どこで道を誤ったのだろう?…私の何がいけなかったのだろう?
いつものように近くのコンビニに寄って、いつものように豆乳飲んで、いつものように同級生と喋りながら遊びに行ってた。
今日は川に遊びに行こうって話をしてた。
近くの川に着いて、吊り橋の上であの子が「あれなんだろう?」って言うから覗いてみた。そしたら次の瞬間には…私は宙を舞っていた。必死に何か掴もうとしたけど、吊り橋に掴める物なんてあるわけもなく、私は落ちて行った。
その時チラッとだけど、あの子の顔が見えた。あの子は笑ってた。何故だ?同級生が死にそうだというのに何がおかしいというのだろうか
次の瞬間、私は橋の下にある川の水面に叩きつけられ、視界が赤く染まった。そして少しすると視界が暗転した。おそらく死んだのだろう
ああ、どんどん体の感覚が無くなって、冷たくなっていっているのが分かる。17年、短い人生だったなぁ…
エメ「…あれ?体が動く。なんで?私は死んだはず…よね?もしかして夢オチ?」
そう思いながら目を開けると、そこは自分の家などではなく、見知らぬ建物の屋上であった
エメ「えっ!?ここ何処よ!?」
ここが何処なのか、なぜこんな所で寝ていたのか、その両方に全く覚えがない
エメ「と、とりあえず、スマホで位置確認を…スマホがない…」
スマホが無くなっているとは、ついてないと思ったが、しょうがない、この建物の中にいる人にでも話を聞いてみよう。そう思ったエメは階段を下りて行った
デパート 5F
しかし、なぜか建物内は何処も電気が付いておらず、よく見てみると窓も割れていた
エメ「もしかしてここって…廃デパート?」
そんな事を呟きながら歩いていたエメであったが、向こうの方に人影が見えたので人が居るという事は確認できた
エメ「あのー、ちょっとお尋ねしたい事が」
そう言いながらエメはその人物に近付いて行った。しかし
エメ「え!?何この人!?」
振り返ったその男の顔は爛れ、部分的に肉が見えていて、さながらホラー映画に出てくるゾンビそのものであった
男「あ゛ぁ゛ぁ゛!」
そんなうめき声を上げながら男がエメに襲いかかってきた
エメ「キャッ!?近づかないで!」
咄嗟に身を屈めて男のわきをすり抜けることに成功したエメは、そのまま走って逃げた
途中で後ろを振り返ってみると、遥か後方に先程の男がノロノロとこっちに向かって歩いてきているのが見えた。おそらく走ったりはできないのだろう
エメ「走ったりは…してこないみたいね」
ひとまず必死になって逃げなくても大丈夫そうだという事が分かったため、少し緊張が解けた
エメ「でも、どこか安全な場所を確保しないと、いずれ捕まっちゃうかもしれないわね…」
そう思い、エメは何処かにゾンビ達が入ってこれない場所が無いかを探した
エメ「あそこに部屋があるわね。誰か他に避難してる人がいたりしないかな?」
部屋の近くにも数人ゾンビが徘徊していたので、エメは物音を立てないようにその部屋に近付いてドアを開けようとした
エメ「(あれ?ドアが少ししか開かない…)」
しかし、ドアの向こう側に何かあるようで、エメが通れる程はドアが開かなかった
エメ「ドアの向こうに何か置いてるみたいだけど、私の力じゃドアごと押せそうにないわね」
そう思ったエメは、天井を見渡し、通気口があるのを見つけた
エメ「…あそこからこの部屋に入れるかな?」
助走をつけて通気口の蓋に掴まり、蓋を外して中を覗いてみると、かなり狭いが、人間1人位ならギリギリ通れそうな感じがあった
エメ「…行けることは行けそうね」
そんな事を呟きながら通気口に入って行き、部屋の真上の天井板を外し、部屋にゾンビがいないのを確認してから部屋に飛び降りた
エメ「なるほど、入口近くにあったダンボールが崩れてつっかえてたのね」
おそらく最初は縦に積まれていたであろうダンボールのうち、数個が振動か何かでドアの前に転がってドアを塞いでしまったのだろう
エメ「どっちにせよ、バリケードになってもらわなくちゃいけないんだし、積み直しますかね」
そんな事を言いながら手際良くドアの前に中身入りのダンボールを積み上げていった
そして、すべてのダンボールを積み終えて改めて部屋を見渡して気づいたことがあった
エメ「ここ、えらく綺麗ね。多分私が来る数ヶ月前まで誰かここで暮らしてたわね」
他の場所に比べ、この部屋だけ小綺麗にしてあった事、食料が少ないながらも置いてあることからエメはそう感じた
エメ「まあ、私としてはありがたい限りだけどね」
そんなこんなで安全な部屋を確保したエメは早速布団に入って眠りについた
次の日
エメは部屋の外の騒がしさで目を覚ました
エメ「ん…なんの音?…!?まさかゾンビが来てる!?」
一瞬ゾンビが押し寄せてきたのかとも思えたが、よく聞いてみるとゾンビのうめき声ではなく、人間の意味のある言葉である方がわかった
エメ「もしかして、生存者がまだいるの?」
そう考えたエメは、昨日見つけていた、壁に空いた穴から外の様子を大まかに見た。すると、今見えている範囲にはゾンビは来ておらず、今ならドアからでも出られるかもしれないと思い、急いでダンボールをどけた
そしてゆっくりドアを開けて、ゾンビに気づかれないようにデパートの大通りまで来た
エメ「さっきこっちから声が聞こえたんだけど…!いた!」
柵の間からそっと下を覗いて見ると、1階の方で人が走っているのが見えた
エメ「(…多少強引でも囲まれなきゃ大丈夫…よね)」
危険を冒してでも生存者と合流した方が良いと考えたエメは、数人のゾンビに見つかるのも気にせず、止まっているエスカレーターを駆け下りていった。
デパート 1F
エメ「(よし、ここまでは難なく来れたわね。あとはさっきの人と合流するだけね)」
そんな事を思いながら、さっきの人が走っていった方へと走っていった
数分後
エメ「さっきの人、こっちに走っていったはずなんだけど…どこ行ったのかな?」
そんなことを呟きながら先程の人を探しているエメだったが、よく考えてみれば、デパートの中にゾンビか自分達しかいないからと言っても、デパート自体が大きいのだから、そう簡単には見つからないのは当たり前なのだ
一旦部屋まで戻ろうかと思っていると
女1「お前、もしかして生存者か?」
後ろから急に声をかけられて少し驚きつつ振り返ってみると、両手に缶詰や非常食を抱えて背中に何故かシャベルを担いだ青髪ツインテの女子がいた
エメ「やっと…人に会えた」
女1「とりあえず、ついて来い。ここじゃあいつらが来るかもしれないし、何かと危ないからな」
そう言いながらその女子は返事も聞かずに歩きはじめた
とりあえず、この人について行くしかないと思い、その女子のあとを追った
すると、数分もしないうちにシャッターの閉まった店の前で立ち止まり、シャッターを開けて女子は中に入っていった
その店の中には更に3人の女子がいた
女1「おい、大収穫だぞー!あと、生存者も一人見つけた!りーさん、確認頼む」
そう言うと、りーさんと呼ばれた人が私に近づいてきて、何かを確認し始めた
エメ「あの、何を確認してるんですか?」
りーさん「貴女がゾンビ達に噛まれて感染してないかを確認してるのよ。ほら、服をまくってちょうだいな」
そう言われたので、服をまくって胴体を見せた
りーさん「…ええ、大丈夫そうね。どこも噛まれてないわ」
どうやら感染とやらはしていないようだ。というか、ここはバイオハザードの世界なのかな?
女2「それにしても、貴女何処に隠れていたんですか?私もここに一時期いましたけど、貴女を一度も見たことがありませんよ?」
エメ「…いつの間にかここの屋上にいたんです」
女1「まあ何だっていいじゃないか。行く宛がないんだったら、うちの学校に来ないか?一応バリケードを作ってるから、あいつらは2階までしか入ってこれないし、ここよりは安全だと思うぜ?」
女3「え?なになに?新入部員?大歓迎だよ!」
エメ「そうですか、それならこちらも願ったり叶ったりです。お言葉に甘えさせてもらいますね」
女1「ああ、私は胡桃(くるみ)、恵飛須沢 胡桃(えびすざわ くるみ)だ」
女2「私は直樹 美紀(なおき みき)です」
りーさん「若狭 悠里(わかさ ゆうり)よ。皆からは、りーさんって呼ばれてるわ」
女3「私は丈槍 由紀(たけや ゆき)だよ!貴女はなんて名前なの?」
エメ「私はエメラルド・マーティン、友達からはエメと呼ばれてます」
胡桃「そうか、じゃあ私達もエメって呼ぶよ。ところで、見た目私達と同じくらいの歳に見えるけど、実際はいくつなんだ?」
エメ「私ですか?高二の17歳です」
美紀「じゃあ私とは同い年ですね。あっ、この人達は3人とも3年生ですよ」
胡桃さんとりーさんは分かるけど、由紀さんも三年だったのか…
由紀「良かったねみーくん!同い年の子が見つかって!」
美紀「みーくんはやめてくださいって言ってるじゃないですか…まあいいですけど」
エメ「そう言えば、一つ聞きたい事が」
りーさん「あら、何かしら?」
エメ「ここは、何処なんですか?」
りーさん「ここ?巡ヶ丘のデパートよ?」
エメは頭をフル回転させてみたが、そんな地名は一度も聞いたこともない
エメ「…全く、聞いたことがない地名ですね」
胡桃「マジかよ。最近のテレビによくゾンビパニックが起きてるって報道されてたろ?」
エメ「いえ、毎朝ニュースは見てますが、そんなニュースは1度も聞いてません」
エメがそう言うと、4人は顔を見合わせた
美紀「貴女、いつからこのデパートにいたんですか?」
エメ「目を覚ましたのは昨日の…お昼頃だと思います」
美紀「それ以前の記憶は?」
エメ「友達と川に遊びに行った所までは覚えてますけど、その後は全く…」
美紀「…」
胡桃「美紀?どうしたんだ?」
美紀「もしかしたらエメさんは、別の世界から来た人かも知れません」
胡桃「は?何言ってんだ?」
美紀「自分でも意味不明な事を言ってる事はわかってます。でも、そうでもないと説明がつきそうにないんですよ」
りーさん「どういう事かしら?」
美紀「エメさんは一度もゾンビパニックについての報道は聞いていないと言いましたけど、私がこのデパートに居た頃は、少なくとも毎日そのニュースが流れてました」
由紀「あんな大きな事件だもんね」
美紀「ええ、仮に前までの由紀先輩と同じで記憶を無意識に消しているとしても、ここ数ヶ月の生活そのものを全て忘れるとは思えません。一瞬、誰かに気絶させられた拍子に記憶が飛んだのかとも思いましたけど、なんの傷もなかったんですよね?りーさん」
りーさん「ええ、全くと言っていいほど外傷はなかったわ」
美紀「仮にエメさんが嘘をついていたとして、このデパートにちょっと前までいた私が一回も見たことがないのは変ですし、最近このデパートにたどり着いたのだとしたら、ここに来るまでの数日間、どこであいつらに襲われずに暮らしていたのかという疑問も出てきますしね」
由紀「凄いよみーくん!探偵さんみたい!」
美紀「ありがとうございます」
美紀さんは無愛想に礼を言っているように見えたが、よく見ると少し照れているようだ。なんだ、案外可愛い人じゃないか
胡桃「まあとにかく、エメの事情はあえて探る必要も無いだろ。学校に帰ろうぜ」
胡桃さんがそう言いながら立ち上がった
エメ「それじゃあ、これからよろしくお願いします」
胡桃「ああ、よろしく!」
りーさん「よろしくね」
美紀「よろしくお願いします」
由紀「よろしくね!」
To Be Continued
デパートで偶然鉢合わせた学園生活部と名乗る集団のメンバーに加わる事になったエメは、彼女達の乗ってきた車に同乗し、学校を目指した。
巡ヶ丘の惨状を改めて知ったエメは何を思うのか…
これからエメ達はどうなってしまうのかは神のみぞ知る事だろう
次回【学園生活部】