。しかし、彼女もまたその後やる事は多いにある事であろう。俺達もまた次の目的地へと向かう事になる。

 

 今回の後日談。

 とらえられた現国王レオンは数年前に行われた国王の暗殺容疑により、裁判が行われた。俺がいた現実社会とは異なり、随分とスムーズで大雑把な判決だった。中世レベルの文化レベルならばそういうものだろう。あえなく、レオンは極刑という事になり、法の裁きを受ける事になる。

 また。エリスさんは王妃として正式に即位する事になった。王となったのは盗賊団の長だったあのロバートという男だった。密に二人は想いを寄せていたらしい。盗賊から国王とは未だ見ぬ程の成り上がりだった。これからも二人は大変だろうとは思うが、俺は二人の幸運を祈っている。

「行かれるのですね?」

 そう。エリスさんは言った。

「……ええ」

 数日程、先日での闘いで負った傷を癒し、俺達は旅立つ事になる。俺達は別れの挨拶をする事になる。

「今回は本当にありがとうございました。あなた達のおかげです。これで父に顔向けができます」

 彼女はそう語っていた。

「……そうですか。別に俺達はあなたを助けたくてやったわけではありません。俺達は俺達の目的を果たしただけ。結果的にあなたを助ける事になったのかもしれませんが」

「それでもかまいません。結果として私は助けられ、救われた。その事実だけで感謝するには十分な事です」

「そうですか。ならよかったです」

「お気をつけて。あなた達の幸運を祈っています」

 彼女にそういわれ、俺達は次の目的地へと向かった。

 ――のだが。

 

「……ねぇ。カズキ」

 今までいた国を離れ、何もない荒野を歩いている時の事だった。

「なんだ?」

 不満そうな表情でラグナが言ってきた。何か文句があるかのようだった。一体、何が不満だというんだ。ただ、その原因ははっきりしていたし理解していた。

「……なんですか?」

 彼女はそういう。そう、彼女――魔剣グラムだ。可憐な少女の造形をしているが、彼女もまた魔剣ラグナロクのように普通の人間ではない。

 なぜ、彼女が俺達と一緒にいるのかというと。

「何かご不満でも?」

 彼女はそう聞く。彼女は同じ魔剣であるラグナに対して、敵愾心を持っているようだった。やはり近しい存在だからなのだろう。ライバル意識というか。

 ――そう。それは俺がレオンを倒した後の事である。魔剣グラムは持ち主を失った。

 そして、どうやら新たな持ち主として、俺を選んだらしい。

「新たな主様」

 彼女はそう俺に平伏する。

「……なんだ?」

「なんなりとご命令ください。私はあなたの道具であり下僕です。暗殺から身の回りのお世話から夜伽まで、何でも可能です」

「あ、暗殺……それに夜伽って!」

 俺は思わず顔を真っ赤にする。

「な、なにをいってるんだ! お前は! そういうのはな、お互いが愛し合い、結ばれてそれで初めてするものであって、その……そんな軽々しくしていいものではないんだ!」

 当然のようにDT(童貞の意)の俺はそういう事に免疫がなく、軽いパニックになってしまう。

「……そうですか。どうやら主様はそういった経験がないご様子」

 見透かされた様子。バレバレだったが。

「うっ、うるさい。お前はどうなんだよ?」

「主様は処女にしか性的興奮を覚えない。めもめも」

 メモを取られる。

「い、いや! そうじゃねぇよ!」

 会話になってない。

「ご安心ください。主様。私は処女です。前の主様はそういった事に無頓着でしたから。乙女に処女性を求める主様のご期待に応えられるという自負があります」

 胸を張って言われる。

「だから、そうじゃないって言ってるだろ! それに別に俺は乙女に処女性を求めてねぇ!」

「むーっ」

 それより、なんでだろうか。さっきからラグナの様子がおかしい。

 むくれたように頬を膨らませ、そっぽを向いている。

「カズキの浮気者」

「だ、だからなんでそうなるんだよ!」

 俺は叫んだ。

 こうして、俺達の賑やかな旅は今後も続いていく事になる。

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