転生者   作:フリッカ・ウィスタリア

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数日前に惨劇でヘルシング機関は重大な兵力不足に陥っており、とある傭兵部隊を雇う事となった
その部隊と共に南米に調査へ向かうが…


エメの目に映る物

あの惨劇から数日

エメ「ヘルシング機関の兵の補充で傭兵部隊を雇ったんですか?」

インテグラ「ああ、それでお前達にはどんな奴らか会わせておいた方がいいと思ってな」

セラス「ちなみに、私達が吸血鬼だという事については…教えるんですか?」

インテグラ「それはお前達の好きにすればいい。私は隠すつもりはないが?」

セラス「うーん…私はいいですけど…エメはどう?」

エメ「え?私は元から隠す気ないですよ?」

セラス「そう言えばそういう性格だったね…」

インテグラ「さあ、早く行くぞ。相手を待たせてるんだ」

そう言って連れて行かれた部屋は、以前セラスさんと手合わせした地下の部屋だった

 

地下 大広間

傭兵A「あっ、ベルナドット隊長、先方が来ましたよ」

インテグラ「すまないな。こちらで少し話をしていたもので遅れた」

ベルナドット「で?俺達は誰を殺せばいいんだい?」

インテグラ「君達にこれから戦ってもらう敵は…吸血鬼とグールだ」

傭兵B「ハァ?なんだそれ?吸血鬼だぁ?そんなもの御伽噺じゃねえかよ!ハハハハ!」

インテグラ「何を笑っている。私はふざけてなどいないぞ?」

ベルナドット「そうは言ってもインテグラさんよぉ?俺ら吸血鬼もグールも生まれてこのかた一回も見た事ねえぜ?信じろって方が無理な話だ」

インテグラ「居ないのではなく、君達が知らないだけだ」

傭兵C「そう言うなら、何か根拠となるもんでも見してくださいや!ハッハッハッハ!」

インテグラ「ほう…いいだろう。エメ、セラス、出てこい」

エメ「はい、なんですか?」

セラス「は、はーい…」

インテグラ「この二人が君達が存在を否定し続けている吸血鬼だ」

ベルナドット「は!?この二人が吸血鬼ぃ?ただの可愛らしい嬢ちゃん達じゃねえか」

インテグラ「そう思うのなら、自分で確かめてみるがいい」

ベルナドット「お、おう…」

少し戸惑い気味でベルナドットと呼ばれていた男性がセラスさんに近付いた

ベルナドット「えっと…君らは吸血鬼なのか?」

セラス「え、ええ、まあ…」

傭兵B「ハハハハハ!なんだそれ!傑作だ!」

エメ「あの、笑われているようですけど」

インテグラ「なら証拠を見せてやれ」

セラス「は、はい!どうぞ!」

そう言ってセラスさんは手を広げて無防備な状態を作った

ベルナドット「…ハハハハ!嬢ちゃん達が吸血鬼なら、俺はフランケンシュタインだっての!」

そう言ってベルナドットはセラスの胸を揉もうと近寄ってきた

セラス「とう!」

そう言ってセラスさんはベルナドットさんにデコピンをかました

ただし、吸血鬼の腕力で繰り出されるデコピンはその範疇を超えていて、ベルナドットさんは後方へ吹っ飛ばされてしまった

ベルナドット「ふぇ!?な、なんだ今の!?」

インテグラ「見ての通り、デコピンだが?君ら曰く可愛らしい女の…な?」

ベルナドット「バ、バケモン級じゃねえか!…って事は、本当にあの嬢ちゃんらは吸血鬼なのか」

インテグラ「だからそうだと言っているだろう?」

傭兵C「そっちの女の子もあんな怪力があるのか?」

エメ「まあ、人並み以上には…あと、こんな事も出来ますよ」

そう言ってエメは先程から後ろに隠していた右腕を振り上げた

すると、傭兵達が居た場所の床が黒く変化し持ち上がり、傭兵達を包み込み中に閉じ込めた

傭兵A「な、なんだこりゃ!ナイフを使っても出れねえぞ!?」

インテグラ「おいエメ、その位にしてやれ」

エメ「分かりました」

エメが腕を下ろすと、傭兵達を包み込んでいた黒い物は消え去り、エメの右腕へと帰って行った

ベルナドット「こ、これが吸血鬼の能力なのか?」

エメ「あっ、私が今見せた技は別の理由で使える技なので吸血鬼の能力じゃないです」

ベルナドット「へ、へぇ…」

インテグラ「この通り、吸血鬼は存在する。だが、全ての吸血鬼が私達の仲間という訳では無いのでな、こいつ等だけでもそこらの奴らには負けんし、もう一人こいつ等より強い吸血鬼が仲間に居るが、何せ人員不足だ。だから君達『ワイルドギース』に私達の機関に加担してくれるよう依頼をしたのだ」

ベルナドット「なるほど…面白いじゃねえか。その依頼、引き受けたぜ!お前らもいいよな?」

傭兵達「オー!」

こうして、傭兵部隊『ワイルドギース』の人達が私達ヘルシング機関に加担した

アーカード「ほう、こいつらが我らの所に新しく入った弾除けか?」

そう言いながらアーカードが壁抜けをして部屋に入ってきた

インテグラ「ああそうだ。さっそくで悪いが、お前達には南米に飛んでもらうぞ」

アーカード「了解した、わが主よ」

エメ&セラス「ヤー!」

ベルナドット「了解だ、お嬢」

 

次の日

アメリカ とあるホテル

ベルナドット「おーい、早く荷物を運び込めー!日が暮れちまうぞー!」

フロント「あの…お客様?」

アーカード「なんだ?」

フロント「当ホテルはその…あのような大きなお荷物は…」

フロントの言っているのは、アーカード達が持ち込もうとしている棺二つの事だろう

アーカード「問題ない」

フロント「い、いえ、しかし流石にあれほどの物となると、その…」

フロントが歯切れの悪そうにしていると、アーカードはスッと手をフロントに向けゆっくりと言葉を告げた

アーカード「なにも…問題ない」

すると、先程まで否定の姿勢を貫いていたフロントが、急にあっさりと棺の持ち込みを許可した

 

ホテル最上階 スイートルーム

ベルナドット「へぇ、だだっぴれえなおい!」

アーカード「こいつらの棺を置いておかないといかないからな。一番大きい部屋と言っておいた」

ベルナドット「へえへえ、そうですかい。じゃあ俺は平屋のボロホテルに戻るぜ」

アーカード「そうか。それじゃあまた夜に来るがいい」

ベルナドット「ああ、また夜になったら来るぜ」

そう言ってベルナドットは部屋から出て行った

アーカード「…クックック、今夜は楽しめそうだ…」

そんな事を呟きながらアーカードはソファへ腰かけた

 

数時間後

アーカード「おいエメ、セラス、起きろ」

エメ「んー…もう夜ですか?」

アーカード「ああ、それに面白い事になってるから早く起きろ」

セラス「面白い事?」

何だろうと思いエメとセラスは部屋の窓から外をのぞいた

すると、突如下からヘリが上昇してきて、エメ達を照らした

アーカード「テレビをつけてみろ」

マスターがそう言ったので、テレビをつけてチャンネルをまわしてみた

リポーター「先程、このホテル内にてホテルマン数名を死傷させた犯人グループが最上階の部屋に立て籠もって居るとの情報が入ってきました」

するとそこには、今自分達の泊っているホテルと私達が映り込んでいた

セラス「え!?何ですかこれ!?」

アーカード「おそらく、敵がでっち上げた事件の犯人に私達の名を挙げたのだろうな。おそらく警察ごと買収したんだろう。クックック、面白い事をしてくれる…」

エメ「いや、笑い事じゃないですよ!?早く弁明しないと!」

アーカード「さっき言ったろう?警察ごと買収している可能性が高いんだ。私達が何を言おうとも聞きはせんよ」

セラス「って事は…迎え撃つんですか?警察の特殊部隊を…」

アーカード「無論、そのつもりだ」

エメ「そのつもりだって…」

そうこう言っているうちに特殊部隊が部屋の前まで来てしまった様だ

先程から扉を破ろうと何度も突進をしている

アーカード「戦いたくないのなら、クローゼットにでも隠れてろ。私だけでも十分だ」

エメ「いえ、私も戦います!」

セラス「わ、私も!」

隊員A「動くな!人殺し共め!」

遂に特殊部隊が扉を突き破って中になだれ込んできた

アーカード「やあやあ特殊部隊諸君」

隊員B「撃て!殺人鬼共を皆殺しにしろ!」

直後、銃弾の嵐がエメ達を襲った

しかし、エメはこの時不思議な感覚があった

本来見えるはずのない銃弾が見えたのだ

その結果、ある程度の銃弾は避け、どうしても避けきれない銃弾はリキッドで防ぐという人間離れしたことをすることができた

エメ「(あれ?前にグールと戦った時は見えなかったのに…吸血鬼の血が馴染んできてるって事なのかな?)」

ふと、そんな事を考えたエメだったが、今はそれどころではないと思い出し、敵へ向き直った

エメ「…え?」

敵に向き直ってエメはある事に気が付き、再び驚いた

敵が吸血鬼などではなく、ただの人間だった事だ

アーカード「ブラボーブラボー、諸君は腕の立つ部隊の様だな」

そう言いながらアーカードは欠損した体を再生し、何事も無かったかのように立ち上がった

隊員C「こ、この化け物共め!」

アーカード「フッ、よく言われる」

その直後、再び特殊部隊が銃口を向けてきたが、一瞬早く放たれたマスターの弾丸で隊員は全員肉塊と化した

アーカード「やはり、人間は脆いな」

セラス「あ、あの、マスター」

アーカード「なんだ、セラス?」

セラス「今の敵って、人間…ですよね?」

アーカード「そうだ」

セラス「そ、それなら、殺さなくたって…拘束すればよかったんじゃ…」

実を言うと、私もそう思っていた。マスターからすればただの人間は脅威に成り得ないもの(一部例外はいるらしいが)なのに、なぜそこまでして敵を殲滅する事に執着するのか疑問だった

アーカード「ああ、お前達はあの時、話の輪に入っていなかったな」

そう言ってマスターは私達の方へ向き直り、こう告げた

アーカード「インテグラからの命令さ『私達の邪魔をする者は例外なく叩き潰せ。私のオーダーはただ一つ、サーチアンドデストロイ』だそうだ」

エメ「で、でも、ただ騙されているだけって可能性も…」

アーカード「エメ、セラス、お前達に二つ程言っておくことがある」

エメ「なんでしょう?」

アーカード「一つは敵に情けをかけるな。もう一つはあいつらは確実に私達を吸血鬼だと知ったうえで襲ってきている。分かったか?了承できんのなら安全な場所にでも隠れていろ」

セラス「…分かりました。部屋にいます」

アーカード「そうか、まあ賢明な判断かもしれんな。お前はどうなんだエメ?」

エメ「私も…ここに残ります」

アーカード「分かった。それじゃあ死なんようにな。また後で迎えに来てやる」

エメ「…はい」

その返事を聞くとアーカードは部屋から出て行った

エメ「(さっきマスターが言ってた事、本当なのかな…)」

アーカードが部屋から出てから数分後、五人の男が部屋の中に入ってきた

隊員D「よし、思った通りだ!今ならあの男はいねぇ!女なら殺すのもたやすいぜ!」

セラス「な!?貴方達何処に潜んでたんですか!?」

隊員E「どこだっていいだろ?どうせお前らは死ぬんだからな!」

エメ「貴方達は騙されてるんです!私達は殺人なんてしてません!」

隊長「ハァ?そんなの知ってるよバケモン共!こいつらが少しはお前らを消耗させてくれてりゃもっと楽に殺れそうだったのに、使えない奴らだな!まあいい、お前らを始末すりゃ俺らも吸血鬼にしてもらえるんだ。おとなしく死んでくれや」

その言葉を聞いてエメは耳を疑った

エメ「(今、この人達…仲間になんて言った?…私の聞き間違いでなければ、今床に転がってる人たちを駒としか見てない発言をしたよね?)」

その時、自分の中の何かが外れた

エメ「(あの目、私を橋から突き落としたあの子達と同じ汚らしい目をしてる…許せない!)」

エメ「へぇ…つまり、お前達は仲間の敵討ちでは無く、吸血鬼になる為に私達を殺すと言うのね?」

セラス「(え?急にエメの口調が変わった?)」

隊員E「ああそうだよ!早くくたばりやがれ!」

そう言いながら特殊部隊の人間は銃を構えた

エメ「…許せない!」

先程まで俯いていたエメが顔を上げると、エメの目が蒼色から紅色に変わっていた

隊員F「撃て!撃てぇ!」

一人の隊員の合図とともに隊員達が一斉に銃を乱射した

セラス「や、やめてください!」

セラスは銃弾を避けはするものの、相手が人間という事もあってまだ攻撃を躊躇しているようだ

エメ「いつもそうだ!なんでお前らは自分の都合で罪のない他人を虐げるんだ!!!あの時も!あの子の事も!」

エメは絶叫とも怒号とも取れない叫びを上げながら一瞬で敵との距離を詰め、一番前にいた隊員の首を刈った

隊員G「な!?こいつ一瞬で…」

その隊員は最後まで言葉を言い切る前にリキッドに取り込まれ消失した

隊員D「ば、化け物め!」

零距離で銃を乱射されたが、エメはそれをリキッドでほとんど防ぎ、エメに当たったのは2発だけだった

エメ「お前達の、その目が嫌いだ!」

そう叫びながら放たれたエメの蹴りは相手の首を蹴り潰した

エメ「仲間を駒としか思っていない、その精神が嫌いだ!」

今度は刺突を繰り出し、相手の装備ごと貫通させた

この間わずか数秒、これにはさすがの特殊部隊隊長も腰を抜かしてしまった

隊長「女2人は吸血鬼に成りたてで楽に殺せるんじゃなかったのかよ!?話が違うじゃねえか!?」

エメ「…セラスさん、こいつどうします?」

セラス「ど、どうって…」

エメ「インテグラ様の命令通りここで殺すか、連れ帰って情報を吐かせるかって事ですよ」

セラス「そうだね…情報を吐いてもらおうかな?…!エメ危ない!」

セラスさんがそう叫んだので敵に視線を戻すと、敵は銃口をこちらに向け発砲してきた

流石にその銃弾は避ける事が出来なかった

しかし、急所は外れていた為、リキッドと吸血鬼の再生能力によってすぐに怪我は治癒した

エメ「チッ…セラスさん、気が変わりました。ここで殺します」

隊長「何で今ので死なねえんだよ!?お願いだ!ただやれと言われただけなんだ!助けてくれ!」

エメ「今更命乞いをしても遅い!呪いたければ自分の汚さを呪え!」

敵を左手で掴みあげ、口からリキッドを侵入させ、破裂させた

その直後、敵が全て消えた事で安心したのか、エメは気を失った

セラス「エメ!?…気を失ってるだけか」

エメの安否を確認したセラスは安心した

セラス「…私、何もできなかった」

先程の事を振り返り、セラスは自分がいまだに吸血鬼になったという事を割り切れていないことを痛感した

セラス「それにしても、エメから出てた殺気、並大抵の物じゃなかった…」

普段の様子からは予想も出来ない殺気を放っていたエメに内心少し恐怖を抱きながら、セラスはエメを安全な所に移動させた

 

To Be Continued




見事敵の兵を退けた(約9割をアーカードが始末)ヘルシングの三人だが、流石の二人でもこの事件がまだ序章にすぎないという事に気が付き始めていた
そして、エメの言っていた『あの子』とは誰の事なのか?
次回【全面戦争】
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