何だか違うDB   作:パンチ拳血

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来るべき

 

 

「お、おのれ〜……」

 

 年老いたナメック星人の一人、ツーノが腕から流れ出る血を抑え睨み付ける。

 その先にいるのはフリーザ軍の兵士達。命令であるドラゴンボールの回収と、彼らの気晴らしの為にナメック星人の村を襲い、鬱憤を晴らしていたのだ。

 

「おいテメェ、ドラゴンボールを早く渡さねぇか!」

 

「そうだそうだ、命が惜しけりゃなぁ……」

 

 如何にも悪者らしい卑下た笑い声を上げながら、ナメック星人を取り囲む。

 

 今、この村には若いナメック星人がいないのだ。

 野良仕事に行ったばかりなので、残るは小さい子供と老人のみ。しかも相手側には上級兵士が数人固まっている。

 戦闘タイプでは無い彼らにとって子供がいる以上、無理に逆らう事は出来なかった。しかし、ドラゴンボールは渡してはいけない。

 

「殺されてぇのか!?」

 

 気の短い兵士の一人が、腕の武器を突き付ける。

 先程それを放ち、こちらが回避しなければ確実に当たり殺されていただろうと考えると、これは脅しでは無いのだろう。

 狙いはまだ年端もいかぬ子供。下手に動くと皆殺しにされるかも分からない。だとすればその子を生かす為に取るべき手段は一つしか無かった。

 

 

 

「待てッ! ……ドラゴンボールを渡す。だから、その子を撃たないでやってくれ」

 

 

 

 それを聞いた兵士達は皆ニヤリと顔を歪ませ、子供に狙いを定めた兵士も武器を下ろす。

 

「それでいいんだよ。ったく、手間かけさせやがって……」

 

 ツーノはドラゴンボールを兵士の一人に渡す。

 

「さぁ、これを持ってどこへなりと消えてしまえ……」

 

 ツーノがそう言うと、兵士のリーダー格が「はい撤収〜」と言うとナメック人に背を向け歩き出した。

 これで村人の命は守られたが、ドラゴンボールを奪われてしまった。「済まぬ」と顔を俯かせるツーノ。しかし仕方のない事だったのだ。

 

 

 

「あ〜っ!」

 

 

 

 兵士の一人がワザとらしく大声を上げると、兵士全員が立ち止まる。

 

「そういえばフリーザ様の御命令で、この星の生き物を皆殺しにするって事、すっかり忘れてたー」

 

 極悪の笑みを浮かべ、全員がナメック人の方へと振り向く。

 先程のあれは全て演技だったのだ。

 

 まさに外道。

 

 兵士全員が襲い掛かってくる。

 ナメック人全員は死を覚悟した。その時、

 

 

 

 一筋の、いや、二筋の光が兵士達に向かっていった。

 

 

 

 十数人いた兵士達が、一瞬にして半数以下になる。

 突然の攻撃に彼らは怯み、周囲を見渡す。見る方向は攻撃が来た方向。しかし、その方向には誰もいない。スカウターも反応しない。

 そんな訳が無いのだ。

 仮に今の攻撃がナメック星人のものだとしたら何故今まで反撃しなかったのだ? ドラゴンボールを奪われる前に、彼らを撃退できる程のパワーを持つ者が返り討ちにしてしまえば良い。

 

 彼らは困惑する。

 実はまだこの中に実力派が混じっているのではないのか、と。

 隙を狙い、又攻撃を加えるのではないか、と。

 

「ぐわっ」

 

 又一人倒された。今度はエネルギー波では無く恐らく打撃。

 確証が無いのだ。スカウターにも映らず、兵士を倒していく。まさか、戦闘力が皆無の者が敵だというのか。まさか、敵は亡霊的な何かだというのか。

 それとも裏切り者がこの中に……?

 

「おい、お前どうにかしろッ!?」

 

「どうにかって何だよ!?」

 

「クソ〜、どこからだ!」

 

 疑心暗鬼に囚われる。

 互いが互いに疑い始め、チームワークもクソも無い。そうなったら、もうお終いだ。

 

 

 兵士は皆、意識を刈り取られた。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

「上手くいきましたね」

 

「だな。これも最長老様のお陰か」

 

 クリリンとヤムチャは兵士達を片付けてそう言う。勿論スカウターは破壊した。

 ラディッツから聞いた様に、通信を通じて他の兵士達に自分達の居場所をバラされると厄介なので、バレずに兵士達を倒した訳だ。

 

 しかし、最長老と会う前の彼らでは出来なかっただろう。これも最長老が二人の隠されたパワーを引き出したお陰だ。

 その証拠に、以前ならば苦戦したハズの上級兵士達が苦にもならなかった。

 

「でも、なんかズルくありませんかね?」

 

「仕方がないだろ、こんな状況だし。しかもこの力は元々俺たちが持ってたもんだぜ? 大丈夫だって」

 

 クリリンはいきなり手に入れた力に困惑していた。喜びもあったが、今の様に戦ってみないと自分の全力がどれ位か分からない程に持て余していた。

 今までは長きに渡る修行をこなし、努力の末に手に入れてきた力だというのに、隠された力があると見定めされ、それを引き出してもらった。特に苦痛も無く手に入れてしまったので素直に喜んで良いか分からないのだ。

 

 ヤムチャはそこら辺は割り切っており、この間から新技を使う為に必要な気が足りないと嘆いていたので、今回の最長老からのこれは嬉しい誤算だったのだろう。あまり気にしてはいなかった。

 

「おぉ……旅の御方、危ない所を助けていただきありがとうございます」

 

 その声に二人はその方向を向くと、ナメック星人一同が頭を下げ御礼を言ってくれた。

 「いいですよ」とクリリンが。

 「当然の事をした迄です」とヤムチャが。

 最長老に言われたのもあるが、二人は理不尽な暴力に遭うナメック星人を助けてあげたいと思っていた。

 単なる同情かもしれない。だからと言って見過ごす事も出来ない。亀仙流にもある『弱きを助け強きを(くじ)く』、この習わしが骨身に()みているのだ。

 見返りを求めているのではない。唯助けたい一心で、彼らは動いているのだった。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

「___しかし、地球の人間ってのはお人好しが多いもんだ」

 

「全くだ。……ま、だからこそ俺たちは今生きているのだがな」

 

 少し離れた所でラディッツとナッパは地面の段差に腰掛けながら言っていた。

 彼らは助けるという行為をした事が無かった。仲間がピンチの時に、もしかしたら自分にも被害が及ぶと思い加勢するくらいのものだ。だからこそ、自ら進んで助けに行く二人を見ていると、自分達サイヤ人との違いがよく見て取れた。

 

 それは兎も角、何故二人は戦闘に参加しないのかと言うと、助ける事に疑問があるのもそうだが、単にフリーザに見つかるのを恐れているからだ。

 クリリンとヤムチャは気の使い方がとても上手く、その点はラディッツもナッパも足元にも及ばない。最初から気の使い方を知っている地球人と、希少な戦闘力のコントロールが出来る種族に驚いた彼らでは学ぶ時間が違い過ぎる。

 クリリンとヤムチャは気の隠し方がきめ細かく、違和感無く消す事が出来るので、そこら辺の兵士達ならば十分だと思い二人に任せていた。

 

 それともう一つ。

 

「な、何故貴方たちは襲うのでは無く、た、助けてくれるのですか?」

 

 小さいナメック星人、デンデが身体を震わせながらサイヤ人二人に聞く。このナメック星人はこの村を救う前に助けた村の子供であり、道案内の為ついて来たのだ。

 その子供の問いに、二人は無言だ。デンデはシュン……と顔を下げる。

 まぁ、無言の理由はナッパが面倒臭いから、ラディッツはドラゴンレーダーを見て難しそうな顔をして考え事をしているからなので特にその理由を考えて無かったからなのだが。

 

 ラディッツの考えていた事は、集まっているドラゴンボールの事である。

 自分達以外に集めている人物といえば、ベジータ一人である。しかも、ベジータらしき反応には既に三つのドラゴンボールが集まっており、今も高速で移動している。他に確認しているドラゴンボールはブルマの所に置いて来た一つにここにある一つだ。兵士からの情報によると、まだフリーザ軍にはドラゴンボールは集まっていないらしい。ならば……

 

 

 

「なんで、二つのドラゴンボールが動いてやがる……」

 

 

 

 ドラゴンレーダーには、ベジータと思われる反応と同じ位のスピードで移動している二つのドラゴンボールの反応があった。

 意外にも、それは結構近くを移動している。近付いて確認出来ればその正体を掴めるのだが、危険である事は間違い無い。

 取り敢えず、全員が揃ったら話せば良いと思い、クリリンとヤムチャが戻って来るのを待つ事にした。

 

 が、その瞬間とても大きく、邪悪な気を感じ取った。

 

「ま、まさか、この気は……!?」

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 フリーザの母艦近くに降り立った7つの宇宙船。それはフリーザが呼んだギニュー特戦隊とある兄弟だった。

 それを待っていたのは他ならぬフリーザ。宇宙船から出てくるのを見て口が三日月の様に吊り上がる。

 

「来てくれましたか。待っていましたよ?」

 

 フリーザの声が屋外だというのにはっきりと伝わってくる。まるで耳元で囁きかける悪魔の様に。

 しかしその言葉を受けた者達は、恐怖を感じる所か人を食った様な顔で笑みを浮かべ整列している。

 

「今回貴方達を呼んだのは、ベジータとその他の邪魔者の排除、及びドラゴンボールの回収をお願いしたいのです」

 

 その言葉にギニュー特戦隊の隊長であるギニューが答える。

 

「ハッ、貴方様の御命令とあらば何なりと……それにしてもベジータはやはり裏切りましたか」

 

「えぇ、命令を無視して勝手に動き回り、あまつさえドラゴンボールの願いを横取りしようと企んでいる様です。願いは勿論永遠の命でしょう。流石に命一つで、この私に挑む様な愚か者ではありませんからねぇ」

 

 フリーザの表情は段々と怒りを含み、さっきの笑みとは全く違う顔となっていく。

 

「私は怒っているのですよ。大切な兵士を殺され、願いを邪魔され、そして、私に歯向かって来るような愚かな彼らに」

 

 大気が震える。

 殺気を振り撒き、ぶつけようの無い怒りが昂ぶっている様だ。

 流石のギニュー特戦隊の様な宇宙のエリートでも、宇宙の帝王たるフリーザの膨大な強さに背筋が凍る。

 しかし、ギニューは少しの動揺もせずに、

 

「お任せ下さい。必ずや、フリーザ様の目の前にドラゴンボールを7つ全て献上致しましょう」

 

 と言った。

 それを聞いたフリーザは先程までの殺気を嘘の様に拡散させた。

 ギニュー特戦隊とその兄弟は頭を下げ、目的を遂行する為にエリートの名に恥じぬスピードで飛び去った。

 

 

 

「期待してますよ。ギニューさん」

 

 

 

 フリーザは、笑った。

 

 何かを孕んだ恐ろしい笑顔で。

 

 

 

 

 

 

 




スマン。
本当にスマン。
いやすいません。

この頃忙しく、モチベーションも上がらずで何だかスランプ状態なのかも知れません。
どんどんペースがががががが……
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